2017/06/22

資源管理改革派の重鎮と釣り大好き博士のお話

漁業資源管理と公平性

6月21日、日本財団ビル2階会議室でアンソン・ハインズ博士(米国スミソニアン環境研究所所長)と小松正之先生(東京財団上席研究員)の講演を拝聴してきた。

まず小松先生だが、アメリカのエール大学でMBAを取得、その後農林省に入省、主に水産庁で働き、国際交渉で活躍してきた。アイスランド、ノルウェー、ニュージーランド、アメリカ、カナダなど資源管理先進国を多数訪問。そのため海外の成功事例に詳しく、それを日本へ取り入れるために尽力している。「海は誰のものか」「日本の食卓から魚が消える日」「世界と日本の漁業管理」など、著書多数。俺も小松先生の本は何冊も買って読んだ。とくに「海は誰のものか」は俺の考えを大きく方向付けた。


会場には200人くらいの人が集まった。
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そしてメインスピーカー(講演者)のアンソン・ハインズ博士。米国スミソニアン環境研究所所長であり、アメリカ沿岸地域の生態研究に長年中心的な役割を果たしてきた。書籍や学術ジャーナルに掲載された論文は150以上にわたる。

ハインズ博士が最初に壇上に立ち、話し始めたのだが、まずレクリエーションフィッシング(遊びの釣り)から入ったのに驚いた。日本のシンポジウムや会議、会合で「遊びの釣り(遊漁)」から話し始めた人は過去に俺が知る限り一人もない。子供のころから釣りが大好きで14歳の時に大きなマグロを釣り、そしてストライプトバスなどいろんな魚を釣ってきた。子も孫も釣りが大好きだと話していた。


ハインズ博士は大の釣り好き。子も孫も釣りが大好きだそうだ。
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ワシントンDCの目の前にあるチェサピーク湾は日本でいえば東京湾みたいなもの。そこは汚染や乱獲が進み、ストライプトバスなど多くの魚の資源が危機的にまで減少した。そして資源回復のために政府、漁業者、釣り人、科学者、NGOなどが団結して積極的に動き資源管理がスタートした。そして禁漁にすると資源はどんどん回復していった。

アメリカはスポーツフィッシング(レクリエーションフィッシング、遊漁)が盛んである。そしてスポーツフィッシングには大きな経済効果がある。マイアミなどは網を使う漁業は長年禁止である。あの200キロ以上になる巨大ハタ(ゴライアスグルーパー)は1990年から全面禁漁になり、2006年から遊漁だけはOK(ただし、すべて船べりでリリース)となったが、漁業はいまだに禁止である。俺がよく行くノースカロライナやケープコッドなども引き縄か一本釣り、そしてはえ縄か突きん棒(ハプーン)である。まき網船など見たことも聞いたこともない。

このようにスポーツフィッシングが強いのは、遊漁の経済効果が大きいからなのだそうだ。また人口も多いので政治的にも強い。数万人の漁業者に対し、釣り人は3300万人もいる。釣りに行くための交通費(飛行機代など)、現地での宿泊費、船代、そして釣り具購入、船購入などを含めた経済効果は5兆円以上と言われている。

ただし、地域、魚種によっては漁業者の方が経済効果が高いケースもある。アメリカは経済効果、そして人口などに配慮してクオータ(枠)やレギュレーションを決定する。その基本となるのは科学的なデータである。

ノルウエー、アイスランドなど北欧はアトランティックサーモン釣りが大人気。地方のど田舎にシーズンになると世界中からアングラーが押し寄せる。釣りの費用は1日1人20万円以上が当たり前。それでもすべてのフィッシングロッジが予約で満杯になる。その経済効果はど田舎ではとんでもなく大きい。カナダのクロマグロ釣りも同じだ。300キロ以上の巨大クロマグロが毎日ヒットするので、どの船も半年以上前に予約が必要だ。人気船やロッジはは3年先まで予約で埋まっている。そのどれもが都会でなく地方なのだ。そしてどの村も生活レベルは高く、人々の心も豊かである。自然が豊かになれば無駄な争いもなくなる。これこそ地方創生と言えるだろう。

対して、日本はどうだろうか。水産資源の管理に遊漁はほぼ蚊帳の外である。昔から続く「海は漁師のもの」という意識が強く、釣り人が資源に関して何か言おうものなら、多くの場合「お前ら遊びでやってんだろ。俺たちは生活が懸かっているんだ。ガタガタ言うな」となる。国民からも釣り人は低く見られている。確かにマナーの悪い釣り人は多い。そこは改善していかなければならない。しかし、釣り人が経済に与える効果の大きさに関しては、日本人のほとんどは考えてない。そこが欧米やオセアニアと違うところだ。中南米でも釣り人の経済効果が大きいことは認められている。

日本の釣り人口は減ったと言えども700万人である。16万人の漁業者よりは大きな経済効果があるだろうし、納めている税金もはるかに多い。そして釣り人には補助金などというものは一切出てない。遊ぶために日々一生懸命働いているのだ。

