2018/06/13

今年もまき網漁が始まった😢

世界中でクロマグロの水揚げを見てきたが、100キロ未満の水揚げを海外では見たことが無い。アメリカ・ノースカロライナでは小さくても100キロ以上(なぜなら叉長72インチ未満は漁獲できない)、カナダのプリンスエドワード州では小さくても250キロ以上ある。スペインのまき網も平均サイズが133キロもある。
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ところが6月3日から日本海で始まったまき網の平均サイズは30キロ台と大西洋に比べてはるかに小さい。これはほとんどが初産卵、もしくは未成魚(子供)である。多くのマグロが一度も産卵をしないで殺されていくのだ。

しかもこの写真を見るように、魚体がとんでもなく汚い。これは生きているうちに狭い冷蔵庫に放り込まれ、苦しみもがき、大暴れしながら死んでいくからだ。当然身質も悪く、市場では最も安く取引される。
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これは同じ日に並んでいた一本釣りのクロマグロ。一目瞭然の綺麗なマグロである。生きているうちに大切に扱い、血抜きをして神経締めをしたので身質も良く、高値で取引される。しかし、この日は大量にまき網のマグロが入り、市場は大暴落、そしてまき網物は約7割の売れ残り。そんな運の悪い日に当たったので、直前までは7000~8000円付いていた一本釣りマグロもセリ値が2500円まで下がってしまった。マグロに限らず、常に沿岸漁師はまき網に泣かされている。
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そのまき網だが、現在はこの辺りで漁を続けている。すぐ近くの佐渡や粟島の定置網などの漁師は自粛が続いている。その沖で初産卵に来た小さなマグロを連日大量に巻いているのだ。
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佐渡、粟島沖で漁獲したマグロは約18時間かけて鳥取の境港に運ばれる。そして卵や白子を抜かれてセリにかけられるのだ。その卵と白子のほとんどが養殖の餌に回される。
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そしてスーパーに並ぶ。血栓があちこちに残り、すぐに色変わりする。取り柄は安いというだけ。
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最後は5割引きとなる。それでも売れ残る。まったく資源の無駄使いである。海は国民共有の財産であり、一部企業のものではない。国民の財産の一部を獲らせていただいてることに感謝のかの字も感じない。
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これは2015年6月24日の築地でのセリ値。なんと安値は300円。冷凍のキハダやメバチより安い。
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これは今年初入荷である5日の相場。毎年初日は高値が付くが、今年は243本中207本が売れ残った。売れ残ったマグロは相対に回され、ただ同然に買い叩かれると聞く。これが黒いダイヤと呼ばれる魚の終焉。
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そして12日の相場。日に日に安くなって小サイズ(40キロ以下)は高値が1200円、84本中67本が売れ残り。中サイズは12本中10本が売れ残り。
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この公開されている安値だが、一般の国民はこれしか知らされない。売れ残りを市場は公開してないのだ。2016年ころから安値が上がりだし、売れ残りが目立つようになった。こんな安値ではまき網の評判がさらに下がる。それを危惧したまき網団体が行政に下値(それ以下ではセリでは売らない)を設けるよう要請したのかもしれない。


クロマグロが減ったのはまき網だけの原因ではない。沿岸漁師にも責任はある。しかし、圧倒的に漁獲能力があるまき網が資源を減らした一番の犯人であることは間違いない。そしてさらに責任が重いのがそのような大型漁業を野放しにしてきた行政である。マグロのような広域回遊魚は一カ国だけで管理はできない。各国が協力して管理しなければならない。初期資源量比3.3パーセントまで激減したクロマグロの資源管理に関しては、その産卵場のほとんどをEEZ内に持つ日本の責任は重い。当然国際合意は守らなければならない。そうしなければ産卵場が日本のEEZ外にあるキハダやカツオに対して何も言えない。
マグロが少し増えたから枠を増やせと言うのは国際間では通らない話なのだ。ではどうしたらいいのか?
国内の配分を調整するしかない。資本力のある大型漁業の枠を減らし、零細漁民の枠を守るのは資源管理先進国なら常識なのである。FAOの行動規範にもWCPFCの条約にもそう記されている。


欧米などの資源管理先進国のほとんどが水産業は成長産業である。
こんな話を海外の科学者などから聞いた。

「早期に手を打ち、早期に回復させる」このように管理すれば漁業者も少ない我慢で済むが、手遅れになったら長期苦しむか、廃業するしかない。今の日本はまさに手遅れの状態。

「資源管理は人間を管理すること。そうすれば魚は勝手に増える」

「日本はそんなにまき網が政治力を持っているのですか?」

「3.3パーセントは即禁漁のレベル。そんなときに産卵期の産卵場に漁船がいること自体おかしなことだ」


しかも太平洋クロマグロは現在絶滅危惧種に指定されている。

そんな日本は国際会議で全国から来た漁業代表者に水産庁は作文を作って読ませている。読ませる方もだが、言いなりの漁業代表者にも大きく失望した。


全国の沿岸漁師は1月23日から操業を自粛している。そんな目の前で連日大量にまき網が漁獲しているのだ。
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水産庁はまき網も規制しているが、俺から見れば野放しに近いと言わざるを得ない。
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まき網の部分を拡大すると

