2010/08/31

青森マグロ挑戦14年目の夏

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竜飛岬から津軽海峡と北海道を望む

俺が青森のマグロに初めて挑んだのは1997年7月である。場所は久六島だった。そしてマグラーズと知り合ったのも同じ頃である。当時マグロキャスティングは生まれたての赤ちゃんのような状態で、すべて一から自分たちで考えていかなければならなかった。たくさんの試行錯誤を繰り返して成長していった。その先頭を走ってきたのが青森のマグラーズである。

マグラーズとは14年の付き合いになる。久六島から小泊へと釣り場が移ってからはマグラーズのチャーターした船に数人でいつも乗せていただいていた。そしていろんな最新情報を交換し合ったりしていた。昨年から俺個人で小泊の船をチャーターしてツアーを組むようになった。そのときもマグラーズのイチローに「来年から自分たちで船を予約してもいいかな」と伝えて了解をいただいて船を予約した。青森のマグロキャスティングにマグラーズは大きく貢献している。いま、このように我々が自由に釣りができるのはマグラーズ、各船長、地元のショップ関係者などの努力が大きい。みんなで連絡を取り合い、専業の漁師さんたちともコミュニケーションを計り、大きな問題も無く今日を迎えている。

釣り船(専業、遊漁、プレジャー)も他の海域に比べてマナーは良いと感じられる。ナブラが沸いても他の船に迷惑をかけるような突っ込みはまず見受けられない。一歩引いて譲り合う場面がよく見られる。新規参入のプレジャーに関してはベテランの船長やアングラーが海上でのルール、マナーをよく教えていると聞いている。

ただし遊漁船に関しては関東方面や九州方面に比べて船の設備、サービスなどは遅れている。これはつい最近始めた船ばかりなので、サービスに関しては準備段階と言っていいだろう。氷を積んでない船が多いがこれは船代が関東や九州に比べてかなり安いということで俺は理解している。地元ではクーラーボックス、氷等は各自で用意することが常識となっている。もし遠方から飛行機で来て釣ったマグロを自宅などへ送りたいときは漁協で発泡スチロールの箱を購入して、クール宅急便で送ることができる。詳細は各船長に確認のこと。

何度かマグロ問題を取り上げてきたが、これからは釣り人も真剣に資源を考えて釣りをしていかなければならない。来年から日本海側(大間を含む)は7月全面禁漁(九州から北海道まで)となる予定である。これには巻き網、一本釣り、延縄、釣りなど定置網以外はすべて含まれる。そんなご時世に7月以外でもメジ(ヨコワ)を何匹もキープするのは考え物である。10キロ以下のマグロはリリースする。それ以上のマグロでも一人一匹というようにアングラーが自主的に自粛することが求められる。7月は日本海側のあちこちで産卵が行われる。禁漁はそれを狙って産卵海域に入る巻き網を規制するのが一番の狙いだが、我々がメジ(ヨコワ)を大量にキープしていたら、この巻き網とやっていることは似たようなものだろう。境漁港に水揚げされるマグロ成熟固体は巻き網が本格的に日本海に進出した2004年以降(それ以前は北海道東方海域が巻き網の主たる漁場だった。それが獲れなくなったので日本海のマグロを狙うようになった)7パーセントまでに減少した。また今年の対馬は養殖用のヨコワが例年の2割しか獲れてないそうだ。日本近海のクロマグロは急激に減少しているのだ。もし来年7月を禁漁としてもマグロの資源が減少していくようなら禁漁期間はさらに長くなるだろう。日本海側にとどまらず太平洋側も全面禁漁となるかもしれない。
クロマグロ(太平洋、大西洋、地中海)の資源保護は世界のクロマグロの8割を消費する日本が率先してやらなければならないことである。
※太平洋クロマグロの産卵海域はフィリピン北方海域から日本近海とされているが、近年海水温の上昇でほとんどが石垣島から日本領海内の日本海側で産卵されているそうだ。

マグロは釣りの究極のターゲットである。その大きさ、パワー、スピードとスポーツフィッシングのターゲットとして最高の相手である。挑むアングラーもそれなりの心構えが必要である。体力トレーニング、大物用タックル、ラインシステムなどもより万全にして挑んでいただきたい。


さて前置きが長くなったが、7月から8月にかけて2度青森に遠征した。1回目は飛行機+レンタカー、2回目は横浜から車で往復した。車だと片道8時間くらいかかる。アメリカやニュージーランドに行くのとさして変わらなくなる。釣果を交通費で割ったら、海外へ行ったほうがはるかに安い。それでも青森へ行くのは「国内で釣りたい」という気持ちがあるからである。