しかし国内の現状は魚が釣れなくなるばかりである。このままでは国内で釣りをする人はどんどん減り、海外に出かけて釣りをする人が増えるだろう。その結果、国内の地方創生にはまったく貢献しなくなり、海外の地方創生に貢献するということとなる。これも本末転倒である。


いろいろ言ったが、しかし、変化は感じる。2月に水産研究教育機構の宮原理事長と対談したとき、まず俺はこう聞いた。
俺「宮原さん、海って誰のものですか?」
宮原さんは少し考えて「未来の人たちのもの」と答えた。素晴らしい答えだと思った。だったら我々は未来の人のために豊かな海を残すことは義務である。そこに漁師と釣り人の隔たりはない。

小松さんは「海は国民みんなのもの、世界人類共通の財産」と何度も言っている。

最近は行政主催の会議、会合、シンポジウムに釣り人も参加できるようになった。いままでは漁業者、行政、政治家だけということが多かったが、NGO、釣り人、大学関係者などの参加が増えている。そして先進国で最も重視される透明性、公平性も少しずつ感じるようになってきた(まだまだだが)。

アメリカ大使館のラケル・カントゥ女史が講演終了後に俺に近づいてきた。どうやら4月のISCステークホルダーの会合で俺と会っているらしい。いろいろと話しかけてくるのだが、英語が苦手な俺には8割くらいがチンプンカンプン。そのとき、すぐそばにいた東京財団の平沼さんが通訳をしてくれた。それからは話がトントン拍子に進んだ。日本の水産業があまりにも不透明でデータなどを集めるのが大変なんだそうだ。俺もまったく同じように感じている。アメリカの漁師さんはとても親切であり、港に行けば釣り人の我々が質問しても親切丁寧に答えてくれる。日本は応えないケースが多く、透明性はまったく感じられない。その結果、真面目な人が損をして、違法漁業、密漁者が得をするというおかしな現象を生んでいる。

欧米はずっと昔から海は国民のものという考えが定着している。だから政府、漁業者、釣り人、NGO、学者、主婦、など誰もが海は自分たちで守るものと理解している。そして透明性、公平性が高い。それがIUU(違法、無報告、無規制)漁業撲滅へと繋がっている。透明性が高くなれば違法なことはやりづらくなる(見えてしまう)のだ。

そして豊かな海は人の心も豊かにする。貧しくなれば争いが始まる。

それは歴史が証明している。

ハインズ博士のお話は、それらの基本となる考えを再確認させてくれた。

国内でのシンポジウムや会議に、釣り人はどんどん積極的に参加すべきだ。

自分たちの海だという意識を持てば日本も変わっていくだろう。




アメリカ北東部の海岸で釣り人に大人気のストライプトバス。
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ストライプトバスは漁業者にも重要な魚だ。
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沿岸に集まるストライプトバスは東京湾のスズキ(シーバス)のように大人気だ。
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やがて漁師、釣り人の乱獲が原因でキャッチ数(漁獲)は激減していった。
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そして1990年についに禁漁となる、すると資源は突然回復へと転じた。
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これはメンハーデンンという釣り人にはなじみの薄い魚だが、魚料理、魚油とうに利用されていて巾着網による乱獲が進んでいた。
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最初のころは資源が減っても関心が低かった釣り人だが、「メンハーデン」はストライプトバスの餌」とわかると、「メンハーデンを獲るな」という釣り人の声が一気に盛り上がる。
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そしてメンハーデンにもクオータ(枠)が設けられ、資源は比較的安定へと向かった。
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以下は小松先生の講演である。科学をマニュピレートしていないお話で実にわかりやすかった。
言い訳、自画自賛ばかりの水産庁、御用学者の講演はとにかくわかりづらい。
「親と子の相関関係はない」「産卵前に獲っても産卵後に獲っても資源への影響は同じ」「日本の資源管理は世界が注目」などなど、素人でも少し勉強すればおかしいと気づくことばかりである。
その点、小松先生のお話は事実を基に話しているのでわかりやすく、説得力があった。



マイワシの漁獲量の推移。最近「マイワシ豊漁」なんて記事を見かけるが、これで豊漁なんて言えるのか。
100万円あった小遣いが1万円に減らされ、それが2万円に増えたようなものだ。喜ぶには超早すぎる。

