2008/10/07

チャールス・ファーレル氏

チャールスさんのセミナー
9月24日、田町の仏教会館でマグロ研究の第一人者チャールス・ファーレル氏のセミナーが開かれた。俺もマグロの生態に非常に興味があるので数名に声をかけて参加した。今回は行く前に3つの質問を考えていた。いずれも南太平洋(ニュージーランド沖)で釣れるクロマグロのことである。最近の研究でこの海域のクロマグロは日本近海のクロマグロと同じということがわかっている。

3つの質問は
1.大型しかいない理由は?
この海域で釣れるクロマグロは小さくても170キロくらいあります。
私は大型にならないと赤道を乗り越えられないからと推測してます。

2.このマグロたちは再び日本へ戻るのか?
私は余生を送ってそのまま死んでしまうのだと推測しています。
最近ジョージ・シリンガー氏がポップアップタグを打ったマグロもニュージーランド近海をうろうろしていて日本へ戻る固体は現在確認されてません。

3.痩せている理由は?
水温が低いので体温維持に大量の脂肪を使う。餌が少ない。老魚だから。
あまりに痩せているので日本のマグロとは別種と勘違いしそうです。

ジョージ・シリンガー氏に関してはとても親しい友達ですと笑顔で答えてくれたのが印象的だった。
チャールスさんの講義はアーカイバルタグを打たれたアメリカ西海岸のクロマグロの追跡、水温と心拍数、体温を維持できる秘密は、マグロの目が良い理由はなどがメインであり、中でも氏が所属するTOPP(ジョージ・シリンガーもメンバーの1人)のクロマグロ追跡はデータも多く、大変勉強になった。

TOPPのサイト(前回のブログで紹介済み)
http://www.topp.org/

アメリカ西海岸でタグを打たれたマグロが日本にどうやって帰ってくるかがわかります。

すでにYouTubeなどにマグロのお腹を開いてアーカイバルタグを埋め込む動画がいくつも流れているが、ここでもその映像が流された。そしてアーカイバルタグで何がわかるかを詳しく話していただいた。蓄積されたデータから回遊経路、回遊時の水深などがわかるらしい。

埋め込み式のアーカイバルタグ
アーカイバルタグ

アーカイバルタグを埋め込む動画
http://jp.youtube.com/watch?v=aPLSy_9upHg

ニュージーランドでは差し込み式のポップアップタグを打っている。それは大型のマグロは船上に上げるのが困難だからだろう。ただしこのタグは差し込んだ部分がすぐに抜けてしまうらしい。ジョージ・シリンガーが打ったタグも1~3ヶ月以内でほとんど抜けてしまっている。形状を見ても水の抵抗が大きいことがわかる。現在差し込む部分の改良が進められている。

差し込み式のポップアップタグ
ポップアップタグ

ポップアップタグは内臓の電池で一定期間が来ると本体と差込部分を熱で切断して浮上する。現在ニュージーランドでは1年に設定されているが、1年間抜けないで持ったタグはまだ1本しかない。
※今年の8月、ジョージ・シリンガーはニュージーランド沖で37本のポップアップタグを打って帰国した。

またクロマグロは水温2℃でも生きられるらしい。潜行能力も水深1000メートルである。1000メートルというと水温は0℃に近いそうだ。たたし深く潜ることはめったにないらしく、ほとんどの時間は0~50メートルの水深で生活している。

私の3つの質問に関してはまだ調査・研究中の段階で「そうかもしれないね」という回答がほとんどだった。それでも一つ一つ丁寧に回答していただいた。

数年前からジョージ・シリンガーがニュージーランド沖でポップアップタグを打っているので、その答えも近いうち出るだろう。

アメリカ西海岸のクロマグロの回遊が解明されたように。

チャールスさんは非常に気さくな方でした。
チャールスさんと

非常に勉強になるセミナーでした。このようなセミナーを開催していただいたJGFA関係者に感謝しています。

またこのセミナーを通じて研究に関わっている方とも知り合いになることができました。以後、いろんなことを教えていただいてます。ほんとにありがとうございます。

クロマグロはやはり最高の魚ですね。