2017/10/12

釣り人と行政の意見交換会

行政と釣り団体の意見交換会にJGFAの一員として出席した。左から丸橋副会長、若林事務局長、斉藤理事。
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都県と釣り団体の意見交換会
水産庁中央会議室にて開催

出席は水産庁、各県の水産部、海上保安庁、日本釣り振興会、全日本釣り団体協議会、釣りインストラクター機構、東京湾遊漁船業協同組合、JGFA、日本マリン事業協会、計37名


釣り人と行政の意見交換会だが、釣り(レジャーフィッシング、スポーツフィッシング)を普及、推進という点ではほとんど意味のない交換会。なぜなら資源が減る一方の現状では、どのような努力も計画も効果は期待できない。単純に言えば魚がいなくなったら釣りはできないのである。


一部の人から「言い過ぎ」と言われるくらい発言してきた。


まず、最初の発言

俺「写真を撮っていいですか?」
斎藤座長(水産庁・室長)「私はかまいませんが、皆さんの了解を得てないので、今回はご遠慮してください」「よろしければ交換会終了後に私が一緒に写りますが」
俺「一人だけ撮ってもねぇ(笑)」
最近の国際会議でやたらと「透明性」とか「公平性」とかを聞いた。ところが相変わらず不透明。こんなことだから密漁や違反が絶えないんだよ。だいたい会議に密漁者来てないだろ。写ってまずい人がいるのか?


次に水産庁側から釣り団体に意見を求められたが、釣り団体側はほぼ無言。そこで俺は次々と発言。JGFAの丸橋さんも若林さんも積極的に発言した。なんか水産庁とJGFAの交換会みたいだ。後半になって他の釣り団体もようやく積極的になってきた。
最初に感じたのは「日本独特の会議の雰囲気」
話しちゃいけないような雰囲気。ただただ定例的に意味のない議題を少ない発言で消化していく雰囲気。これでは何も変わらないだろうと俺は思って聞いていた。


残念な発言は
「水産庁からの指示を待っている」
これは駄目だな。こんなんでは何も変わらないし、水産庁は働きもしない。こっちが積極的に意見を言い、どんどんプッシュしなければならない。待っていたら30年経っても変わらない。

俺「水産庁はどんどん言わないと働かない。そして何も知らないんだから俺たちが教えてあげなくてはいけない」

カナダやアメリカ、ニュージーランド、ノルウェー、アイスランド、南米、いろんな国のレギュレーションや資源管理の話をした。

俺「厳しい罰則と監視を設けないと、今のままでは10年経っても20年経っても変わらない」
「最近、クロマグロに関しては北海道の定置が57トンの枠に対して10倍以上の漁獲があった。これって漁師は完全に枠を守る気がないんだよ。水産庁はこれでいいのか?」
「ルールを守った者が損をして、ルールを破った者が得をするなんてことは絶対にあってはならない。こんなことを続けていたら誰もルールを守らなくなる」
「釣り人も漁師も同じ。自粛要請だけでは大きな効果は期待できない」
「このままでは釣りも漁業も未来は無い」
「酔っ払い運転も罰金、罰則を厳しくしたら一気に減った。もし罰則もなく、注意だけなら飲酒運転は減らない」
「アメリカはNOAA(アメリカ海洋大気庁、日本の環境省のようなもの)が資源管理をやっている。水産庁もやる気がないなら資源管理は環境省にやらせればよい」


俺「釣りを広めたいなら、まず海や川を豊かにすること」「資源の豊かな国の釣り人はマナーが良い。逆に資源の貧しい国の釣り人はマナーが悪い」


俺「カナダのクロマグロ釣りの遊漁船の船長(本業は漁師)はリリースの講習を受けなければならない」「釣り人の魚は売るのも買うのも違反」「監視も罰則も日本に比べてはるかに厳しい」他いろいろ。
「そうやって資源を守り、漁業者とのトラブルも避けているんだよ」


俺「レギュレーションを設けるべき。こんなことは本来、行政がやることで釣り人が言うことではない。あまりに愚かだから言うんだよ」「資源管理先進国はどこにもレギュレーションがあり、そのルールブックは無料で配られている。子供のうちから遊びを通じて社会のルールを知る。こういう環境だから資源保護や自然保護、環境問題に関心のある大人に育つ」