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サバである。これも増えたというにはまだ早い。我が国の漁業者は少し増えると「枠を増やせ」と大騒ぎする。そしてあっという間に元のどん底に戻ってしまう。もう少し我慢して安定水準まで資源を回復させてからTACを決めて計画的に獲るべきである。
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太平洋クロマグロである。まだまだ増えたとは言えない。大西洋クロマグロの資源量はなんと太平洋クロマグロの40倍である。そんなに多いのに、大西洋はしっかりと資源を考えながら漁業をやっている。太平洋はいまだに食べても一番美味しくない産卵期を狙った漁が全体の7割以上を占める。挙句に供給過多になり、築地では連日大量に売れ残る(競り不成立)。
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北海道はホッケが激減している。10年位前はホッケは簡単にたくさん釣れるので、釣りの外道扱いだった。ところが最近は大本命と聞いている。
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サンマである。最近は中国と台湾の漁獲が増えている。しかし、果たして他国の責任にできるだろうか。せっかく世界で6番目の広大なEEZを与えられながら、それを有効に利用できない日本。小型魚乱獲、魚価の低迷、多くの問題は国内にある。
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産卵期を狙うのはクロマグロだけではない。ニシン(数の子)もシシャモもスケソウダラ(タラコ)も産卵期を狙う。挙句に資源は危機的にまで減り、スーパーに並ぶのは外国産だらけになった。
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スルメイカ。昨年は過去最低記録を更新した。今年もすでに不漁が確実と言われている。日本の食文化はもはや国産だけではまかなえない。外国産だらけの日本の食文化って、何か違うだろ。
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その結果、日本の水産業は世界でほぼ一人負けとなった。行政(天下り含む)と漁業者、そして政治家に任せた結果である。金が絡む人が管理すると必ずこうなる。本来なら資源管理は環境省がやるべきだろう。アメリカは海洋大気庁(NOAA)が中心になって資源管理をやっている。
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釣り大好きのハインズ博士に写真集をプレゼント。会議の途中、質問をさせていただいたが、とても良い質問ですと誉められた。
質問の内容は「日本は釣り人の地位が低い。アメリカは大きな魚がいっぱい釣れて、釣りにも活気があるし、何よりも釣りが国民に高く評価されている」「日本の漁業には透明性がない。」「釣り人の地位をあげる。そして資源管理に強い影響力を持つためには何をやったらいいのか?」など。
答えは「スポーツフィッシングの経済効果の大きさ、そして釣り人が団結してロビー活動をする」。その結果、多くの地域で漁業より、遊漁のほうが強いんだそうだ。

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アメリカ大使館のラケルさん(右)と東京財団の平沼さん。俺は英語がまったく苦手でわからない。途中から平沼さんが通訳を受けてくれて話はトントン拍子に進んだ。ラケルさんは、日本の漁業のデータを集めたいけど、不透明すぎてまったく進まないと嘆いていた。5月の早稲田のシンポジウムでは透明性と言う言葉が海外の研究者から何度も聞かされた。それが日本に一番欠けていることだろう。そんなことだからIUU(違法、無報告、無規制)漁業がいつまで経っても減らないのだ。
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やっと会えた小松先生。言い訳は一切なしの真正面トーク。この人の本は何冊も買って読んだ。今でも俺の大切な教科書である。対談を申し込むと喜んで受けてくれた。この耳で直に世界の資源管理を聞くのが今から楽しみである。
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土佐の一本釣りで有名な明神丸の明神社長(真ん中)。日本近海でカツオが獲れなくなった理由など、豊富な経験を引き出しながら話してくれた。そして水産業に対して前向きな記事が多い「みなと新聞」の川﨑さん(現在は顧問)。俺も何度か一面で登場させていただいてます。
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アイスランドでのアトランティックサーモン釣り。首都レイキャビクから遠く離れたど田舎だが、釣りのシーズンになると世界中からの釣り客で賑わう。
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アイスランドでは釣ったサーモンはリリースしないで、あちこちに置かれている生け簀の中に入れておく。定期的に回収車が来て、人工孵化場へと運び、そこで受精、産卵し、ある程度の大きさまで育てられたのち、川に放流する。その管理は完璧と言える。とにかくアイスランドはアトランティックを釣るには最高の場所の一つなのだ。
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こんな車や、ヘリコプターで世界中から釣り人が、この田舎に集まる。釣り人の落とすお金は村の経済をとんでもなく豊かにしている。
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これはノルウエーの釣り人用のロッジ。1泊30万円ほど(釣りとガイド料込み)。これでも中級であり、高級なところは1泊50万円を超す。それでも毎年予約はすべて埋まるらしい。
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こんな小屋が釣り場にあり、スタッフが食べ物やビールを届けてくれる。釣り場はプライベートポンド(私有地)なので、部外者は入ってこない。
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ニュージーランド南島。ここでは大きな太平洋クロマグロが釣れる。ポイントはホキを獲っているトロール船の周りだ。網を上げるときにこぼれるホキを狙って海鳥やクロマグロ、アシカが集まる。その網を上げ終わる直前が最大のチャンス。釣り船は一気にトロール船に近づいて餌の付いた仕掛けを船めがけて投げ入れる。こんなに近づいてもトロール船に怒られることはない。逆にホキをごそっとコマセ代わりに巻いてくれるのだ。
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これはカナダのプリンスエドワード島。ニシン漁の漁船の周りがクロマグロの最高の釣り場となる。遊漁の船長が「ニシンを巻いてくれ」と言うと、迷わず船員は上げたばかりのニシンを大量に海に蹴とばしてくれる。その数秒後にヒットすることはまったく珍しいことではない。
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カナダでは遊漁は原則リリースである。船には上げないで、船べりでリリースする。その際にタグを打つことが多い。リリース後の生存率は96パーセントと聞いている。
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世界的に魚食の需要は増えている。今までのような計画性のない漁業は確実に資源の枯渇を招く。これからは持続性(サスティナブル)を考えた漁業を考えなければならない。獲るよりも守る、増やす、育てることを優先する。そして透明性、公平性を高めること。

