これが世界が注目する漁業管理?その2
2回目は水産庁の資源回復計画がどんだけ信頼できるのか、それをほじってみます。素人でも発言する権利はあります。まして水産資源は国民の財産です。水産庁や一部企業の物ではありません。
これは青森の竜飛沖で2012年の9月に撮りました。毎年行ってますが、翌年からはまったくシャッターチャンスがありません。
水産庁は4月19日に親魚資源量を下方修正して発表しました。
これに関してはすでにブログで報告しています。
お粗末すぎる我が国の資源管理
http://uminchumogi.blog111.fc2.com/blog-entry-449.html
もう一度、おさらいしてみます。疑問がどんどん出てきますから。
日ごろ、科学的根拠に基づく資源管理と自画自賛している水産庁。
ところが目標値や資源量に関しては、ちょくちょく修正しています。そのほとんどが下方修正。ようするに計算方法が甘いのです。同じように資源管理も当然甘いのです。ですから資源は減るばかりです。なにを守るために甘くなるのか。○下り、○企業・・・
4月19日の親魚資源量の下方修正。出典はISC。
2010年 25,476トンから11,505トンへ
2011年 25,227トンから11,860トンへ
2012年 26,324トンから13,795トンへ
2013年 修正前は未発表、修正後は15,703トン
2014年 修正前は未発表、修正後は16,557トン
この下方修正は増えているように見せかけるためにねつ造したというのは考えすぎ?
下方修正後の親魚資源量
これは下方修正する前の親魚資源量
この下図を見て疑問に思った。2010年は親魚資源量11,505トンに対して大型魚の漁獲が5,331トン。2011年は11,860トンに対して6,069トン。
資源量に対して、この漁獲量はどう考えても乱獲である。ところが水産庁の報告では翌年以降資源が増えているのだ。
それと資源量に関しては、太平洋側と日本海側を別々に出していただきたい。おそらく2004年以降、日本海側は急激に減っていると思います。
下図を見ると1984年前後も資源量に対して、漁獲量は多すぎるのでは。それでも1988年ごろから急激に回復しています。水産庁の推定資源量って、正確なのか???
資源量の下方修正に伴い、将来予測も修正された。修正前は2024年には7万トンくらいに回復するはずだったが、修正後は4万トン前後(緑の線)となった。また歴史的中間値も43,000トンから38,000トンへと下げられた。この歴史的というのも紛らわしいです。実際は1952年以降の資源量の中間値である。初期資源は推定60~70万トンです。
修正後の図を見るとさらに厳しい規制案も載せてあります。
下図は修正前。俺はこんなに増えるなんて、最初から嘘だと思ってました。
次は加入状況です。その年に0歳魚がどれだけ加入したかの図です。ここ数年は過去最低レベルの加入となってます。産卵する親が減っていること、そして産卵前に漁獲していることも大きな原因だと思います。
水産庁は「産卵期に獲っても、他の時期に獲っても資源の影響は同じ」と繰り返し言ってます。
産卵前の5月に巻くのも、産卵後の8月に巻くのも資源に与える影響は同じということですが、近年日本海に産卵に来るマグロは3歳と4歳がほとんどです。これはほとんどのマグロが初産卵です。1回も産まないで漁獲されるのと、1回産んでから漁獲されるのでは、資源への影響は違うと思いますが・・・
さらに疑問。下図の赤丸のところだけど、大中巻網の漁獲上限は2000トンとなってますが、実際に漁獲したのは923トンでした。これは漁獲規制というより、漁獲目標では?
頑張っても獲れない数字を設けても、規制とは言わないと思います。
しかし、規制の46パーセントで終わったということは、資源の回復は早まるはずです。
緑丸の数字を見ると、平成27年は246トン獲れたのに、28年は0トンです。この原因を知りたい。いないのか?