水産庁は2002年から2004年の漁獲を基準にそれ以上獲らないと決めたと言うが、日本海側の2002年から2004年の漁獲(赤)の平均は1090トンである。なのに2014年からは2000トンと自主規制している。しかも漁獲規制の始まった直近の5年間(青)は一度も2000トンに達してない。これは規制と言うより漁獲目標と言うべきだろう。
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太平洋側(緑)は2004年までは大量に漁獲していたが、2005年から激減する。これはマグロの群れが見つからず、操業をやめたまき網船が増えたからと聞く。2008年にはついに0トンになった。そしてしばらく獲らなかったことで、2014年ころから資源はどんどん回復している。ようするに獲らなければすぐに増えるのがマグロなのだ。
まき網全体の大型魚の漁獲は3098トンが与えられているが、この全体(ピンク)を見ると直近の8年間は一度も3098トンに達してない。2002年から2004年を基準にしたのはそのような理由からだろう。


これは最近発表された第4管理機関の配分案。まき網が優遇されているのが誰が見てもわかるだろう。

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大型クロマグロのうち、知事管理というところが沿岸漁業の枠である。たったの732トンしかない。これを全国の定置、はえ縄、一本釣りなどが分け合う。対してまき網の枠は3063トンもある。
まき網の産卵期を禁漁、もしくは枠を半減などして、沿岸に500トン以上回したらどうだろう。沿岸と言えども資源が安定状態(初期資源量比20パーセント)に回復するまでは産卵期は厳しく規制すべきである。水産庁のシミュレーションでは3年禁漁すれば回復するらしい。長く苦しむより、3年我慢すれば豊かな未来が訪れるのだが・・・



6月11日は緊急沿岸漁師フォーラムに参加した。ところが5月のコロンビア遠征から下痢が止まらず、思考能力も体力も激減。直前に病院に行き、先生から「疲れからの下痢」と言われ、点滴を打ってから会場へと向かった。
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20分ほど遅刻して会場に入ると釣りが趣味の坂口先生の講演が始まっていた。水産庁の漁獲枠配分の矛盾するところを次々と突いていく。海外の事例などもふまえた国際感覚の講演は沿岸漁師にはとても勉強になっただろう。日本の水産学者は漁師のために動く人はほとんどいない。天下りのお話もあった。専門は法学部なのにクロマグロの資源管理に関心を持った理由、そして放っておけなくなった話など何度も聞いてるが(笑)やはり面白い。
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先生の講演はここで見られます。とても勉強になります。合わせて全国の沿岸漁師の叫びも是非聞いていただきたい。




残念だったのは自民党議員が一人も来なかったことだ。会場は衆議院第2議員会館である。
他の会合などには多数集まるのだが。
戦後7分の1にまで激減した漁師のために動いても何の得にもならないからだろう。

108人も自民党議員が集まった全漁連と大日本水産会(天下り団体)の集会。
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漁業補助金と言っても、その多くは土建屋と天下り団体に払われている。沿岸漁師に回るのはわずかであり、資源管理関係の予算はたったの3パーセントである。儲かっているはずのまき網会社にも多くが回っている。
漁港漁場漁村整備促進議員連盟の会員(国会議員)は137人もいる。利権だろう。




水産庁前のデモの翌日5月31日は横浜で開催された太平洋クロマグロMSE(管理戦略評価)ワークショップに参加した。海外の科学者がたくさん参加する会議であり、先進国の考え方がよくわかる、とても勉強になる会議だ。ところが言葉はすべて英語。俺には同時通訳でも理解できないチンプンカンプンの会議だった(最後まで寝ないように頑張った)。
その会議がそろそろ終わろうとしているとき、隣にいた森君(JGFA所属)が質問をした。すべて英語で。隣で聞いてる俺はやはりチンプンカンプン。毎年海外に数え切れないほど行ってるのに・・・

その会議が終わって驚いたのはISCの前議長であるジェラルドさん、現議長であるジョンさん、他数名の科学者が次々と森君に近づいてきたことだ。ジェラルドさんは昨年俺も会っているので覚えていてくれてニコニコしながら挨拶された。森君には「良い質問だったよ」「これからも思ったことはどんどん言いなさい」と。
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その森君の報告。長文だが目を通す価値は有り余るほどあります。

管理戦略評価のワークショップと言う事で、各国から科学者等が集まり、かなり専門的な内容で管理のガイドライン的なモノを議論しながら煮詰めていました。当然会議は英語。同時通訳よりは自分の耳を信じて、必死でついて行きました。

私が気になった内容としては、資源が予想以上の早さで回復した際に、資源量に応じて素早く枠を増やす主張が日本の水産庁から出ていました。2年に一回の資源評価、そして出るデータも1年前のモノなので、なかなかタイムリーにならない事から、どうにか増えたらすぐに捕れないか?と言う主張です。

2%が3%に増えたから、よし捕ろう!とは、バカげた話です。魚は絶滅しない限りはどこかに居ます。どんなに少なくても、居る場所に出くわしたら、魚が居るのに捕るなと言うのか!と言う事になってしまいます。幸か不幸か、日本は太平洋クロマグロの好漁場です。残り2%や3%と言われる絶滅危惧の状態になっても尚、マグロは日本近海にそこそこ居ます。そして、マグロは群れを成す魚ですので、居る場所に出くわせば、こんなに居るのに!!と言う主張が漁業者から出るのは当然で、それをそのまま日本の主張としてしまっているのは仮にも大勢の科学者を抱え、科学的な根拠に基づく資源管理を話合う場において、恥ずかしい話です。

