青森マグロ挑戦14年目の夏

竜飛岬から津軽海峡と北海道を望む
俺が青森のマグロに初めて挑んだのは1997年7月である。場所は久六島だった。そしてマグラーズと知り合ったのも同じ頃である。当時マグロキャスティングは生まれたての赤ちゃんのような状態で、すべて一から自分たちで考えていかなければならなかった。たくさんの試行錯誤を繰り返して成長していった。その先頭を走ってきたのが青森のマグラーズである。
マグラーズとは14年の付き合いになる。久六島から小泊へと釣り場が移ってからはマグラーズのチャーターした船に数人でいつも乗せていただいていた。そしていろんな最新情報を交換し合ったりしていた。昨年から俺個人で小泊の船をチャーターしてツアーを組むようになった。そのときもマグラーズのイチローに「来年から自分たちで船を予約してもいいかな」と伝えて了解をいただいて船を予約した。青森のマグロキャスティングにマグラーズは大きく貢献している。いま、このように我々が自由に釣りができるのはマグラーズ、各船長、地元のショップ関係者などの努力が大きい。みんなで連絡を取り合い、専業の漁師さんたちともコミュニケーションを計り、大きな問題も無く今日を迎えている。
釣り船(専業、遊漁、プレジャー)も他の海域に比べてマナーは良いと感じられる。ナブラが沸いても他の船に迷惑をかけるような突っ込みはまず見受けられない。一歩引いて譲り合う場面がよく見られる。新規参入のプレジャーに関してはベテランの船長やアングラーが海上でのルール、マナーをよく教えていると聞いている。
ただし遊漁船に関しては関東方面や九州方面に比べて船の設備、サービスなどは遅れている。これはつい最近始めた船ばかりなので、サービスに関しては準備段階と言っていいだろう。氷を積んでない船が多いがこれは船代が関東や九州に比べてかなり安いということで俺は理解している。地元ではクーラーボックス、氷等は各自で用意することが常識となっている。もし遠方から飛行機で来て釣ったマグロを自宅などへ送りたいときは漁協で発泡スチロールの箱を購入して、クール宅急便で送ることができる。詳細は各船長に確認のこと。
何度かマグロ問題を取り上げてきたが、これからは釣り人も真剣に資源を考えて釣りをしていかなければならない。来年から日本海側(大間を含む)は7月全面禁漁(九州から北海道まで)となる予定である。これには巻き網、一本釣り、延縄、釣りなど定置網以外はすべて含まれる。そんなご時世に7月以外でもメジ(ヨコワ)を何匹もキープするのは考え物である。10キロ以下のマグロはリリースする。それ以上のマグロでも一人一匹というようにアングラーが自主的に自粛することが求められる。7月は日本海側のあちこちで産卵が行われる。禁漁はそれを狙って産卵海域に入る巻き網を規制するのが一番の狙いだが、我々がメジ(ヨコワ)を大量にキープしていたら、この巻き網とやっていることは似たようなものだろう。境漁港に水揚げされるマグロ成熟固体は巻き網が本格的に日本海に進出した2004年以降(それ以前は北海道東方海域が巻き網の主たる漁場だった。それが獲れなくなったので日本海のマグロを狙うようになった)7パーセントまでに減少した。また今年の対馬は養殖用のヨコワが例年の2割しか獲れてないそうだ。日本近海のクロマグロは急激に減少しているのだ。もし来年7月を禁漁としてもマグロの資源が減少していくようなら禁漁期間はさらに長くなるだろう。日本海側にとどまらず太平洋側も全面禁漁となるかもしれない。
クロマグロ(太平洋、大西洋、地中海)の資源保護は世界のクロマグロの8割を消費する日本が率先してやらなければならないことである。
※太平洋クロマグロの産卵海域はフィリピン北方海域から日本近海とされているが、近年海水温の上昇でほとんどが石垣島から日本領海内の日本海側で産卵されているそうだ。
マグロは釣りの究極のターゲットである。その大きさ、パワー、スピードとスポーツフィッシングのターゲットとして最高の相手である。挑むアングラーもそれなりの心構えが必要である。体力トレーニング、大物用タックル、ラインシステムなどもより万全にして挑んでいただきたい。
さて前置きが長くなったが、7月から8月にかけて2度青森に遠征した。1回目は飛行機+レンタカー、2回目は横浜から車で往復した。車だと片道8時間くらいかかる。アメリカやニュージーランドに行くのとさして変わらなくなる。釣果を交通費で割ったら、海外へ行ったほうがはるかに安い。それでも青森へ行くのは「国内で釣りたい」という気持ちがあるからである。
俺は青森通い14年間で30キロオーバーは恥ずかしいことだが1匹しか釣ってない。
ところが上手な人は確実に釣っている。今回は児島玲子さんと現場でお会いしたが3日間連続で計3匹キャッチしていた。最大は45キロ(港で解体後に検量)だったそうだ。青森で3日連続、しかも女性である。素晴らしいとしかいいようがない。九州からサンライズの田代船長も8月中旬に青森へ来て3日間で2匹キャッチして帰った。ヒットは何と9回もあったそうだ。上手な人は釣るのである。
玲子ちゃんとマグロ(ランキングのHPから)