俺「魚が釣れるところは地方に多い。釣り人は魚が釣れればどこへでも行く。そして地方の経済に貢献している。アメリカもカナダもノルウェーも釣り場は田舎が多い。そして国内、海外からたくさんの釣り人が訪れる。それは地方の経済に大きく貢献している。日本は魚がどんどん釣れなくなり、地方の旅館、遊漁船などはどんどんつぶれて、町や島など全体に活気がない」



資源管理に関しては
室長「規制改革推進会議が発動したので資源管理も盛り込まれると思います。TAC、IQ制などもこれから進むと思います」「厳しい管理は漁業者の生活を脅かす。魚は増えたが漁師がいなくなっていたということになりかねない」

俺「資源管理なんて水産庁は何十年も前から言ってるだろ。そしてほとんど効果が出てない。そして漁師の違反、密漁はまったく減らない。規制とか管理とか監視とか罰則とか甘すぎるんだよ」「そんな甘い考えだから日本の水産業はここまで衰退した。しっかり管理しないと日本の漁業は滅ぶ」「クロマグロに関してB020(初期資源量の20パーセント)のことを言ってるんだろうけど、20パーセントはやらなければならない数字。全然厳しいと思わない。ここまで何もしなかったことが大問題」「水産庁のシミュレーションでは禁漁3年で達成できる」


俺「水産資源は国民の財産と水産庁側も会議の冒頭などで話すようになった。釣り人は国民の財産で遊ばせていただいてるのだからルールやマナーを守るのは当たり前。漁業者は国民の財産の一部を利用して生計を立てているのだから、資源を減らさないように漁をするのは当たり前だ」


他にもいっぱい発言しました。熱くなって議題の主旨から外れることも(笑)


帰りに数人の釣り団体、水産庁の方から挨拶をされ、意見を求められた。
水産庁職員「なんでこんなにいろいろと知っているのですか?」
俺「水産庁にもニッスイにも境港にも築地にも応援してくれる方がたくさんいます。皆さん本名は言えませんが、全国いろいろなところから情報は集まります」


言い過ぎに関しては、全日本釣り団体協議会の専務から「どんどん言ってください」と励まされました。


ちなみに今年出席した会議やシンポジウム、対談とリンク先(一部)

1月24日 第14回成果発表会(水産研究教育機構主催)
「成果はあったのか? 」
http://uminchumogi.blog111.fc2.com/blog-entry-457.html

2月14日 水産研究教育機構の宮原理事長(農水省顧問)と対談
4月26、27日 水産庁ステークホルダー会合
「豊かな海へ!」(腐敗と戦う)
http://uminchumogi.blog111.fc2.com/blog-entry-462.html
「どこへ行く、我が国水産業」
http://uminchumogi.blog111.fc2.com/blog-entry-463.html

5月16日 国際シンポジウム「水産物の透明性と持続可能性」(水産研究教育機構・早稲田大学の共催)
5月19日 羽田市場を水産庁職員と見学、そのあと懇親会
5月25日 水産庁前でデモ、そのあと水産庁に挨拶
6月21日 シンポジウム「漁業資源管理と公平性」(講師:小松、ハインズ)
「資源管理改革派の重鎮と釣り大好き博士のお話」
http://uminchumogi.blog111.fc2.com/blog-entry-464.html

8月7日 小松正之氏(資源管理の大御所、元水産庁)と対談
8月8日 全国マグロ会議(水産庁主催)
10月11日 水産庁、都県との意見交換会

年内にあと1回水産庁と会う予定。


座長を務めた水産庁・遊漁室の斎藤室長
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5月16日に早稲田大学で開催された国際シンポジウム「水産物の透明性と持続可能性」
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いままでいろんなシンポジウムに参加したけど、今回はほんとうに素晴らしいシンポジウムでした。
水産研究教育機構(宮原理事長)と早稲田大学に感謝しつつ、登壇した各報告者の中身のある未来に向けた講演にも深く感謝します。
全体的に偏らず、公平な内容のシンポジウムでした。

アメリカやEUの報告者はたくさんのヒントを我々に教えてくれたと思います。皆さんとても紳士的な話し方でした。

We don't manage fish, we manage people.
「魚を管理するのではなく、人間を管理する。」
魚は魚を滅ぼしません。魚は環境を破壊しません。人間が資源にも環境にも一番の影響を与えてます。人間を管理できれば魚は勝手に増えていきます。