俺は青森通い14年間で30キロオーバーは恥ずかしいことだが1匹しか釣ってない。

ところが上手な人は確実に釣っている。今回は児島玲子さんと現場でお会いしたが3日間連続で計3匹キャッチしていた。最大は45キロ(港で解体後に検量)だったそうだ。青森で3日連続、しかも女性である。素晴らしいとしかいいようがない。九州からサンライズの田代船長も8月中旬に青森へ来て3日間で2匹キャッチして帰った。ヒットは何と9回もあったそうだ。上手な人は釣るのである。

玲子ちゃんとマグロ(ランキングのHPから)
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せ~いち船長とマグロ(サンライズのHPから)
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玲子ちゃんが45キロを釣った日に小泊の居酒屋で祝勝会を。イチロー、小西も合流してマグロ談義は夜遅くまで続いた。
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ボンちゃんも地元の船長もいっぱい来た。
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見覚えのあるTシャツ(笑)
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翌日はやる気満々の船長
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途中からヘタレてましたが・・・
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今回も我々は1ヒットもないまま横浜へ帰った。哀れな我々に玲子ちゃんは最終日にマグロを一匹恵んでくれた。
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みんなでいただきました。ありがとうございます。
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仙台から来たグループも玲子マグロを堪能してました。彼らもマグロ釣りに交代はご法度だそうです(一番手前は親分格の仙台で料理屋を営む三浦さん)。
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竜飛沖にカーペンター号がデビュー。オーナーは黒ベンである。黒ベンは10月中旬まで青森に滞在するそうだ。小西も長期間滞在の予定なので近日中にビッグな報告があるだろう。
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竜飛岬にあるホテルの温泉は津軽海峡が見下ろせて超お勧め。宿泊客以外でも500円で入浴できる。
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さて最後に苦言を言わせていただく。

それは8月24日のSFPCミーティングで一部のメンバーからこんな話が出た。

Aさん「先日関西から青森に来たYさんは200キロオーバーのマグロ以外は興味がないと言ったそうです」
Bさん「その人はシ○ノのテスターと言ってたそうだね」
Aさん「3日間チャーターしてたけど、1日だけ乗ってドタキャンして帰ったそうです」

200キロオーバーのマグロなんて本職の漁師でさえ滅多に釣れないし、遭遇しない。それを釣り人が簡単に釣れるわけが無い。大物を釣りたい気持ちはわかるが、初めて乗る船を予約するときに言うことではないだろう。

メーカーのテスターだからどうしたと言うのだろう。優遇でもしてもらいたいのか?

そんな立派なことを言う釣り師がドタキャンしていいのか?素人ならまだしも何年も釣りをしている人間はキャンセルなど絶対にしないのが常識である。ちなみに船は翌日も翌々日も出船したそうだ。

200キロオーバーのマグロを釣るためには何年も何回も同じ場所に通うことが必要である。というかこの男はキャスティングで100キロのマグロさえ釣ってないらしい。

よく言えたもんである。


話はどんどん大きくなる傾向があるので、青森に行ったとき船長、関係者から詳しいことを聞いた。

さらに出てきた話。

青森の某メーカーにY氏から電話があった。
Y氏「ロッドを確認したいのだが」
メーカーCさん「お取引きしているショップで見てください」
そのあとしばらくやり取りが続く。俺(茂木)の名前も出たらしい。
Y氏「茂木さんとも親しくしています」
正直、俺は親しくない(笑)
Y氏「あなたと話しても進まないのでオーナーの電話番号を教えてください」
メーカーCさん「プライベートなことなので教えられません」
その直後に電話を切られたそうだ。

そんな電話がもう1回あったそうだ。内容は1回目とほとんど同じでやはり一方的に切られたらしい。

Y氏はこのメーカーに何をしていただきたかったのか?

俺の名前を出して何かを期待したのか?