さらに30キロ以上の大型(青丸)は産卵期の6月と7月に集中しています。これも4882トンの上限に対して3711トンで終わってます。本来漁獲規制とは上限値まで達成して終えるはずです。これは規制とは言わず、実質獲り放題と同じです。
※大型魚の漁獲枠4882トンは過去7年間一度も達したことがない。これは規制とは絶対に言わない。獲り放題と同じです。
さらに不思議なのは水産庁はこう発言しています。
「巻網のみに注目するのは“資源保護”の議論とは違う。限られた資源を効率的に使うために『巻網よりも魚体を品質良く保てる別の漁法で獲る』『小型魚を蓄養に回し売価を上げる』という議論はありえるが、それは“効率的な資源利用”の議論だ」
その通りです。売価が高い時期、美味しい時期、漁獲を集中しないように獲る。それが賢い漁業です。
一番おいしくない産卵期に大量に獲るのはまったく愚かな漁業です。しかも卵は毎年産業廃棄物として処分されてます。その卵は境港だけで10トン以上と聞いてます。
ということで、やはり巻網に注目してしまいます。
水産庁は2011年以降は資源が回復傾向にある。だから巻網を規制する必要はないと繰り返し発言しています。
ところが沿岸漁師さんは2011年以降も漁獲が減り続けています。
この減り方では、民間会社であれば倒産しているでしょう。
次の図は玄界灘で一番人気の遊漁船の釣果です。2011年以降に急激に減少しています。水産庁は2011年以降は回復しているといいますが、ほんとうなのでしょうか?
これも下方修正の匂いがプンプンしてきます。
那智勝浦漁協もどんどん減り続け、先月解散(倒産と同じ)してしまいました。
以前放送されたテレビ番組でも境港の成熟クロマグロの漁獲がどんどん減っていると伝えてました。
さて、俺がクロマグロの規制のことをブログやFacebookで発信すると、必ず中国や韓国の取りすぎを書き込んでくる人がいます。
まず、太平洋クロマグロの産卵場ですが、ほとんどが我が国のEEZ内です。これは資源回復の大きな鍵を日本が握っていることを示します。
さらに、クロマグロの産卵場、そして回遊ルートから、中国が漁獲することは極めて難しいのです。
現時点では日本とメキシコが全漁獲の約8割を獲ってます。クロマグロは1歳ころに太平洋を横断してアメリカ西海岸まで行きます。そのときにメキシコが獲り、蓄養してから日本へ出荷しています。4歳ころにはほとんど日本へ戻ってきます。そのあとは2度と太平洋を横断しません。
次に厳しい資源管理をやった結果、資源が急激に回復した東部大西洋クロマグロです。
2007年は違法漁獲を含めると6万トンも獲っていました。それを28,500トン、22,000トン、13,500トン、12,900トンと上限をどんどん厳しく規制しました。また産卵場である地中海は産卵後のわずか3週間しか漁ができなくなりました。30キロ未満の漁獲も禁止です(一部を除く)。
その結果、2010年ごろから急激に資源が回復しています。今年は5月25日に解禁すると、わずか数日で漁獲枠を獲りきったそうです。時間も燃料も大幅に節約。地中海のマグロ漁師さんはとにかくリッチだとか。
この図を見ると資源量の10分の1を漁獲の上限にするのが妥当かなと思います。ということは太平洋クロマグロは資源量がすでに15,000トン前後ですから、1,500トンしか獲ってはいけないことになります。ここまで乱獲を放置した責任は大きいと思います。
最後に。
黙っている。また知らないでいる。
それは良い結果にはつながりません。
コメント
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2016-06-13 21:59 編集
Re: タイトルなし
> 青森県で本日、マグロキャッチされてます!銛が撃たれてます。
> 禁漁したのでないの?
> 遊漁船も参加者大募集してます。ふじ丸!キラーホエールなんかは
> 隠れてマグロ狙いに行ってますよ。
> ルールを守るのが馬鹿らしくなります。
> 遊漁船の船長の中にはマグラーズの人達も居ますよ!
> このコメントは非公開希望
2016-06-18 21:41 茂木陽一 URL 編集