我が国は先送りばかりしていてはだめです。我が国の水産業は年々悪化して史上最悪の状態です。のんびりしている時間はありません。

中国、台湾、韓国、北朝鮮も脅威です。そのためのヒントを欧米の代表はたくさん教えてくれました。日本はこれからどうスピーディに進めていくかだと思います。

透明性、情報の公開と共有、最新テクノロジーを使った監視などなど。とくに日本の水産業は不透明な部分が多すぎます。それが違反や密漁を防げない大きな原因だと思います。

日本がまずやることは国内のIUU(違法、無報告、無規制)漁業をなくすことだと思います。現実は増え続けています。これではアジアのリーダーにはなれません。アジア、太平洋島嶼国の間でもIUUは深刻な問題です。でもまず日本は国内のIUUを厳しく取り締まるべきです。中国も台湾も未来を危惧している人はたくさんいます。資源の枯渇を望んでいる国はありません。

そして政治家、官僚に任せていては駄目だと改めて強く感じました。

一番大切なことは我々消費者がIUU、サスティナブル、トレーサビリティなどに関心を持つこと。そして我々も監視をすること。

未来は我々国民一人一人にかかっている。

このシンポジムの詳細はここを。
「身勝手な漁業」はもうやめませんか
高橋真理子
http://webronza.asahi.com/science/articles/2017052300005.html


5月19日、野本社長に誘われて羽田市場を水産庁職員と一緒に見学した。
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見学のあとは銀座で懇親会。この6日後に水産庁前でデモ(笑)
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懇親会は最高に楽しかった。一言で言うなら「悪い奴はいない。話せばみんな良い奴」



5月25日、3年連続で水産庁、ニッスイ本社前でデモ。116人が大声で吠えた。
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6月中旬、デモをあざ笑うかのように今年も産卵期のまき網漁が開始。
品質最低のクロマグロが今年も築地に大量に並んだ。競りではなんと7割が売れ残った。まったくの資源の無駄遣いだ。
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どこのスーパーでも特売。大安売り。品質最低。
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6月21日は釣りが大好きなスミソニアン環境研究センター.所長のハインズ博士の講演を聴いた。とても面白かった。
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8月7日は水産資源管理の大御所、小松正之先生と対談。日本の漁業改革に人生をかけている人。
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8月8日は「全国マグロ会議」にオブザーバー参加。水産庁の管理方針、全国の漁師の声を聞いた。
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明治の中頃まではエンジン付きの漁船は無かった。沿岸での漁獲能力の小さい漁業しかなかった。近代は沖合、遠洋、そして地球の裏側まで漁船は行って漁をする。漁獲能力も一気に拡大した。一度に100トン以上を漁獲することができるまき網。これは兵器でいえば核爆弾のような大量殺人兵器である。野放しにしたら世界の海はあっと言う間に魚の消えた死の海になるだろう。現に世界の海洋水産資源の約8割が枯渇、過剰漁獲、満限利用の状態にあるのだ。

100年前ならアジアの小国が世界を脅かせるなんてことはなかった。今は小国でさえ世界にとって脅威となる。ミサイルに核弾頭を付ければ1発で数百万人以上の命を奪ってしまうのだ。

自主規制の効果がほとんどないことは我が国の漁業の現状を見れば誰でもわかる。

マスコミはクロマグロを黒いダイヤなんて呼ぶのはやめたほうがよい。高値で取り引きされるのは一部。大多数がキロ1000円以下で取り引きされている。

ある漁業者「一度、定置に入ったマグロを外に放すと言うことはどういうことかわかりますか?」「あなた方、役人が楽しみにしていたボーナスを一度受け取って国庫に戻すと言うことではないですか?」
これに関しては水産資源は鼻から漁業者の物ではない。無主物と言って個人、企業の所有物ではない。国連海洋条約では水産資源は全人類の財産とうたっている。その一部を漁業者は獲らせていただいて、自分たちの収入としている。国民の財産である水産資源を分けていただいているという謙虚さを持つべきだ。当然、資源の悪化を招いたら漁業者にも責任がある。獲り過ぎたら返すのは当然。それはボーナスとは全く違う。俺はそういうものだと考えている。もちろん未来を見据えた資源管理を怠った行政に一番の責任がある。