あと、水産庁サイドから耳を疑う様な発言がありました。親子関係が無いのなら、初期資源量比20%以上を目指す意味はどこにあるのか?と。親魚が増えても、ある一定レベルからは加入は増えない。加入があった分だけ捕るのが持続可能な漁業だとすれば、目標値を上に設定する意味はあるのか?という主張。

私は水産庁の資源管理者としての資質を疑う内容の質問であった様に思います。クロマグロは自然の一部で、野生生物です。我々人間は、自然からの恵みによって生かされています。これは誰にも否定出来ない事実です。初期資源量比20%以上を目指さなくてもいいではないか・・・とは、元々100居た自然の恵みを乱獲によって絶滅危惧と言われる程までに激減させてしまった事に対する反省が全く無い、自然や野生生物を慈しむ心の無い、魚を商品としてしか見れない組織の発言です。資源管理は、野生の生き物の命を有り難く頂くと言う心すら持てない組織にやらせるべきでは無いと個人的に感じました。その様な体質の組織(水産庁)が現時点で日本を代表して国際会議で発言しているのは残念でなりません。

会議の内容の中に、資源を最大限経済的に活かしていくと言う内容も盛り込まれていました。産卵期のまき網でクロマグロを大量漁獲して二束三文で売り飛ばす事は、この取り決めに違反している様ですので、今後の改善に期待したい所です。

ワークショップの最後に最新のクロマグロの資源の現状に関するプレゼンテーションがありました。

最新の科学的分析によれば、現在太平洋クロマグロの資源量は初期資源量比で3.3%との事。96.7%が依然失われたままで、資源は極めて危機的な状態にあります。ただし、過去2年、僅かながらに回復の兆しを見せている様ですが、私に言わせれば誤差程度の回復傾向です。そして、このプレゼンテーションでも再確認していましたが、実際の資源量と、データ分析で出てきた資源量は異なる可能性があり、実際の資源量はわからないとの事です。海の中の魚を残らず全て計量する事等不可能ですので、漁獲データに基づく推測値との事です。ただし、幸か不幸か、大西洋と比べて依然として圧倒的に漁獲量、つまりデータが多いので、データの信ぴょう性は大西洋と比較すると高いとの事。こんなに減っても捕り続けているからデータがあるとは、褒められた事ではありませんが。

このプレゼンテーションでは、太平洋クロマグロは依然として乱獲された状態にあり、乱獲が続いていると結論づけていました。そして、その科学的分析に対し、水産庁は資源管理を開始し、資源は回復の兆しを見せているので、乱獲された事は事実であっても、乱獲が続いていると言う言い方は大変な誤解を招くから止めて欲しいと主張しておりました。しかし、データがそう示していて、このデータに基づく分析ではそう言わざるを得ないとの科学者からの回答に、何度も食い下がる水産庁職員。

管理者という立場にある水産庁が、現状でも乱獲が続いていると科学者に指摘される事は、我慢のならない事なのでしょう。

私も最後に発言させて頂きました。大きく2点。

一点目は遊漁が無視され続けている事を指摘し、今後は遊漁の別枠管理も求めました。別枠管理ならば、漁業者が枠に達したからと言って、遊漁が自粛という事が防げます。遊漁は例えば枠の8割に達した時点で全てリリースという手を使えば、釣りは続けられる可能性があります。漁業者の乱獲のせいで遊漁船(業)が迷惑を被るという構図を今後は変えていくべきだと思います。

回答としては、遊漁はデータが無いし管理もしていないとの事。

水産庁はやる気無いので、今後は遊漁団体等が独自で釣果データ(操業時間、捕獲匹数、リリース匹数)集めをし、提出するのが腰の重い水産庁相手にはスムーズだと思われます。

2点目は、現在の資源量が初期資源量比で3.3%という極めて低い数字である事から、これは加入乱獲(親魚が減り過ぎて加入が悪くなっている状態)の状態である事の確認。水産庁サイドの科学者が書いた学術論文でも、加入乱獲の目処として5%という数字が仮に使われている等、(それでも仮定が低いのだが)、常識的にも、科学的にも加入乱獲の状態である事は間違い無いので、その確認。
そして加入乱獲の状態にあるのならば、何故未だに産卵期の巻き網漁を許しているのか?という質問をしました。

この質問を投げかけた所、複数の海外からの科学者がニッコリと笑顔で振り返ってくれました。水産庁が牛耳る日本の会議において、水産庁に遠慮してなかなか言えない様な事も多いのでしょう。

この質問に対し、水産庁サイドは回答できずにいた所、ISCチェアのジョンホームズ博士が助け舟でこう回答して下さいました。

科学者サイドはデータ分析から現状を資源管理者に知らせるのが仕事で、実際にその現状を理解してどの様な管理をするのは、管理者の判断だと言う事。

つまり、科学が何を証明しても、最終的には管理者(水産庁)が判断を誤ってしまう可能性がある・・・と。

捕る事が仕事の水産庁に資源管理は出来ないと、再確認した次第でした。これは、現職の水産庁職員が悪いのではなく、組織の役割と構造に問題があるからです。

資源管理は自然環境の一部として豊かな状態を環境省が守り、与えられた枠の中で水産庁がその資源を利用する様な構造にしなければならないと再確認しました。

加入乱獲か否かについては、太平洋クロマグロについては、ここからが加入乱獲ですよと言うラインが決められていない(決めていない)ので、現時点では太平洋クロマグロはどの時点で加入乱獲という定義が無いとの回答が日本の研究者からありました。