せ~いち船長とマグロ(サンライズのHPから)

玲子ちゃんが45キロを釣った日に小泊の居酒屋で祝勝会を。イチロー、小西も合流してマグロ談義は夜遅くまで続いた。

ボンちゃんも地元の船長もいっぱい来た。

見覚えのあるTシャツ(笑)

翌日はやる気満々の船長

途中からヘタレてましたが・・・

今回も我々は1ヒットもないまま横浜へ帰った。哀れな我々に玲子ちゃんは最終日にマグロを一匹恵んでくれた。

みんなでいただきました。ありがとうございます。


仙台から来たグループも玲子マグロを堪能してました。彼らもマグロ釣りに交代はご法度だそうです(一番手前は親分格の仙台で料理屋を営む三浦さん)。

竜飛沖にカーペンター号がデビュー。オーナーは黒ベンである。黒ベンは10月中旬まで青森に滞在するそうだ。小西も長期間滞在の予定なので近日中にビッグな報告があるだろう。


竜飛岬にあるホテルの温泉は津軽海峡が見下ろせて超お勧め。宿泊客以外でも500円で入浴できる。

さて最後に苦言を言わせていただく。
それは8月24日のSFPCミーティングで一部のメンバーからこんな話が出た。
Aさん「先日関西から青森に来たYさんは200キロオーバーのマグロ以外は興味がないと言ったそうです」
Bさん「その人はシ○ノのテスターと言ってたそうだね」
Aさん「3日間チャーターしてたけど、1日だけ乗ってドタキャンして帰ったそうです」
200キロオーバーのマグロなんて本職の漁師でさえ滅多に釣れないし、遭遇しない。それを釣り人が簡単に釣れるわけが無い。大物を釣りたい気持ちはわかるが、初めて乗る船を予約するときに言うことではないだろう。
メーカーのテスターだからどうしたと言うのだろう。優遇でもしてもらいたいのか?
そんな立派なことを言う釣り師がドタキャンしていいのか?素人ならまだしも何年も釣りをしている人間はキャンセルなど絶対にしないのが常識である。ちなみに船は翌日も翌々日も出船したそうだ。
200キロオーバーのマグロを釣るためには何年も何回も同じ場所に通うことが必要である。というかこの男はキャスティングで100キロのマグロさえ釣ってないらしい。
よく言えたもんである。
話はどんどん大きくなる傾向があるので、青森に行ったとき船長、関係者から詳しいことを聞いた。
さらに出てきた話。
青森の某メーカーにY氏から電話があった。
Y氏「ロッドを確認したいのだが」
メーカーCさん「お取引きしているショップで見てください」
そのあとしばらくやり取りが続く。俺(茂木)の名前も出たらしい。
Y氏「茂木さんとも親しくしています」
正直、俺は親しくない(笑)
Y氏「あなたと話しても進まないのでオーナーの電話番号を教えてください」
メーカーCさん「プライベートなことなので教えられません」
その直後に電話を切られたそうだ。
そんな電話がもう1回あったそうだ。内容は1回目とほとんど同じでやはり一方的に切られたらしい。
Y氏はこのメーカーに何をしていただきたかったのか?
俺の名前を出して何かを期待したのか?
船の上では「シ○ノ」「カ○イチ」といったメーカーの話をよくしたそうだ。
そのリールは俺が開発したとか、フックは特別に作らせているとも言ってたそうだ。
俺の経験上テスターとかモニターとかとかく言いたがる人間にろくな奴はいない。また有名人ならばマナー、モラルをより大切にして守るべきである。
200キロオーバーのマグロしか興味が無いということは他の釣り船にもしていたそうだ。
200キロのマグロを釣る講釈もしたそうだ。
初めて来る場所、初めて乗る船にそんなことを言うのはどうかなと思うが。
青森でこのように規制がなく釣りが出来るのは船長、地元アングラー、漁師さんたちの協力のおかげである。
我々遠くから来る者はそれに感謝するのが当然で、文句や意見などは簡単に言える立場ではない。
しかもY氏は船に氷がないことにも文句をつけたらしい。さらに俺の記事に関しても難癖をつけたそうだ。
そして3日間チャーターしていたが、残り2日間をドタキャンして帰っった。
帰る前に船のオーナーには何の連絡もなかった。
マグロに挑むものは心構えが必要と言ったが、彼には心構え以前の常識から学ぶ必要があるだろう。
以下は7月に青森へ行ったときの写真です。
恒例のマグラーズとの宴会

青森マグロの情報発信基地「ランキング」

弘前城見学

十三湖名物「シジミラーメン」

これからも青森へは何度も行く予定です。
いつか釣れると信じてます・・・