船の上では「シ○ノ」「カ○イチ」といったメーカーの話をよくしたそうだ。

そのリールは俺が開発したとか、フックは特別に作らせているとも言ってたそうだ。

俺の経験上テスターとかモニターとかとかく言いたがる人間にろくな奴はいない。また有名人ならばマナー、モラルをより大切にして守るべきである。

200キロオーバーのマグロしか興味が無いということは他の釣り船にもしていたそうだ。

200キロのマグロを釣る講釈もしたそうだ。

初めて来る場所、初めて乗る船にそんなことを言うのはどうかなと思うが。

青森でこのように規制がなく釣りが出来るのは船長、地元アングラー、漁師さんたちの協力のおかげである。

我々遠くから来る者はそれに感謝するのが当然で、文句や意見などは簡単に言える立場ではない。

しかもY氏は船に氷がないことにも文句をつけたらしい。さらに俺の記事に関しても難癖をつけたそうだ。

そして3日間チャーターしていたが、残り2日間をドタキャンして帰っった。

帰る前に船のオーナーには何の連絡もなかった。

マグロに挑むものは心構えが必要と言ったが、彼には心構え以前の常識から学ぶ必要があるだろう。



以下は7月に青森へ行ったときの写真です。

恒例のマグラーズとの宴会
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青森マグロの情報発信基地「ランキング」
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弘前城見学
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十三湖名物「シジミラーメン」
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これからも青森へは何度も行く予定です。

いつか釣れると信じてます・・・
2010/08/25

4年連続挑んだ巨大クロマグロ総集編3

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8月10日
まだ暗い4時頃に前半組をクライストチャーチ空港まで送ってからホテルに戻り5時間ほど睡眠を取って再び空港に行って11時過ぎに到着する後半組を待った。後半組は2年連続の八丸船長とカーペンターの小西、それと初参加の黒ベンとドンパリである。八丸船長は昨年8時間50分もファイトしてリーダーブレイクだった。ドラグは26キロだった。それで8時間50分もファイトしてリーダーをぶち切っていった化け物はいったい何キロ?小西は今年スピニングで挑む。しかも8フィートのキャスティングロッドである。俺が見ても無謀に見えるが・・・

南半球にクロマグロがいるということはほんの数年前までは日本の研究者、本業のマグロ漁師でさえほとんど知らなかった。
それが6年前頃からアメリカの学者(ジョージ・シリンガー)がニュージーランドを訪れDNA鑑定、そして毎年30本以上のアーカイバルタグを打ってその生態が明らかにされた。5年前にオーストラリアの友人に「茂木さん、ニュージーランドで日本と同じクロマグロが釣れたよ」と聞かされた。その友人はDNA鑑定で証明されたことも知っていた。もちろん5年前にニュージーランドから来たチャーリーも知っていた。知らなかったのはそのクロマグロを一番食べている多くの日本人だった。日本人は食べることには強い関心を示すが、その生態にはほとんど興味を示さない。それがクロマグロ激減へと繋がったのだ。資源、生態にもう少し興味を持ったなら、今の危機的状況になる前に何らかの動きがあったと思う。

この太平洋クロマグロに関しては今年になってようやく大きな動きがあった。それは次回のブログで公表する。

このレンタカーを18日間借りた。みんなの荷物を積んで5人乗ると後部座席の3人は缶詰状態だった。
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約4時間でウエストポートに到着。すぐに出港となった。天気は持って明後日の朝までらしい。

出番を待つ5台のケンマツとカーペンターBB54B(うち2本はプロト)。
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トップバッターはドンパリだ。普段はトカラ、石垣などでGT、それと玄界灘でマグロを狙っている。壊れ度はAクラスである。

ヒットは11日の午後7時55分だった。始めのうちはサメかなと思った。モタモタしていて中々一気に持っていかないのだ。そんな状態が1分以上続いたが、突然気が付いたかのように一気に猛スピードで走り出した。最初のうちは釣られていることに気が付いてなかったようだ。大型漁にはよくあるケースだ(笑)。
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高校時代水球で全国的に鳴らした男なので基礎体力は充分だった。安定したファイトで55分でクルーがリーダーを掴んだ。リーダーシステムは八丸式である。ザイロンノットでショックアブソーバー用のナイロンリーダーと先端のフロロを結んである。フロロの部分が8メートルでフックとは八丸ノットで結合。


しかしクルーがアルバイトの18歳なので中々船べりまで寄せられない。見かねた八丸船長がリーダーを掴んだらすぐにマグロは船べりに浮いてきた。ただしマグロの抵抗はかなり強いので素人はリーダーを掴まないほうがいいと八丸船長は言っていた。
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船長推定280キロでファイティングタイムは55分だった。ドンパリは初挑戦でキャッチである。
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俺「簡単に釣るなよ。もっと苦しんで釣らないと見てて面白くないから」

これって全然アドバイスになってない・・・か



その後ヒットはなく、12日の深夜に沖あがりとなった。港には12日の朝8時頃到着した。

クライストチャーチに戻って前半組が釣ったマグロを食べることになった。あのマグロはとにかく美味いのでみんなに食べさせたかった。

途中、いつもは通り過ぎる温泉に寄った。日本人が経営しているらしく、日本風の作りらしい。
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しかし湯はぬるいし、汚いし、脱衣所は超寒いしで全然体は暖まらなかった。2度と来ることはないだろう。