またクロマグロを取り巻く市場は大きく変化しようとしている。
7月に訪れたスペイン最大のまき網&畜養会社の話「今はアメリカが一番のお客さんです。そして新たに中国に売り込みをかけてます」
ちなみにこのまき網会社(バルファゴ社)は1600トンの枠があるが、今年はたったの1週間で枠に達したそうだ。しかも平均サイスは133キロだった。これなら資源管理に成功したという記事にしても誰も文句は言わない。


会議終了後にドン宮原水産研究教育機構理事長(農水省顧問)が挨拶に来た。「俺と茂木さんは仲がいいんだ」
俺「だったらしっかりと資源管理をお願いします」「宮原さんに期待してますよ」
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最後に豊かなカナダの海は今年もたくさんの夢をかなえてくれた。
今年はTV番組に頼まれて俺も釣りをやった。カナダは7年連続来ているが、釣りをするのは初めてでした。


8月28日、スピニングタックル、ハーネス無しで550ポンド(250キロ)のクロマグロを56分でキャッチ!
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60分以内に上げることを目標としていたのでギリギリまでは無理をせず、50分経過後にフルドラグにして全力ファイト。


9月はハーネス無しのベイトタックルで挑んだ。短時間で上げるコツはロッドを立てつづけること。常に強いプレッシャーをかける。
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船長推定650ポンドを28分でキャッチ!
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カナダルールは制限時間60分です。2匹とも制限時間内に上げることができたことが一番うれしかった。
※ファイティングタイムが長引くとリリース後の生存率が下がるので、カナダでは60分と決められている。


今年のカナダは女性もチャレンジ。千葉の花園さんが650ポンドのクロマグロを交代なしのスタンドアップファイトでキャッチ!
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マグロ釣り、対談、会議、デモなどは12月に某大手TV局より放送される予定です。
釣り師茂木陽一とマグロ資源保護活動がテーマです。

放送日が決まったらご報告します。

合わせて映画製作も始まってます。

来年は別の大手TV局のクロマグロの生態番組に協力します。

2017/07/27

勉強不足の御用記事

カナダのプリンスエドワード島。赤毛のアンで有名な島に、毎年夏になると巨大クロマグロが回遊してくる。そのアベレージサイズは350キロ以上である。
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魚探に映った巨大クロマグロの群れ。日本でも50年以上昔ならこのようだったかもしれない。
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さて、本題に入ろう。

※青文字が記事 赤文字が事実



読売って、もっとましな記者いないのか?

記録が残る2003年以降

これは嘘!ちゃんと調べろ!

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記録は1982年から残っている。その年は19日間で1637トン獲った。しかも平均サイズは121キロ。境港と隠岐の間の狭い海域で1637トンも獲れたのだ。

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海水温も産卵に適した19℃に達しなかったため

これも間違い!19℃では産卵しない!クロマグロの産卵適水温は24℃である。




さらに!

築地では競りが成立せず、連日大量に売れ残った!



6月17日
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6月26日
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「売れ残ったことも調べろ!」


境港は昨年の7月1日は300トン以上も獲ってしまい、大暴落だった。安値は200円、平均単価384円なんてのもあった。これもヨーイドンで獲らせるから起きる問題。今年は、それにようやく気付き、各まき網に個別に割り当てて獲らせた。
こんなことはカナダは1年で気づいて実行している。境港は気づくのが遅い。
10年前に気づくべきだ。

境港クロマグロ平均単価(1キロ)
2008年 1360円
2009年 1260円
2015年 1120円
2016年 1077円
2017年  ?円 



白い札は売れ残り(築地市場)

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まき網で獲ったマグロは生きているうちに処理をしてないので体中に血が残っている。なので市場の床は血だらけになる。

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さらにスーパーでは激安販売。ヤケ、血栓、変色、ひどいもんだった。

クロマグロって

黒いダイヤ

でしたよね?

読売さん。



これはひどい。世界中の魚売り場を見てきたが、こんな汚いのは見たことがない。

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今月初めにスペインに行き、市場を見学。生きているうちに血抜きなどの処理をしたマグロの柵が大量に並んでた。昔はスペインもイタリアもカナダもアメリカも処理をせず、そのまま水揚げしていた。
それでは美味しくないから、このように処理をしなさいと教えたのは日本です。そしてどの国も生きているうちに処理をするようになった。
いま、その日本の市場に血だらけのマグロが並んでいる。教えられた海外の漁業関係者は驚くだろう。
「なんともったいない!」と。