線引きをしない、出来ない理由は、既に常識的には禁漁にすべきラインを大きく割ってしまっている事。通常資源管理は資源が豊富な内に、ここまで下がったら、この規制、ここまで下がったら更に規制強化、ここまで下がったら禁漁という数値を決めて管理するのですが、太平洋クロマグロの場合、日本が断固禁漁を受け入れない姿勢ですので、その線引きすら出来ない状態にあります。

会議終了後、場の空気が多少凍り付く様な質問を投げかけてしまった私ですが、閉会後にはISCの現職のチェアマン、前チェアマン含め、色々な方々が、よくぞ言ったと激励しに来て下さいました。

私の質問に答えて下さったISCのチェアマンであるジョンホームズ博士は、あの質問は水産庁は非常に答えにくい内容だったので私が助け舟で答えさせて貰ったよとの事。非常にいい質問で、次回もどんどん発言して下さいと激励して下さいました。

追加で、茂木さんからの質問で、産卵期のまき網漁は実際はどう思うのか?と質問したところ、そもそも、産卵期の産卵場所にその様な船が居る事自体、おかしな話だ。この資源量は我が国(カナダ)だったら即時禁漁となる数字だとの事。未成魚の管理が始まっている事は良い事だが、まだまだ長い道のりだとおっしゃっていました。現状、資源管理を進めたい諸外国と、自国の漁業優先で資源管理を阻む日本という構図が問題解決の足あかせになってしまっています。

同じくISCの元チェアマン、現米国NOAAのFisheries Resources Divisionのディレクターを務めるジェラルドディナードさんともお話ししました。前回のステークホルダー会議の時にも(当時はISCチェアマン)お話しさせて頂き、私の事も覚えていて下さいました。やはり、開口一番、いい質問だったよと激励して下さいました。

ジェラルドさんには、日本の産卵期の巻き網漁をやめた場合の資源動向の推定はしているのか?と質問したところ、年間通して全ての漁業を完全禁漁した場合の推測はしているが、産卵期のまき網に限った推測はしていないとの事。産卵場所は毎年変わる上に、特定の漁法をターゲットにした推測はしないとの事ですが、例えば産卵期を漁法に限らず禁漁にする等の推測をして欲しいというリクエストがあり、承認されればやる用意はある。是非その様なリクエストを出して欲しいとの事でした。勿論、私が個人的にリクエストしても通らないので、各団体を通じてリクエストしてくれとの事。必ずリクエストを送るので、実現させて欲しいという事で硬く握手してきました。NPO、NGO、漁業者団体等に掛け合い、実現させたいと思います。

勿論、水産庁は産卵期のまき網漁を擁護している立場なので、産卵期のまき網漁をやめると言う資源管理方法は、デモや様々な会議で問題を指摘されてきたにも関わらず、選択肢の一つとして考慮すらしていませんでした。今後はISCを通じて太平洋クロマグロの産卵期の禁漁をしたら資源がどの様に回復するのかの推測をして頂き、選択肢の一つに入れて貰えればと思います。

今回のワークショップでも、資源管理をもっと厳しく進めたい諸外国と、現状行われているクロマグロ漁を続けたい水産庁との間に、かなりの温度差を感じたのですが、私が思うに水産庁サイドが一方的に悪者で滅茶苦茶な事を言っている訳ではありません。彼らは日本の漁獲枠を出来るだけ多く獲得し、水産物を国民に供給する、そして漁業者の漁を続ける権利を守ると言う職責に対し、真面目に仕事をしているだけです。

ただし、その仕事の内容が現状では資源管理に対し後ろ向きと言わざるを得ない事になっていて、資源状態が低位のままなかなか回復せずに、特に沿岸の小規模漁業者の首を絞めてしまっています。

もし仮に、産卵期のまき網漁をやめれば資源がより早く回復するのならば、そうする事で沿岸漁業者への規制が緩和に向かう可能性も高く、一部の大規模漁業のせいで数多くの小規模漁業者が我慢を強いられると言う今の構図もより早く解消されるでしょう。勿論、遊漁者が海外に行かなければ魚が満足に釣れないという現状も、いち早く解消に向かいます。




大西洋はまき網の漁獲枠と漁期を大幅に規制して資源を一気に回復させた。この図を見ればまき網(緑)が大幅に削減されているのがよくわかる。ところが日本は前途したように漁獲を減らすような規制は全くやってない。
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公的機関の報告では2028年に漁業者は4万人にまで減ると予想している。

マグロに限らず多くの魚が減っている。

そのうち魚も漁師も消え、立派な漁港だけが残ったという時代が来るだろう


そうなったら水産庁も天下りもいらない。




2018/05/12

衰退する離島の漁業

高齢化が進む舳倉島の漁業。海女も長年200人くらいで推移してきたが、2013年には70人、今では40人くらいに減っている。
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俺「いまブリは浜値いくらくらいですか?」
老漁師さん「わからんね。高いときもあれば安いときもある」
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能登半島の北にある舳倉島はバードウオッチングと海女の島だが、過疎化と高齢化が進む。いまのままでは10年後には海女はいなくなってるかもしれない。