そして何よりも大切なことは

「魚は美味しいときに必要なだけ獲って(釣って)食べること」である。

そのために必要なのはレギュレーションである。サイズリミット、バッグリミットを定める。禁漁期も必要である。産卵期、産卵場は原則禁止である。厳しい罰則も監視も必要である。ルールを守った者が損をして、守らないものが得をするようなことは絶対にあってはならない。

資源が回復すれば漁師も釣り人もハッピーになれるのだ。

2017/05/12

どこへ行く!我が国水産業!

カナダのプリンスエドワードではシーズンになると300キロを超すクロマグロが連日何本も水揚げされる。この海域で獲れるクロマグロのアベレージサイスは350キロ以上である。

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先月参加した北太平洋まぐろ類国際科学委員会(ISC)主催の太平洋クロマグロステークホルダー会合で同じ質問を繰り返す沿岸漁業者の声を聞いた。はじめのうちは「皆さん、礼儀正しいなあ」と感心して聞いていたが、午後には「あれ~?」「なんで同じことばかり言うんだろ」と疑問を感じてきた。

「これはどこかから送られてきた作文を読んでいる。」



その会合の詳細はここ
「豊かな海へ、腐敗と戦う」

http://uminchumogi.blog111.fc2.com/blog-entry-462.html



そして数日後に、その作文(発言フォーム)を入手した。


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某漁業組合長「海にはたくさんのマグロがいるにもかかわらず・・・」

どっからこんな言葉が出てくるんだろ?
親魚資源量は初期資源量の2.6パーセントまで減っている。その発表は2014年であるから、最新の資源量は3パーセント以上まで増えているかもしれない。ただし、それは最悪の状態から少しだけ増えただけである。



2枚目

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某漁業組合長「近年では経験したことのないほど多くのクロマグロの漁獲がありました。」

近年とはここ数年を指すようだ。確かに2012年以降は1万トン以下と漁獲が少ない。それは長年の乱獲で資源量が史上最低水準まで落ち込んでいたからである。ただしそれ以前には2万トン以上獲れた年が何度もある。2000年は24577トン、1995年は27091トン、1981年は30024トン、1956年は31285トンの漁獲がある。明治24年にも540万貫(約2万トン)の漁獲がある。エンジンのない時代に沿岸でこんなに獲れたのだ。


某漁業組合長「漁獲枠を一刻も早く増枠すべきです。」

資源量が2.6パーセントから、ほんの少し増えただけで漁獲枠を増やしたら、また元の最悪の状態に戻ってしまう。それではいつまで経っても豊かな海は戻ってこない。もっと長期展望に立って考えられないのだろうか。こんなことでは沿岸の未来は無い。
アメリカなど多くの国が支持する「初期資源量の20パーセントまで回復させる(B020)」を達成すれば枠も増える。その後乱獲せず、TACを決めてIQ方式を取り入れるなどして計画的に漁業を続けて行けば安定した収入がずっと得られるのだ。


日本の漁業が衰退したのは長期展望に立って考えず、目先、その場しのぎ、そして資源の減少を環境要因に擦り付け、これといった効果的な資源管理を怠ったからなのだ。


2日目に発言した漁業者の7割以上がほとんど同じことを言っていた。

国際的な会合の場で、こんなことをやらせる神経がわからない。

世界の笑われ者である(実際に笑っていた)



数日後

質問フォームの送り主は全漁連ということがわかった。水産庁から依頼されたのか、それとも勝手に判断したのか、そこはわからない。

狙いは昨年12月にフィジーで開催したWCPFC(中西部太平洋マグロ類委員会)の会議で各国に袋叩きにされたことに対しての反撃だろう。漁業者に言わせて、各国代表、海外NGOなどを追い詰めたかったのだろう。

しかし、こんなのは逆効果である。こんな茶番は日本国内でしか通用しない。


ある組合長は、最初は出席を断っていたそうだ。ところが急きょ飛行機で東京に駆けつけてこの作文を読み上げていた。
なぜ、そこまでするのか?

裏取引があったと考えるのが妥当だろう。

その数日後の新聞である。なんと追加枠である。


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国際会議で決められた枠を日本は4月中に超過した。しかも加盟国の中でダントツで多い枠をもらっているのにも関わらずだ。
それなのに、各沿岸に枠の追加配分である。これが組合長が急きょ予定を変更して上京した理由なのか?

水産庁?「枠をやるから・・・」???