スペインのバルバテの市場で。

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ちなみに地中海でも産卵期のまき網はやるけど、そのまま水揚げしないで畜養に移し、5か月から8か月餌を与えて、太らせてから出荷する。産卵後は40パーセントも痩せるそうだ。太らせることにより、価格は3倍以上に跳ね上がる。またまき網で巻いたあと畜養の生け簀へ移動中に網の中で産卵する。水揚げして殺してしまえば産卵はできないが、生かしておけば産卵する。
それと東大西洋クロマグロの親魚資源量は65万トン。そんなにいても漁獲枠は2万トン以下です。西大西洋の親魚資源量は約5万トン。それに対して漁獲枠は2,000トンです。そして西側は産卵場所(メキシコ湾)は禁漁です。

太平洋クロマグロの親魚資源量はたったの1.7万トン。それなのに漁獲枠は1万トン以上です(日本は約9,000トン)。日本は漁獲の7割が一番不味い産卵期に集中している。

そんな愚かな日本のマグロ漁を、あたかも資源管理に成功したように見せかける記事。

これも世界を知らないガラパゴス記事。

水産庁(天下り先を含む)からの依頼記事なら、これもヤラセだ。

そして我が国の水産業は昨年とうとう統計開始以来最悪にまで落ち込んだ。

ちなみにスペイン最大のまき網会社は1600トンの枠があるが、今年はたったの1週間で枠に達したそうだ。しかも平均サイスは133キロだった。これなら資源管理に成功したという記事にしても誰も文句は言わない。



PS.スペイン最大の畜養会社の話「今はアメリカが一番のお客さんです。そして新たに中国に売り込みをかけてます」

愚かなことを続けていると、質の良いクロマグロを日本人は食べられなくなるかもしれません。
2017/06/22

資源管理改革派の重鎮と釣り大好き博士のお話

漁業資源管理と公平性

6月21日、日本財団ビル2階会議室でアンソン・ハインズ博士(米国スミソニアン環境研究所所長)と小松正之先生(東京財団上席研究員)の講演を拝聴してきた。

まず小松先生だが、アメリカのエール大学でMBAを取得、その後農林省に入省、主に水産庁で働き、国際交渉で活躍してきた。アイスランド、ノルウェー、ニュージーランド、アメリカ、カナダなど資源管理先進国を多数訪問。そのため海外の成功事例に詳しく、それを日本へ取り入れるために尽力している。「海は誰のものか」「日本の食卓から魚が消える日」「世界と日本の漁業管理」など、著書多数。俺も小松先生の本は何冊も買って読んだ。とくに「海は誰のものか」は俺の考えを大きく方向付けた。


会場には200人くらいの人が集まった。
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そしてメインスピーカー(講演者)のアンソン・ハインズ博士。米国スミソニアン環境研究所所長であり、アメリカ沿岸地域の生態研究に長年中心的な役割を果たしてきた。書籍や学術ジャーナルに掲載された論文は150以上にわたる。

ハインズ博士が最初に壇上に立ち、話し始めたのだが、まずレクリエーションフィッシング(遊びの釣り)から入ったのに驚いた。日本のシンポジウムや会議、会合で「遊びの釣り(遊漁)」から話し始めた人は過去に俺が知る限り一人もない。子供のころから釣りが大好きで14歳の時に大きなマグロを釣り、そしてストライプトバスなどいろんな魚を釣ってきた。子も孫も釣りが大好きだと話していた。


ハインズ博士は大の釣り好き。子も孫も釣りが大好きだそうだ。
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ワシントンDCの目の前にあるチェサピーク湾は日本でいえば東京湾みたいなもの。そこは汚染や乱獲が進み、ストライプトバスなど多くの魚の資源が危機的にまで減少した。そして資源回復のために政府、漁業者、釣り人、科学者、NGOなどが団結して積極的に動き資源管理がスタートした。そして禁漁にすると資源はどんどん回復していった。

アメリカはスポーツフィッシング(レクリエーションフィッシング、遊漁)が盛んである。そしてスポーツフィッシングには大きな経済効果がある。マイアミなどは網を使う漁業は長年禁止である。あの200キロ以上になる巨大ハタ(ゴライアスグルーパー)は1990年から全面禁漁になり、2006年から遊漁だけはOK(ただし、すべて船べりでリリース)となったが、漁業はいまだに禁止である。俺がよく行くノースカロライナやケープコッドなども引き縄か一本釣り、そしてはえ縄か突きん棒(ハプーン)である。まき網船など見たことも聞いたこともない。