新潟の粟島は大謀網漁(定置網の一種)で有名な島。大型の定置網が島の北西側に3か所あり、年間の水揚げ高の約7割を占める。大型定置網なくして粟島の漁業は語れない。
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粟島の漁師さんは行政とまき網に強い不満を持っている。もともとはマグロを獲るために入れた定置だが、今年の6月末まで自粛するようにと水産庁から通達があった。粟島のマグロ漁は6月が盛期である。不満が出るのは当たり前である。そしてブリはまき網が大量に獲るので値が付かずまったく儲からない。
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山形の飛島は刺し網が中心の漁業。狙いはオキメバルと答えていた。今月末から7月くらいまでは飛島近海にクロマグロが集まるのだが、それを専門で狙っている漁師はもういない。
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島民も昭和15年には1788人もいたが現在は203人。小中学生もピーク時は450人もいたが、現在は小学校は生徒がいないので休校。中学校に1人いるだけである。その中学校も2年後は休校になる。


飛島行の定期船が発着する酒田港の海鮮市場。海鮮市場なのに外国産の水産物がやたらと多い。
ホッケはアメリカ産。
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サバはノルウエー産。
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ウニはロシア産。サケはロシア産、明太子はアメリカ産、そしてイクラはデンマーク産だった。
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某大学の教授(水産庁OB)「日本の漁業生産が減った理由は、資源が減ったからと声高に言う人がいるが、そのような安直な答案を書いたらうちでは落第だ。……私は、さまざまな要因の中でも、特に水産物の需要減少が、生産量低下の一番の理由だと思っている」


そうですか???

離島の漁師さんに資源のことを聞くと90パーセントの人が減っていると応える。※対馬の調査結果


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その原因は乱獲と答える漁師が多い。

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水産関係企業のトップ150人のアンケート結果(みなと新聞)
減っている133人、増えている1人。


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需要減少の原因も探ってみよう。

まき網によるブリ大漁ニュースである。
ツバス(ブリの子供)が955トン、ブリが110トン。


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大量に獲るとキロ100円台に暴落する。まき網で獲ったブリは色が悪く、美味しくない。それも安い原因である。

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確かに色が悪い。こんな魚を食べて消費者は満足するのだろうか?
そして580円が安いのか?たぶん100グラム前後だろう。産地ではキロ200円前後であるから100グラム20円である。

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続いて、まき網のサバ

境港巻き網水揚げ サバ 870t、ツバス 119t、ハマチ 20t 計 1,009t
今日の獲物はローソクサバ呼ばれる小型のサバでした。
 (境港・共和産業からのお知らせより)
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ローソクサバとはロウソクのように細くて小さいということである。

こんな小さいサバはスーパーには並ばない。ではどこに行くか?


養殖の餌である。サバ、イワシ、アジの9割が養殖の餌である。


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そして安いのでアフリカがたくさん買ってくれる。

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そして我々日本人が食べるサバはノルウエー産がほとんどなのである。おかしな話である。日本の周りにはサバがいっぱいいるのに。そしてほんとうに美味しいサバは日本の美味しい時期に獲った大きなサバなのだが。


世界のマグロ類の漁獲量。1980年代からまき網の漁獲量が急激に増えている。効率の良いまき網は単価が安くても大量に獲れるので大きな利益が出る。

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そして世界の水産資源は激減。資源管理先進国はまき網などの大型漁業の規制に乗り出した。しかしアジアやアフリカは増える一方である。



今年もクロマグロの産卵期が来る(南西諸島ではすでに始まっている)。そしてまき網船があちこちに出没して大暴れを開始する。

一年のうちで一番美味しくない時期に集中して獲るのだ。当然セリ値は大暴落。そしてほとんどが売れ残る。

境港産(鳥取)は78本入荷して68本売れ残り。


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産地塩釜では安値400円。最後は「持ってけ泥棒」というセリだったらしい。

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塩釜から築地には良質のマグロを送るのだが、それでも68本中67本売れ残り。

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セリで売れ残ったマグロがどこへいくらで売られているのかは水産庁も答えられなかった。



境港は産地情報を公開してない。なので密かに入手。公設市場なのに公開しないのが悪いのだ。



なんともビックリなボロ安値だった!

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最安値はキロ200円。平均単価も7月4日は384円である。平均重量が91.97キロでも300円台。美味しい時期に獲ればキロ2万円以上は当たり前なのだが。

日本のまき網は生きたまま網から冷蔵庫に放り込む。血抜きもしてなければ神経締めもしてない。それがヤケと血栓の原因になるのだ。色変わりが早く、柵にしたら4日以内に売らないと売れなくなる。


需要減少は不味い魚ばかり食べさせてるからではないか?




昨年、水産庁の資料からこれ(大西洋クロマグロ東系群)が消えた。消えた理由はわからない。

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そして新しい資料は地中海も産卵期に巻いているとやたらと強調した内容になっている。

調べてみると

確かに産卵期に獲っているが、規制前の2007年は未報告も含めると4~5万トンくらい獲っていた。
※未報告もほとんどまき網だったと教えてくれたのは水研の中塚クロマグロ資源グループ長

それがこのICCATの報告を見ると2011年には漁獲量が4306トンまで激減している。さらに漁期も大幅に短縮しているのだ。そういう都合の悪いところはすべて隠して、「まき網も獲っている」という都合の良いところだけを資料に載せる。


まったく姑息としかいいようがない。


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大西洋クロマグロの資源量だが、昨年資源評価が修正された。1980年前後は大幅に上方修正。危機的と言われていた2000年前後も実はそこそこの資源量があった。


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結果として危機感を共有し、厳しい資源管理をやったことで、早期の資源回復へと繋がった。