世界との約束を反故していいのか!


次に全漁連

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すでに決められた枠を超えているのに増枠を要求。さらに休業補償である。
世界との約束を反故し、さらに国民の税金までいただく。すごい神経である。


約束は守りなさいと子供のころに教えられなかったのか?




昔がどんだけクロマグロがいたのかを知らない漁師が多いようなので教えてあげよう。
(実は全員が昔はいっぱいいたことを知っているのだが)

これは1982年の境港沖。この囲ってある中がクロマグロの漁場である。839と849がとくに漁獲が多かったそうだ。こんな近くでクロマグロが獲れたのである。片道1時間で漁場に着く。


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しかも、わずか19日間で1637トンである。36年も前だから船の装備も今に比べればかなり劣るはずだ。それでもこんなに獲れたのだ。しかも平均サイズが121キロである。近年は40キロ前後である。


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やがて日本海西側は獲り尽し、最近の漁場は新潟沖、山形沖が中心となっている。なんと片道20時間である。


さらにまき網で獲れたクロマグロは単価が安い。オレンジのラインはキロ単価である。右に行くほど安くなる。塩竃も境港もまき網である。これを経済乱獲という。限りある資源をまったく有効に利用してない。


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ソースはここ
http://y-sanada.blog.so-net.ne.jp/2017-05-09





次に海外に目を向けてみよう。

これは西部大西洋のクロマグロ。1970年代に資源が急激に減少。近年は確実に回復している。


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これを見ると1970年代に急激に減少したのは日本が原因と言うことがわかる。日本の漁獲が1970年代に急激に増えている。1982年から産卵場であるメキシコ湾を全面禁漁にして、各国の漁獲枠を大幅に削減した。

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これは東部大西洋(地中海含む)のクロマグロ。近年急激に資源が回復している。

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2007年は報告されているだけで22952トンをまき網が地産卵場である中海で獲っていた(未報告も含めるとその2倍くらいあったらしい)
2008年から産卵場の漁獲を厳しく規制。2011年にはまき網を4306トンまで減らした。その結果、2012年ころから資源が急激に回復した。当然、漁獲枠も増えている。


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次にミナミマグロ。これも高級すしネタである。1960年代に急激に資源が減少したが、近年は回復傾向である。

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資源が減少した原因は日本の乱獲であることがよくわかる。1950年代後半から急激に漁獲が増えている。

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このように、世界中のクロマグロ(ミナミマグロ含む)を絶滅近くまで減らしたのは日本なのである。

大西洋と南半球は関係国が本気になって資源が回復した。

ところが日本近海は最悪の状態から抜け出ることができない。

世界には資源回復の成功例がたくさんある。


なのに日本は

なぜ、効果的な資源管理ができないのだ。

なぜ、目の前しかみないのだ。

その場しのぎでは、豊かな海は戻ってこないのだ。



アジアでさえ、近年は厳しい資源管理を始めている。

これは中国(みなと新聞)。昨年7月に上海近郊の寿司屋に入ったが、生鮮がなくて冷凍物ばかりだった。店員に聞くと「禁漁だから」と言われた。


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これはフィリピン。ダバオ湾はキハダの産卵場だそうだ。2015年から産卵期は禁漁となった。

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ソースはここ
http://www.manila-shimbun.com/category/society/news218236.html




昨年のWCPFCの国際会議では太平洋島嶼国からも日本は非難された。

かつては日本はアジアや島嶼国のお手本だった。

それは確実に過去になりつつある。

いい加減に目を覚ませ!

このままでは世界の孤児になるぞ!





次に世界の釣りを紹介。


12歳の女の子である。日本の漁師より大きなマグロを釣っている。


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詳細はここをクリック



411.6キロを釣り上げた女性。日本ではほとんど見られなくなったサイズである。

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詳細はここをクリック

欧米の釣り(スポーツフィッシングという)では電動リールやウインチ、電気ショッカーは使わない。すべて自力である。自力で釣ることに価値があり、そして周りから称賛される。




世界は広い。

我々の知らない世界がいっぱいある。

今の我が国水産業は鎖国状態。

世界の進化についていけない。



日本の水産業は崖っぷちなのだ。

いつまでも先延ばしする余裕なんて全くない。

クロマグロだけではない。

2016年の我が国の水揚げは、この半世紀で最低だった。

さらに、北海道の水揚げは1956年の統計開始以来、初の100万トン割れだった。



政治家も官僚も、そして漁師も目を覚ませ!

漁師は他人の作文など読んでる場合ではないのだ!

全員イエスマンだったら何も変わらないのだ!