このようにスポーツフィッシングが強いのは、遊漁の経済効果が大きいからなのだそうだ。また人口も多いので政治的にも強い。数万人の漁業者に対し、釣り人は3300万人もいる。釣りに行くための交通費(飛行機代など)、現地での宿泊費、船代、そして釣り具購入、船購入などを含めた経済効果は5兆円以上と言われている。

ただし、地域、魚種によっては漁業者の方が経済効果が高いケースもある。アメリカは経済効果、そして人口などに配慮してクオータ(枠)やレギュレーションを決定する。その基本となるのは科学的なデータである。

ノルウエー、アイスランドなど北欧はアトランティックサーモン釣りが大人気。地方のど田舎にシーズンになると世界中からアングラーが押し寄せる。釣りの費用は1日1人20万円以上が当たり前。それでもすべてのフィッシングロッジが予約で満杯になる。その経済効果はど田舎ではとんでもなく大きい。カナダのクロマグロ釣りも同じだ。300キロ以上の巨大クロマグロが毎日ヒットするので、どの船も半年以上前に予約が必要だ。人気船やロッジはは3年先まで予約で埋まっている。そのどれもが都会でなく地方なのだ。そしてどの村も生活レベルは高く、人々の心も豊かである。自然が豊かになれば無駄な争いもなくなる。これこそ地方創生と言えるだろう。

対して、日本はどうだろうか。水産資源の管理に遊漁はほぼ蚊帳の外である。昔から続く「海は漁師のもの」という意識が強く、釣り人が資源に関して何か言おうものなら、多くの場合「お前ら遊びでやってんだろ。俺たちは生活が懸かっているんだ。ガタガタ言うな」となる。国民からも釣り人は低く見られている。確かにマナーの悪い釣り人は多い。そこは改善していかなければならない。しかし、釣り人が経済に与える効果の大きさに関しては、日本人のほとんどは考えてない。そこが欧米やオセアニアと違うところだ。中南米でも釣り人の経済効果が大きいことは認められている。

日本の釣り人口は減ったと言えども700万人である。16万人の漁業者よりは大きな経済効果があるだろうし、納めている税金もはるかに多い。そして釣り人には補助金などというものは一切出てない。遊ぶために日々一生懸命働いているのだ。

しかし国内の現状は魚が釣れなくなるばかりである。このままでは国内で釣りをする人はどんどん減り、海外に出かけて釣りをする人が増えるだろう。その結果、国内の地方創生にはまったく貢献しなくなり、海外の地方創生に貢献するということとなる。これも本末転倒である。


いろいろ言ったが、しかし、変化は感じる。2月に水産研究教育機構の宮原理事長と対談したとき、まず俺はこう聞いた。
俺「宮原さん、海って誰のものですか?」
宮原さんは少し考えて「未来の人たちのもの」と答えた。素晴らしい答えだと思った。だったら我々は未来の人のために豊かな海を残すことは義務である。そこに漁師と釣り人の隔たりはない。

小松さんは「海は国民みんなのもの、世界人類共通の財産」と何度も言っている。

最近は行政主催の会議、会合、シンポジウムに釣り人も参加できるようになった。いままでは漁業者、行政、政治家だけということが多かったが、NGO、釣り人、大学関係者などの参加が増えている。そして先進国で最も重視される透明性、公平性も少しずつ感じるようになってきた(まだまだだが)。

アメリカ大使館のラケル・カントゥ女史が講演終了後に俺に近づいてきた。どうやら4月のISCステークホルダーの会合で俺と会っているらしい。いろいろと話しかけてくるのだが、英語が苦手な俺には8割くらいがチンプンカンプン。そのとき、すぐそばにいた東京財団の平沼さんが通訳をしてくれた。それからは話がトントン拍子に進んだ。日本の水産業があまりにも不透明でデータなどを集めるのが大変なんだそうだ。俺もまったく同じように感じている。アメリカの漁師さんはとても親切であり、港に行けば釣り人の我々が質問しても親切丁寧に答えてくれる。日本は応えないケースが多く、透明性はまったく感じられない。その結果、真面目な人が損をして、違法漁業、密漁者が得をするというおかしな現象を生んでいる。