資源管理の基本「早期に手を打ち、早期に回復させる」
こうすることにより、漁業者は少ない我慢で済むのである。




昨年、水産庁と対談したとき、水産庁側はこんなパネルを用意していた。
見た瞬間「フェイク」と思った。

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ようするに大西洋(東系群)はこんなにまき網で獲ってます。日本はそれより少ないのですと言いたかったのだ。
※対談前に水産庁側から質問内容を提出するようにと言われて提出していた。対談にはパネルが何枚も用意されていた。

大西洋東部側は前途したように大幅に規制した後、資源が急激に回復した。回復に伴いまき網の割り当ても増えている。それは理にかなった方法である。しかもまき網で獲ったあとに生きたまま蓄養の生け簀に移し、5~8か月餌を与え、しっかりと太らせてから出荷している。需要に合わせて1匹1匹活き締めするので高く売れる。これこそ資源の有効利用だろう。

では何が間違いなのか。

この表を見れば誰でも一目瞭然だろう。


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2016年を見ると

30キロ未満のまき網の漁獲は全体の52パーセント
30キロ以上のまき網の漁獲は全体の69パーセント
すべてのまき網の漁獲は全体の61パーセントである。



水産庁の用意したパネルは大きく間違っていたのである。
俺の指摘で水産庁側が間違いに気づき、このパネルは番組で使われることはなかったが、こんなパネルを作って国民を欺こうとしたわけである。



何が何でもまき網を正当化させようとしたわけである。



こんなことでは離島の漁師も沿岸の漁師も守れない。



2018/04/24

海は国民の財産?

昨年はたくさんの水産関係のシンポジウムや会議に出席した。その中で何度か「海は国民の財産」という声を聞いた。

ほんとうなのだろうか?

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遊びで釣りをやってる人間が資源管理を語るなと言う人がいる。
俺たちは遊ぶために一生懸命働いている。他人の金で遊んでいるわけではない。働いているのだから当然納税の義務も果たしている。まして我々釣り人は補助金や交付金なんて見たこともない。

※補助金や交付金は返済義務のない「貰えるお金」だが、その目的はやがては国や地方のお役に立っていただくということである。いつまでも役立たずなのに補助金や交付金をえんえんと受け取るのは泥棒と言われても仕方ないだろう。元は我々国民が収めた税金なのである。


アメリカやカナダ、ニュージーランドなど、資源管理の先進国と言われている国に毎年釣りに行ってるが、そこで感じることは「海は国民みんなのもの」と言うことだ。
釣りをしていて漁船に邪魔されたことも注意を受けたこともない。逆に漁船に応援していただいたことは何度もある。活性が低いときに獲ったばかりのニシンやホキを海にコマセてくれたり、トロール船が網を上げる時間を教えてくれたり(網を上げるときに中の魚がこぼれるので、マグロなどの大型魚が集まってくる)、港で漁師さんが上げた魚をいただいたりなどだ。


我々釣り人のためにニシンを海にコマセてくれた漁師(カナダ)。
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網を揚げる瞬間が一番のチャンス。トロール船にギリギリまで近づきフックの付いた餌を放り投げる(ニュージーランド)。
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ところが我が国はとなると、実績のある瀬で釣りをしていると、いきなり漁船に出て行けと言われたり、釣りをしているのにも関わらずまき網船に囲まれて追い出されることもある。出て行けと言う権利はないし(地先権と言うのは現在存在しないし、漁業権に浮魚は含まれない)、まき網船が釣船の周りに網を入れたら出て行けという権利もない。網を入れた後にその中に釣り船が入ったなら追い出されても仕方ないが、しかしそんな釣り船はいないだろう。


写真は突然まき網船が遊漁船のど真ん中に入ってきて、出て行けと言わんばかりに遊漁船を囲むように網を入れ始めた。
赤印がまき網船、青印が遊漁船。
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資源管理先進国ではレクリエーショナル(遊漁、スポーツフィッシング)にもいろいろなルールや規制が設けられている。まずレギュレーションであるが、何センチ以下はキープ不可、1日1人何匹まで、1日1ボート何匹まで、といったルールである。監視も厳しく、違反すれば船長と釣り人双方に高額の罰金、悪質なら逮捕もある。俺の知り合いの船長は釣り禁止場所で釣りをして罰金2000万円という判決だったが、罰金が払えないので刑務所送りとなった。すでに2年経つがいまだに服役中である。アメリカでもカナダでも何度も港でチェックを受けたり、洋上で乗り込んできて検査を受けている。


マリーナでチェックを受ける(アメリカ)。
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洋上でファイティングタイムのチェックを受ける(カナダ)
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そんな厳しい国は嫌だと思う人もいるだろう。ところが魚は大きくていっぱい釣れるのだ。日本では大きな魚を釣りたくても小さい魚しか釣れない。大きくなる前に獲ってしまうからだ。そしてどんどん小さくなり、やがて釣れなくなる。釣れなくなると違う場所を探したり、違う魚種を狙い始める。そしてそれもやがて釣れなくなる。次々と場所とターゲットを変えて行く。いつか砂漠のような海になるだろう。


ライセンス制と言うのも先進国では当たり前になっている。ライセンスが無いと釣りができない。だから釣りをしたかったらライセンス料を払うのだが、これは釣り人に利息を付けて返ってくる。払ったライセンス料は魚たちの生息環境の調査、改善。稚魚の放流。回遊や産卵の調査費用などに使われる。結果として環境が改善され、魚たちも増える。ライセンス料は未来への投資なのだ。