午後3時頃クライストチャーチに到着した。

いつものレストラン(倉敷)には夕刻7時頃に行った。
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やはり激美味のマグロだった。

13日の夕方ウエストポートに戻った。いつものモーテルに泊まった。

14日、9時頃ポー船長に電話をすると11時に出港するという返事だった。

2番手は黒ベンである。国内ではクロマグロを追いかけて玄界灘、青森に頻繁に現れる。ついには船まで購入して青森の小泊に置いてある。カナダのバンクーバーで学生時代を過ごし、アイスホッケーに夢中になり、気が付いたらカナダの大男と体当たりの繰り返しで体がガタガタになっていたらしい。松方弘樹さんとも親しい仲である。

ヒットは夜の11時15分ごろだった。本命のクロマグロだったが25分でフックアウトだった。本来のルールなら3分以上ファイトしたら次の者と代わるのだが、松方さんに是非見ていただきたいので引き続きチャレンジさせることにした。

その後パッタリと当たりが無く、船は大移動となった。どうやら3時間くらいのところでニュージーランドのホキ船(大型底引き網漁船)が漁をしているらしい。

9時ごろホキ船に接近する。何度か仕掛けを投入するがヒットはない。ホキ船から30分後に網を上げるから、そのときにもう一度来いと言われた。
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30分後に再び近づくと水面に網が姿を見せていた。その周りでマグロが水しぶきを上げて網からこぼれたホキに襲い掛かっていた。すぐに網に向かってホキを付けた仕掛けを投入する。
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すぐにヒットした。
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日中のヒットなので勢いよく猛スピードでラインを出していく。

ラインは500メートル以上出た。

そこから反撃に転じる。でも一度では寄せきれない。何度も繰り返し走られた。

そして1時間10分後にマグロは観念したかのように浮上した。船はバックで一気にマグロに近づく。

日中なのでマグロの姿がはっきりと見えた。逃げ惑うマグロだが、すでに高速で泳ぐパワーは残ってないようだった。

クルーがリーダーを掴んで船べりに寄せる。
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もう一人がタグを打った。
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そしてリーダーをナイフでカットしてリリースした。
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ファイティングタイムは1時間15分。最後までスタンドアップでもちろん単独ファイトである。ドラグをチェックすると28キロだった。


松方さんに見ていただく最高の動画が撮れた(^^)


そして後半組3番手の八丸船長となった。昨年は1匹釣ったあとに2匹目はドラグ26キロで8時間50分の壮絶なファイトだった。最後は無念のリーダーブレイク。クルー3人がかりでリーダーを掴んだら切れてしまった。おそらく300キロをはるかに上回るマグロだっただろう。

今回はケンマツのテスト用のカーボン製スプールを持ってきていた。持ってみると実に軽い。スタンドアップでやる以上、軽いのは大歓迎である。

日が沈んで7時から8時頃は最高にヒット率が高い時間である。なのに船は夕食タイムとなった。明日は天気が崩れる。今夜が最後のチャンスである。俺は「ベストタイム!」と言って夕食を拒否して自分で仕掛けを投入して釣りを始めた。やがてクルーが出てきて交代した。彼ら雇われ船長とアルバイトのお兄ちゃんにずっとやる気を感じられなかった。前半組のときも最終日にガツンと活を入れたが、この日も入れることになった。ランスがいればこんなことはないのだが・・・
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ヒットは8時15分だった。やはりのんきに夕飯を食べている時間ではない。
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ところがリールが最初からおかしかった。ドラグがスムーズでないのである。ジッ、ジッ、ジッとラインが出て行く。これでは怖くてファイティングポジションまでドラグを上げられない。そしてアングラーの負担はかなり大きい。体が断続的に引かれるのだから。

そんなリールを何とか使いこなし2時間後にクルーがリーダーを掴んだ。そしてしばらくバトルが続いた後、リーダーを離してしまった。その間にタグを打つチャンスは何度もあったが・・・
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その数分後についにスプールがロックしてしまった。ハンドルは回るのだが、スプールがビクともしない。

その状態が数分続いた。船で引っ張って浮かそうとしたらPE10号がプチッと切れてしまった。

これはキャッチと言ってもいいだろう。リーダーを掴んでタグを打つチャンスは何度もあったが、クルー二人がリーダーを掴んでいるので打てなかった。今思えば俺が撮影を中断してタグを打てばよかったと後悔しきりである。マグロのサイズは300キロ前後だった。