さて、毎年恒例のデモが近づいてきました。今年で3回目となります。過去最大のデモになる予定です。

5月25日13:00 日比谷公園霞門前集合 14:30解散予定

思いっきり水産庁に喝を入れ、産卵期に一番乱獲しているニッスイに抗議します。

一緒に歩きたい人は茂木まで連絡をください。

メールアドレス uminchumogi@nifty.com
2017/04/29

豊かな海へ!(腐敗と戦う)

太平洋クロマグロは2014年に絶滅危惧種に指定された。

2014年の親魚資源量は推定17000トン。初期資源量(漁業が無かった場合の資源量)の2.6パーセントまで激減している。


会場は麻布十番駅近くの三田共用会議所
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ISC太平洋クロマグロステークホルダー会合に参加した。
参加にあたってはJGFAの若林事務局長から連絡を受け、参加を勧められて了承した。

ISC(北太平洋まぐろ類国際科学委員会)
http://isc.fra.go.jp/


会合は25日から3日間だったが、初日は俺自身が奄美大島に行ってたので、JGFAメンバーの森君にお願いした。初日に関しては森君にレポートをお願いしてます。彼は英語は堪能、とても資源管理に熱心な若者でレポートはとても期待できます。2日目と3日目はSFPCの片山君と某テレビ局の三澤さんが同行した。


ISC議長のGerard Dinardoさん

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写真撮影は初日の冒頭のみOK。

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世界の海はこのように分けられて管理されている。

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世界には5つの国際管理機関があります。

WCPFC 中西部太平洋マグロ類委員会
IATTC 全米熱帯マグロ類委員会
CCSBT 南マグロ保存委員会
IOTC インド洋マグロ類委員会
ICCAT 大西洋マグロ類国際保存委員会

さらに北太平洋には、北太平洋におけるマグロ類及びマグロ類類似種に関する国際科学者委員会(ISC)があります。これは国際条約に基づいた委員会ではありませんが、日本、アメリカ、カナダなどの加盟国の合意に基づきWCPFCに委託されてマグロ類の資源評価を行うなど、マグロ管理委員会に準じた活動を行っています。

参考サイト
http://www.gcoe-kinkiuniv.jp/iccat.html



2日目は資源回復に向け、たくさんのシナリオによるシュミレーションが提出され、それに対しての説明から始まった。これに関しては、専門の知識がない俺や漁業者のほとんどはチンプンカンプンだった。シナリオのことで質問をしてくださいと言われても基礎知識がないのでできないのだ。

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これを理解するためにはもう一度学生になる必要がありそうだ。

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さらに同時通訳がわかりづらかった。さらに徹夜で勉強してから来たので眠くてしかたない。

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ところが、このシュミレーションを見て、ふと思ったのは、禁漁にすれば2~3年で安定水準(初期資源量の20パーセント)に達するということである。
一番下の左から2番目シナリオ13が禁漁にした場合のシュミレーションである。最上列の左から2番目シナリオ2は小型魚、大型魚、ともに2010年から2012年の漁獲実績の平均から50パーセント削減した場合のシュミレーションである。

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難しい計算によるシュミレーションをいくつも出して、ややこしい複雑な資源管理を長期にわたってやるより、2~3年禁漁の方が早期に漁業者の生活を助けることになるのではと思った。その間だけ他の漁をやる、もしくは陸の仕事をやるという選択肢はないのだろうか?

魚が減ったのは漁業者にも責任はあるのだ。

資源管理の進んでいる欧米では、ここまで資源が減る前に禁漁にするだろう。ISC議長も言っていた「早い段階で手を打ち、早期に回復させること」と。病気に例えるなら、手遅れとならないよう早期に治療することである。

しかし、日本は資源回復スピードが最も早い禁漁という手段を使うことはまずない。


会議ではこのような漁業者の発言が多かった。

「資源は回復傾向にある」
「厳しい規制はやらないでほしい」
「魚は増えたが漁師がいなかったでは本末転倒だ」


はじめのころは「皆さん、礼儀正しい発言だな」と感心していたが、午後になって「なんでみんな同じことを言うんだろ?」と疑問を感じ始めた。

これが何を目的としているのか、すぐにわかった。
昨年12月にフィジーで開催されたWCPFCの国際会議で日本は袋叩きにされた。
それに対する水産庁側が考えた作戦だろう。もしくは全漁連あたりが作文を配ったのかもしれない。
「日本は資源が回復している。規制が長引けば日本の漁師は絶滅する。だから初期資源の20パーセントに回復させるというアメリカ案は辞めてほしい。」ということを漁業者に話させたのだ。

※後日、全漁連から全国の漁協などにフォームが送られていたことが判明。補助金など地方の漁業支援の金の動きを水産庁が握っているので逆らえない。言いなりになるしかないのだ。


WCPFCの会議では「日本は科学をマニュピレート(操作)するな」と言われた。
今度は「日本は質問をマニュピレートするな」と言われるかもしれない。


参考にしてください。
「国際会議で完全敗北後の水産庁」
http://uminchumogi.blog111.fc2.com/blog-entry-456.html


俺は3回質問させていただいた。最後は「皆さん同じことばかり言いますね。作文でもあるんですか?」「今年2月に釣り人2229人のアンケートを取りましたが、漁業者の皆さんと全く反対の結果が出ています」と発言した。前列にいた外国の参加者の間から笑い声が聞こえた。振り向いて笑っている方も数名いた。皆さん気づいていたのだろう。


釣り人には圧力も利権も補助金もないので、真っ正直な結果がでる。

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もちろん参加者の中には自分の意見を堂々と話した人もいた。ただ、それが少数に感じたのは事実である。

こんな会議に何の意味があるのか?
疑問を感じたのは事実である。
そして水産庁「もしくは全漁連?」はこんなことをやって恥ずかしいとは思わないのか?