先進国ではこのようなレギュレーションブックが無料で配布されている。
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これはノースカロライナ州のライセンス料がどのように使われているかの説明である。
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簡単に訳すと

貴方がノースカロライナ州で沿岸の遊漁ライセンスを買うという事はつまり、健全な水産資源を楽しむ事に投資をすると言う事なのです。
州法により、沿岸の遊漁ライセンスの売り上げ金は、そのライセンスの種類によって2通りに振り分けられます。
そして州法により、その使途は「州の海洋資源の管理、保護、再生、開発、栽培、保護、強化」に使われる事になります。
ノースキャロライナ州海洋資源寄付基金は、州の沿岸遊漁の終身ライセンスの売り上げ金で運営されており、その基金の利子のみを使い運営されています。
使途としては、主に調査研究費、遊漁の漁獲量の調査、人工漁礁等の設置やパブリックランプ(公営の無料で使えるボートのスロープ)の設置等に使われています。
下図のグラフによると、2007年以後、予算の36%が魚の調査、10%が生息環境調査、9%が生息環境造成、21%がパブリックアクセス(誰でも使えるボートランプ等)、2%が周知と教育、22%がライセンス販売や運営に使われています。
要するに、フィッシングライセンスで払ったお金が、その他の用途に使われる事無く、釣り場の環境整備等の、釣り人に関わるところに使われてますよという事です。





これは水産庁の初代釣り人専門官・櫻井政和さんがアメリカの釣りを調査してまとめた報告書です。とても勉強になります。
http://www.suisan-shinkou.or.jp/promotion/pdf/SuisanShinkou_565.pdf

その一部を抜粋

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国民が楽しく釣りができて、なおかつ釣りを普及させるために「レクリエーショナルフィッシングに関する大統領令」というのがあるのだ。アメリカでは釣り人の地位が高い。社会に「釣りは健全なスポーツでありレジャーである」と認められているのだ。



さらにアメリカと日本の違いは、コマーシャル(商業漁業)とレクリエーショナル(遊漁、スポーツフィッシング)の漁獲割り当てが別々に設けられていることだ。


これはヒラメである。コマーシャルの割り当ては3406トン、レクリエーショナルの割り当ては2508トンである。さらに禁漁期も明記されている。
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これはクロマグロであるが、コマーシャルよりレクリエーショナル(スポーツ)の方が多くなっている。
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レギュレーションは毎年のように変わる。それがいろいろなサイトに発表されている。

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そしてコマーシャルもレクリエーショナルもクロマグロを漁獲したら24時間以内の報告が義務付けられている。

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とにかく大西洋クロマグロの監視と規制は厳しい。産卵期のまき網漁の大幅短縮(地中海)、産卵期のまき網の漁獲大幅削減(地中海)、産卵場所の保護(メキシコ湾)などなど、そしてそれらが確実に結果を出している。


確実に資源が回復してきた西部側の大西洋クロマグロ

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急激に資源が回復している東部側のタイセイヨウクロマグロ

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何と大西洋には太平洋の40倍のクロマグロがいるのだ。面積は約半分なのだから密度は80倍である。



今年の3月にノースカロライナにクロマグロを釣りに行ったとき、洋上には漁船が1隻もいなかった。3月1日にコマーシャル(商業漁業)は枠に達して翌日には禁漁となった。ただし遊漁の枠は残っていたので我々は釣りを続けることができたのである。漁船の全くいないナブラだらけのクロマグロ漁場で自由に釣りなんて、日本ではありえない。



さて我が国だが、漁業と遊漁の漁獲枠が別々に設けられてない。漁業には割り当てが決められているが、遊漁には割り当ては決められてない。ではどうなるかと言うと、漁業が枠に達する(厳密には達する直前)と遊漁に自粛要請が発令される。漁獲量は漁業者の百分の1以下のたった10トンくらいしか釣ってない日本中の釣り人が自粛に追い込まれるのだ。
その漁業の規制だが、今年度も前年度も枠をオーバーする事態となっている。ようするに決められたことが守られてないのである。これがマスコミの報道などを見ると漁師が一方的に悪者にされているが、その原因を作ったのは水産庁である。外圧がかかるまで資源管理をほったらかしにしてきたのが原因で資源が激減し、窮地に立たされた漁師が違反するのである。そして現在も水産庁の知らないところで違反は続いている。


赤はすでに超過したところ。オレンジは超過直前。北海道は大幅に超過している。

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※ただし、先進国では釣り人が釣った魚を売ったり、レストランなどに持ち込むことも禁止されている。違反した場合は買った方も売った方も罰せられる。罰則は高額な罰金、悪質なら逮捕である。10万ドル以上の罰金、禁固2年以上の実刑、船の没収などもある。そうやって専業の漁業者を守っているのだ。もしこれだけの漁獲枠を持つ釣り人に売る権利を与えたら、市場の暴落は避けられないだろう。



昨年10月と今年の4月に水産庁で開かれた海面遊漁意見交換会では水産庁側から前向きな意見はまったく出なかった。レギュレーションにしても、ライセンス制にしても、漁獲報告をデジタル化することにも、「予算が無い」「人員がいない」という返事ばかりだった。残念なのは釣り団体からも否定的な意見が出たことだ。海外の現状に詳しいJGFA関係者は2回とも前向きな意見だった。関係者には未来を考えた施策と啓蒙活動を強くお願いしたい。