欧米はずっと昔から海は国民のものという考えが定着している。だから政府、漁業者、釣り人、NGO、学者、主婦、など誰もが海は自分たちで守るものと理解している。そして透明性、公平性が高い。それがIUU(違法、無報告、無規制)漁業撲滅へと繋がっている。透明性が高くなれば違法なことはやりづらくなる(見えてしまう)のだ。

そして豊かな海は人の心も豊かにする。貧しくなれば争いが始まる。

それは歴史が証明している。

ハインズ博士のお話は、それらの基本となる考えを再確認させてくれた。

国内でのシンポジウムや会議に、釣り人はどんどん積極的に参加すべきだ。

自分たちの海だという意識を持てば日本も変わっていくだろう。




アメリカ北東部の海岸で釣り人に大人気のストライプトバス。
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ストライプトバスは漁業者にも重要な魚だ。
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沿岸に集まるストライプトバスは東京湾のスズキ(シーバス)のように大人気だ。
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やがて漁師、釣り人の乱獲が原因でキャッチ数(漁獲)は激減していった。
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そして1990年についに禁漁となる、すると資源は突然回復へと転じた。
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これはメンハーデンンという釣り人にはなじみの薄い魚だが、魚料理、魚油とうに利用されていて巾着網による乱獲が進んでいた。
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最初のころは資源が減っても関心が低かった釣り人だが、「メンハーデン」はストライプトバスの餌」とわかると、「メンハーデンを獲るな」という釣り人の声が一気に盛り上がる。
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そしてメンハーデンにもクオータ(枠)が設けられ、資源は比較的安定へと向かった。
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以下は小松先生の講演である。科学をマニュピレートしていないお話で実にわかりやすかった。
言い訳、自画自賛ばかりの水産庁、御用学者の講演はとにかくわかりづらい。
「親と子の相関関係はない」「産卵前に獲っても産卵後に獲っても資源への影響は同じ」「日本の資源管理は世界が注目」などなど、素人でも少し勉強すればおかしいと気づくことばかりである。
その点、小松先生のお話は事実を基に話しているのでわかりやすく、説得力があった。



マイワシの漁獲量の推移。最近「マイワシ豊漁」なんて記事を見かけるが、これで豊漁なんて言えるのか。
100万円あった小遣いが1万円に減らされ、それが2万円に増えたようなものだ。喜ぶには超早すぎる。

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サバである。これも増えたというにはまだ早い。我が国の漁業者は少し増えると「枠を増やせ」と大騒ぎする。そしてあっという間に元のどん底に戻ってしまう。もう少し我慢して安定水準まで資源を回復させてからTACを決めて計画的に獲るべきである。
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太平洋クロマグロである。まだまだ増えたとは言えない。大西洋クロマグロの資源量はなんと太平洋クロマグロの40倍である。そんなに多いのに、大西洋はしっかりと資源を考えながら漁業をやっている。太平洋はいまだに食べても一番美味しくない産卵期を狙った漁が全体の7割以上を占める。挙句に供給過多になり、築地では連日大量に売れ残る(競り不成立)。
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北海道はホッケが激減している。10年位前はホッケは簡単にたくさん釣れるので、釣りの外道扱いだった。ところが最近は大本命と聞いている。
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サンマである。最近は中国と台湾の漁獲が増えている。しかし、果たして他国の責任にできるだろうか。せっかく世界で6番目の広大なEEZを与えられながら、それを有効に利用できない日本。小型魚乱獲、魚価の低迷、多くの問題は国内にある。
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産卵期を狙うのはクロマグロだけではない。ニシン(数の子)もシシャモもスケソウダラ(タラコ)も産卵期を狙う。挙句に資源は危機的にまで減り、スーパーに並ぶのは外国産だらけになった。
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スルメイカ。昨年は過去最低記録を更新した。今年もすでに不漁が確実と言われている。日本の食文化はもはや国産だけではまかなえない。外国産だらけの日本の食文化って、何か違うだろ。
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その結果、日本の水産業は世界でほぼ一人負けとなった。行政(天下り含む)と漁業者、そして政治家に任せた結果である。金が絡む人が管理すると必ずこうなる。本来なら資源管理は環境省がやるべきだろう。アメリカは海洋大気庁(NOAA)が中心になって資源管理をやっている。
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釣り大好きのハインズ博士に写真集をプレゼント。会議の途中、質問をさせていただいたが、とても良い質問ですと誉められた。
質問の内容は「日本は釣り人の地位が低い。アメリカは大きな魚がいっぱい釣れて、釣りにも活気があるし、何よりも釣りが国民に高く評価されている」「日本の漁業には透明性がない。」「釣り人の地位をあげる。そして資源管理に強い影響力を持つためには何をやったらいいのか?」など。
答えは「スポーツフィッシングの経済効果の大きさ、そして釣り人が団結してロビー活動をする」。その結果、多くの地域で漁業より、遊漁のほうが強いんだそうだ。