漁業者の発言には「お上には逆らえない」という空気を俺は強く感じた。

かつては巨大なクロマグロで栄えた漁港が、大きなクロマグロが獲れなくなりヨコワ(幼魚)専門の漁港になっていた。組合長「ヨコワを獲って生計を立ててます」。なんとも寂しい。

水産庁関係者も漁業者同様長期の規制、高い資源回復目標に否定的な意見が多かった。

目の前しか見えない日本人。
漁業者はもう余裕がないのかもしれない。
何か悲しく感じる会合である。



外国の参加者(ISC議長、各国代表、NGOなど)からは「増えたと言っても、それは一番悪いときから少しだけ増えたかもしれないが、それはまだまだ増えたと言えるものではない」「早期に目標値まで回復できれば漁獲枠を増やすことができる。まずは安全な初期資源量の20パーセントまで回復させるべき」「いま、枠を増やしたら、元の最悪の状態に戻ります」と長期展望にたった冷静な発言が多かった。

WCPFCの議長も「B020パーセントは国際合意です」とはっきりと答えていた。
B0(ビーゼロ):初期資源量、推定65万トン

もしかしたら幼魚(ヨコワ)は増えているかもしれない。でももう少し待てばマグロと呼ばれるようになるのだ。5キロのヨコワなんて5000円もしないだろう。3年待てば50キロになり、1匹が25万円以上になるだろう。3年で50倍になるのだ。もう3年待てば100キロになり、100万円くらいになるだろう。6年で200倍である。

あるマグロ漁師に聞いてみた。

俺「大きなマグロを釣りたいとは思わないのですか?」
漁師「大きいマグロを釣りたいのはマグロ漁師の本能です」



我が国の問題はクロマグロだけではない。かつてはニシン、そしてホッケ、スケソウダラ、カタクチイワシ、サバ、シシャモ、イカナゴ、サンマ、スルメなどなど、戦後大幅に資源を減らしている。

水産庁は1948年に誕生した。その目的の一つが水産物の資源管理であることは言うまでもない。

ところが水産資源は大幅に減り、水揚げの減少を止めることができない。

世界のほとんどの国の水産業は成長産業なのだが、日本は衰退産業なのである。

国連の食料農業機関(FAO)では以下のように定めている。※一部抜粋

第6条「一般原則」
魚を獲り過ぎたり獲り過ぎてしまうような漁獲能力を持ったりしないこと(第3項)
最良の科学的情報に基づき管理を行うこと(第4項)
予防的アプローチを適用すること(第5項)
小さい魚などは獲らないような選択性のある漁具を使用すること(第6項)
魚などの生息地を守ること(第8項)
ルール違反の漁業はしっかり監視し、取り締まっていくこと(第10項)
小規模で伝統的な漁業を大切にしていくこと(第18項)


果たして日本はこの一般原則をどこまで守っているのか?
俺の目にはほとんど無視しているようにしか見えない。


水産庁サイトからの発言には疑問に感じるものも多かった。

産卵場の規制に関して、このような発言があった。

1.「地中海は産卵場を保護してない。産卵期に待ち伏せて一網打尽である」
2.「日本海側で産卵期にまき網で漁獲される個体は3歳4歳が多く、ほとんどが初産卵であるという発言があったが、3歳から7歳ではないのか」


1に関しては水産庁所管の国立研究開発法人「水産研究・教育機構」から以下の現況報告がある。

平成26年度国際漁業資源の現況

ICCATでは様々な漁業規制を行っている(ICCAT 2014d [Rec.14-04])。禁漁期は、はえ縄については6月1日~12月31日(ただし、地中海及び東部大西洋の一部(西経10 度以西、北緯42度以北、及びノルウェーEEZ内)は2月1日~7月31日)、まき網は5月26日~6月24日以外(ノルウェーEEZ内は6月25日~10月31日以外)とする。

ようするにまき網は5月26日から約1か月しか漁ができないのである。これは規制であり、資源保護を目的としていると言って間違いないだろう。地中海でのまき網の漁獲も2007年は22000トン以上あったが、禁漁期間を設けた結果2011年は4300トンまで減少している。

2の日本海の3歳から4歳の個体が多いという根拠は、日本海側の産卵場で漁獲したマグロのほとんどが水揚げされる境港のマグロのアベレージサイズのデータを見ればわかる。
2007年 43.9キロ
2008年 50.0キロ
2009年 53.2キロ
2010年 37.6キロ
2011年 40.7キロ
2012年 65.0キロ
2013年 34.8キロ
2014年 35.6キロ

