巨大クロマグロに挑んだ18日間

ニュージーランド南島の巨大クロマグロにスタンディングファイトで2回目の挑戦をした。
前半(3~10日)と後半(11~18日)の2組に分かれて挑んだ。
1回目の昨年は悪天候に泣かされ、多くの者が結果を出せずに帰国した。とくに前半組は1人しかファイトができなかった。他の5人は出番もなかった。
8月2日成田を出発、シンガポールで乗り継いで3日の朝クライストチャーチに着いた。着くなりレンタカーを借りてグレイマウスに待機するカスケードに電話を入れた。悪天候でしばらく出船できないとの返事。3日はクライストチャーチのホテルに泊まり、翌日グレイマウスに向かった。近道のルートは雪で通行止めで、北側のルートを走った。片道330キロである。
8月5日この日も天気は悪く出船中止。南に200キロほど走ったフランツジョセフ氷河に行った。
8月6日ようやく出船できると連絡があった。
6日の午前11時に出船して10日の午後4時に帰港した。結果は200キロオーバーを9匹キャッチ(2匹キープ、7匹リリース)した。最大は田原の船長推定300キロ(タグ&リリース)で全員キャッチだった。前半組は全員昨年のリベンジだった。

行くと決めた2年前から試行錯誤して準備したタックルは今回でほぼ完璧だった。マグロ釣りの第一人者と言われる人から出発前に電話があり「PEは使えない」「スタンディングでドラグ22キロは人間には絶対に無理」と言われたが、全然問題なかった。問題なかったどころか今回はPE10号をメインに使いドラグ25キロで勝負した。誰1人交代もしなければ手伝いも受けなかった。
ほぼ0からスタートした巨大マグロ釣りだが、2回目でほぼ満足できる結果が出せた。非常に危険を伴う釣りで、それなりの練習をやり、そして体と船を命綱で結んでのファイトだった。
外気温はときに氷点下だった。暖かくても夜は2℃くらいである。夜にヒットが多く、水温11℃の海水を全身に浴びての壮絶なファイトだった。最長のファイティングタイムは4時間46分。終了後はしばらく動けない体になっていた。

ファイティングタイムも現地の船長たちが驚く早さだった。体格的に恵まれてない日本人でも充分に戦うことができた。慣れてくると250~300キロクラスのマグロを18分、22分、43分、47分、1時間10分でキャッチした。
11日に到着した後半組はさらに悪天候に泣かされた。
11日の夜に出港、12日の昼過ぎには帰ってきた。ポイントまで4~7時間走るので釣りができる時間は短い。1回だけヒットしたが、ドラグ25キロで3時間40分の想像を絶するファイトはラインブレイクで幕を閉じた。
13日から16日まで出船中止。マウントクック、レイクテカポ、フォックス氷河などを見て回った。レンタカーでの移動距離は最終日には3800キロに達していた。
17日ようやく出船できた。しかし18日の午前中には帰港しなければならない。短いラストチャンスだった。昨年から引続いて参加の桑原君がトップバッターだった。
グルーパー内で実績、実力トップクラスの桑原君のファイトは誰もが見ていて素晴らしいと感じた。パワフルなフットポンピングで208キロのマグロを44分でキャッチした。これは船長から「船のタックルを使って」と頼まれて1回だけ使った。ナイロンラインなので寄せるのに時間が必要なように感じた。自分たちのタックルなら時間はさらに短縮できただろう。
釣り上げたあとの顔は普段見ることができない良い顔である。

今回も素晴らしい仲間に恵まれた。悪天候で出船中止が続いても、誰一人愚痴をこぼす者はいなかった。


限界への挑戦。最強の魚との出会い。それは簡単な道のりではない。
俺は巨大クロマグロへの挑戦は人生そのものと思っている。諦めたら敗北なのだ。
夢に付き合ってくれた仲間に心から感謝している。
ありがとう!