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アメリカ大使館のラケルさん(右)と東京財団の平沼さん。俺は英語がまったく苦手でわからない。途中から平沼さんが通訳を受けてくれて話はトントン拍子に進んだ。ラケルさんは、日本の漁業のデータを集めたいけど、不透明すぎてまったく進まないと嘆いていた。5月の早稲田のシンポジウムでは透明性と言う言葉が海外の研究者から何度も聞かされた。それが日本に一番欠けていることだろう。そんなことだからIUU(違法、無報告、無規制)漁業がいつまで経っても減らないのだ。
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やっと会えた小松先生。言い訳は一切なしの真正面トーク。この人の本は何冊も買って読んだ。今でも俺の大切な教科書である。対談を申し込むと喜んで受けてくれた。この耳で直に世界の資源管理を聞くのが今から楽しみである。
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土佐の一本釣りで有名な明神丸の明神社長(真ん中)。日本近海でカツオが獲れなくなった理由など、豊富な経験を引き出しながら話してくれた。そして水産業に対して前向きな記事が多い「みなと新聞」の川﨑さん(現在は顧問)。俺も何度か一面で登場させていただいてます。
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アイスランドでのアトランティックサーモン釣り。首都レイキャビクから遠く離れたど田舎だが、釣りのシーズンになると世界中からの釣り客で賑わう。
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アイスランドでは釣ったサーモンはリリースしないで、あちこちに置かれている生け簀の中に入れておく。定期的に回収車が来て、人工孵化場へと運び、そこで受精、産卵し、ある程度の大きさまで育てられたのち、川に放流する。その管理は完璧と言える。とにかくアイスランドはアトランティックを釣るには最高の場所の一つなのだ。
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こんな車や、ヘリコプターで世界中から釣り人が、この田舎に集まる。釣り人の落とすお金は村の経済をとんでもなく豊かにしている。
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これはノルウエーの釣り人用のロッジ。1泊30万円ほど(釣りとガイド料込み)。これでも中級であり、高級なところは1泊50万円を超す。それでも毎年予約はすべて埋まるらしい。
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こんな小屋が釣り場にあり、スタッフが食べ物やビールを届けてくれる。釣り場はプライベートポンド(私有地)なので、部外者は入ってこない。
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ニュージーランド南島。ここでは大きな太平洋クロマグロが釣れる。ポイントはホキを獲っているトロール船の周りだ。網を上げるときにこぼれるホキを狙って海鳥やクロマグロ、アシカが集まる。その網を上げ終わる直前が最大のチャンス。釣り船は一気にトロール船に近づいて餌の付いた仕掛けを船めがけて投げ入れる。こんなに近づいてもトロール船に怒られることはない。逆にホキをごそっとコマセ代わりに巻いてくれるのだ。
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これはカナダのプリンスエドワード島。ニシン漁の漁船の周りがクロマグロの最高の釣り場となる。遊漁の船長が「ニシンを巻いてくれ」と言うと、迷わず船員は上げたばかりのニシンを大量に海に蹴とばしてくれる。その数秒後にヒットすることはまったく珍しいことではない。
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カナダでは遊漁は原則リリースである。船には上げないで、船べりでリリースする。その際にタグを打つことが多い。リリース後の生存率は96パーセントと聞いている。
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世界的に魚食の需要は増えている。今までのような計画性のない漁業は確実に資源の枯渇を招く。これからは持続性(サスティナブル)を考えた漁業を考えなければならない。獲るよりも守る、増やす、育てることを優先する。そして透明性、公平性を高めること。

そして何よりも大切なことは

「魚は美味しいときに必要なだけ獲って(釣って)食べること」である。

そのために必要なのはレギュレーションである。サイズリミット、バッグリミットを定める。禁漁期も必要である。産卵期、産卵場は原則禁止である。厳しい罰則も監視も必要である。ルールを守った者が損をして、守らないものが得をするようなことは絶対にあってはならない。

資源が回復すれば漁師も釣り人もハッピーになれるのだ。