3歳は30キロ前後、4歳は50キロ前後、5歳だと70キロ前後である。


水産庁や漁業者から初期資源量に疑問の発言が相次いだ。そんな仮定の数字にこだわる理由がわからないというような発言だった。

俺は資源の豊かな海を世界中で見てきた。資源管理に成功した海はとにかく豊かである。カナダのプリンスエドワードでは沿岸から1キロ、港から10分くらいのところで300キロ以上のクロマグロが次々とヒットする。アメリカのケープコッド、ノースカロライナも100キロオーバーのクロマグロが行くたびにヒットする。マイアミでは150キロを超すグルーパー(ハタ)が毎日釣れる。

日本も江戸時代、明治時代のエンジンのない時代に大きなマグロがいっぱい獲れたという文献がある。東京大学出版会の「日本漁業史」には明治24年に沿岸で540万貫(約2万トン)のマグロが獲れたという記録が残っているのだ。そしてそのころからすでに乱獲という文字も使われていた。

「乱獲が進み、漁場は沿岸から沖合へと移っていった」

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江戸時代のマグロ漁。こんな近くでマグロが獲れたのだ。

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資源が増えれば漁師同士のもめ事も、釣り人とのもめ事も減るだろう。

豊かな海は人の心も豊かにする。

それはカナダの漁師から学んだことである。そこには漁師と遊漁、釣り人の間でトラブルはない。

初期資源量がデタラメだという科学的根拠はないのだ。


さて、水産庁の持論である「親と子の相関関係はない」だが、俺はこんな馬鹿げた話(屁理屈ともいう)といつまでもやりあうのは時間の無駄と感じている。親と子の相関関係がない生物なんてこの地球上に存在しない。親がいなければ子は産まれないのだ。

それよりも重要な問題は、経済的な有効利用である。限りある資源をいかに有効に使うか、それは何よりも大切な問題ではないのだろうか。

我が国の成魚(30キロ以上)の漁獲だが、昨年は4103トンの水揚げがあった。そのうち3122トン、なんと76パーセントが6月と7月の2か月に集中している。その2か月は産卵期である。昨年の7月1日は日本海側だけで約300トンのクロマグロがまき網で獲れた。たった1日で300トンである。日本海側で一番大きい境港では処理に4日間もかかった。当然境港では大暴落。3日は安値がキロ200円、4日は平均単価キロ384円だった。冷凍のキハダやメバチより安い。築地に送られたマグロも破格の安値、さらに売れ残りもあった。これを経済乱獲という。全くの資源の無駄遣いである。


昨年7月の境港の水揚げ単価。あまりにも安い。

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築地でのキロ単価は2008年が1360円、2009年が1260円、2015年が1120円、2016年が1077円と年々安くなる傾向である。

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売れ残り


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美味しい時期に獲る、大きく育てて獲る、漁獲を集中しない、それが賢い漁業である。
美味しくない産卵期に集中して獲るのは一番愚かな漁業である。単価も暴落する。こんな誰でもわかることが日本では長年続いているのだ。


早期に確実に回復させるためにはすべての漁法において厳しい規制は必要である。そしてまき網に獲るなとは言わない。集中して獲るのは改めるべきだ。また船上で生きたまま処理をするなど、高く売る方法を考えて実行すべきだ。現状は同じ時期に同じサイズを獲ると、まき網と定置、はえ縄、一本釣りではキロ単価に3倍前後の開きがある。7月だとボストン産のクロマグロは国産まき網マグロの10倍くらい高い。

この産卵期のまき網漁に関して7名の外人に聞いてみたが、全員が「産卵期は保護もしくは規制すべき」「産卵場で規制すると他の場所で獲ることになるので期間を決めて禁漁、もしくは規制すべき」「日本はそんなにまき網会社が強いのですか?」と否定的な意見ばかりだった。

資源を増やすのは重要な課題だが、単価を上げて限りある資源を有効に使うことも重要なことである。


左から真田先生、PEWのAmanda Nicksonさん、俺、PEWのJamie Gibbonさん、右の二人は忘れました。

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EU代表のJosu Santiagoさん

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最後に水産研究教育機構の宮原理事長(農水省国際顧問)の総括の一部を紹介します。

産卵期のマグロは経済的には価値がないわけだから、経済的に価値がある獲り方をすべきだということは論を待たないわけで、産卵に入った魚を獲るのは絶対に避けたほうがいい。
遊漁に関してはデータの収集が今後必要。(レギュレーションなど)前に進めたい。


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素晴らしいお言葉をありがとうございます。

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※この2枚は宮原さんが水産庁の次長だったころの写真です。


会合2日目の終了後はみんなで宴会&ミーティング。左から真田先生、森君、北海道の高松さん、壱岐の富永さん。

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最後は「イサリビ」(未来も魚を食べるぞ通信)の取材を受けました。次号にちょこっと載る予定です。

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