俺たちは水産庁の言い訳を聞きに行ってるのではない。そんな暇な時間は無いのだ。



SFPC(スポーツフィッシング推進委員会)では2000人規模の釣り人のアンケートを取っているが、資源保護への関心は極めて高く、ライセンス制に関しても賛成が多かった。ただし「わからない」という回答も多かった。今後はさらに啓蒙していくことが必要だろう。

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やる気のない水産庁や釣り団体に知っていただきたいスウェーデンのニュース

「スウェーデンとデンマークでクロマグロのタグ打ちに成功」

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完璧に成功しました!スウェーデン釣り協会の自然保護マネージャーであるMarkus Lundgren氏いわく、タグが打たれたこれらのクロマグロからもたらされる情報は、資源管理の改善と、北部の海域でのマグロ資源の回復に大きく寄与するということです。

この土曜日はスウェーデンの釣り人にとって歴史的な日となりました。スウェーデンの水域では初となるクロマグロにタグが打たれました。 これは、1964年以来初めて竿によって捕らえられたクロマグロでもあります。当日スウェーデン海域でタグを打たれリリースされたクロマグロは合計3匹(全長185センチから227センチ)で、デンマーク海域でも同じ日に2匹のマグロ(247センチと251センチ)がタグを打たれリリースされています。このタグ打ちプロジェクトは、ICCAT(大西洋マグロ類保存国際委員会)の資金援助を受け、スウェーデンの船団はEAA(欧州釣り人連合)の会員によって組織されました。同プロジェクトのスウェーデン側のメンバーは、WWF(とSLU Aqua(スウェーデン農業大学水産資源学科)、およびスペイン・バスク地方のタギングエキスパートであるInigo Onandia氏(Azti-Tecnalia研究所)の協力により編成されました。

タグが打たれた巨魚からは、北クロマグロの移動パターンに関する独自の情報が得られます。また、それぞれのマグロからは遺伝子サンプルも採取されています。このタグ打ちプロジェクトは引き続き数週間に渡って行われる見込みです」

この海域では、1960年代まで大きなマグロが獲れたようですが、それ以降めっきり見られなくなっていました。理由ははっきりしませんが、漁獲圧と海域の環境変化が原因ではないかと推測されています。

実に50年ぶりに戻ってきたクロマグロに対し、スウェーデンとデンマークでは、その背景を調べて将来に残していこうと言う機運が高まっています。」



研究機関、資源管理団体、そして遊漁者が協力してクロマグロの生態調査をやる。日本でもやろうと思えばできることである。




最後に水産庁の天下り先と、まき網団体(一部は天下り先)を紹介する。よくもこんなに作ったと関心する。探せばまだまだあると思うが、忙しくて探す時間がない。


一般社団法人 大日本水産会
全国さんま棒受網漁業協同組合
一般社団法人 日本定置漁業協会
一般社団法人 全国いか釣り漁業協会
一般社団法人 責任あるまぐろ漁業推進機構
公益財団法人 海外漁業協力財団
一般財団法人 海苔増殖振興会
一般社団法人 全国さけ・ます増殖振興会
公益社団法人 全国漁港漁場協会
独立行政法人 国際協力機構
日本かつお・まぐろ漁業協同組合
日本遠洋旋網漁業協同組合
一般社団法人 水産土木建設技術センター
一般社団法人 全日本漁港建設協会
一般社団法人 海洋水産システム協会
公益財団法人 海洋生物環境研究所
一般財団法人 漁港漁場漁村総合研究所
公益財団法人 海と渚環境美化・油濁対策機構
一般社団法人 漁業情報サービスセンター
北部太平洋まき網漁業協同組合連合会
公益社団法人 全国豊かな海づくり推進協会
一般社団法人 全国底曳網漁業連合会
一般社団法人 海外まき網漁業協会
一般社団法人 漁港漁場新技術研究会
全国漁港・漁村振興漁業協同組合連合会
日本漁船保険組合
全国漁業信用基金協会
一般社団法人 漁業信用基金中央会
全国漁業共済組合連合会
公益社団法人 日本水産資源保護協会
一般社団法人 全国水産技術者協会
一般社団法人 全国まき網漁業協会
一般社団法人 マリノフォーラム21
国立研究開発法人 水産研究・教育機構
一般財団法人 日本鯨類研究所
独立行政法人 農林漁業信用基金
国立研究開発法人 国際農林水産業研究センター
独立行政法人 農林水産消費安全技術センター

まき網関係団体
北海道まき網漁業協会
北部太平洋まき網漁業協同組合連合会
北部日本海まき網漁業協会
静岡県旋網漁業者協会
愛知三重大中まき網協会
中部日本海まき網漁業協会
山陰旋網漁業協同組合
愛媛県まき網漁業協議会
日本遠洋旋網漁業協同組合
大分県旋網漁業協議会
鹿児島県旋網漁業協同組合



そして目を疑う大日本水産会などへの補助金と交付金。平成20年度は大日本水産会へは1000億円近くが渡っている。

水産庁サイトより。平成20年の資料。

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http://www.maff.go.jp/j/aid/kohu_kettei/h20/suisan/pdf/ippan_kaikei.pdf



漁業者はこの70年間で7分の1にまで減少した。漁獲量も資源量も減少する一方である。しかし天下り団体はまったく減らない。これらの団体は国などからの交付金や補助金が運営費の多くを占めるが、ほとんど成果を上げてない。税金泥棒と言われても仕方ないだろう。