そして4番手の小西となった。でも残り時間が少ない。明日早朝には引き返さないと海は大荒れとなるそうだ。

何とか小西にスピニングタックルで挑んでもらいたかった。そこで俺が食わせ係りをやった。しかし一番ヒット率の高い時間は過ぎてしまい、静かな時間だけが過ぎていった。

クルーの手は傷だらけだった。アルバイトとしては危険すぎる仕事かもしれない。
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小西はずっと待機のまま朝が来てしまった。
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終了である。結局前後半でファイトできなかったのは小西だけだった。

それでも一言も愚痴をこぼさず小西はみんなにありがとうございましたと挨拶をしていた。偉い奴である。



4年間で28匹のマグロを釣ってこの挑戦は幕を閉じた。


1年目 2匹キャッチ
2年目 10匹キャッチ(7匹リリース)
3年目 11匹キャッチ(9匹リリース)
4年目 5匹キャッチ(3匹リリース)
合計 28匹キャッチ(19匹リリース)

スタンドアップ 26匹
チェアー 1匹
スピニングでハーネスなし 1匹

200キロオーバー 26匹

最大陸上実測 322キロ
最大推定 400キロオーバー

最長ファイティングタイム 10時間50分

交代 0





4年間巨大クロマグロにお付き合いしてくれた多くの仲間

ありがとう。


来年からはアメリカの巨大クロマグロにキャスティングで挑みます。

スタンドアップで挑む巨大クロマグロは来年からはカナダへと移ります。


引き続き応援をお願いします。
2010/08/21

4年連続挑んだ巨大クロマグロ総集編2

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今回はパナマで痛めた中指が完治してないので俺はアドバイスと撮影係に専念すると決めていた。それでも荷物は合計70キロ近くあった。スタンドアップ用ロッド3本、ケンマツ50S2台、替えスプール2個、ティアグラ50WLRS1台、ハーネス、予備のライン、ハリス、クランキングリーダー、工具、フック、一眼レフカメラ2台、交換レンズ3本、ビデオカメラ2台、ストロボ、電池、パソコン、充電器などなどである。荷物が多いのでマイルのポイントでビジネスクラスに乗った。これにスターアライアンス・ゴールドメンバーの特典が付いて預ける荷物は50キロまでOKだ。カメラやパソコンは客席に持ち込むので預ける荷物は55キロくらいだった。ちょっとオーバーしたが、超過料金は取られなかった。

8月1日の早朝にオークランドに着くとYEEHAA(釣具屋)のトニーと玄さんが迎えに来てくれた。軽く食事をして日中は水族館を見学した。その後釣具屋により、午後2時頃ホテルにチェックインした。ディナーはみんなでトニーの奥さんお気に入りのチャイニーズレストランへ行った。
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2日の早朝便でクライストチャーチに到着。レンタカーを借りて11時頃に到着する前半組を駐車場で仮眠しながら待った。11時半ごろ栓抜き、屑弁、がんじゅうが到着ロビーに姿を現した。ところが荷物が出てこない。係員に聞くと午後1時着の便に積んであるということだった。メンバーに超問題児がいるのでトラブルは予想通りだ(^^;
希望を言わせていただくなら「トラブルは1回でお願いします」

荷物が届いて船が待機するウエストポートに向かった。栓抜きが運転するというので交代した。道順を口頭で教えて俺は助手席で眠った。目が覚めたら違う道を走っていた(爆)。

途中エンチャンターのオーナー兼キャプテンのランスに電話をした。こんな返事が「今年はライセンスの申請を忘れていて船長は臨時でポーという人です」と。船長交代は一言も聞いてなかった。あまりに直前過ぎませんか・・・

ポー船長の携帯に電話を入れると出港は明日の11時頃という返事だった。5時間くらいでウエストポートに着いた。いつものスーパーで食材とビール、ワインなどを購入した。その後、桟橋の近くでドラグのチェックをした。
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翌日、予定通り11時に出港。7時間くらい走ってようやくホキ船(大型底引き網漁船)に接近した。このホキ船が網を回収し終わる頃が一番のチャンスである。網からこぼれる魚を狙ってマグロ、アシカ、サメ、海鳥、イルカなどが集まってくる。

先頭バッターは栓抜きである。4年連続のチャレンジである(昨年は娘が病気になり直前キャンセル)。1年目はあっという間にマグロを寄せたが、クルー3人でリーダーを掴んで強引にランディングしようとしたら600ポンドのリーダーが切れてしまった。2年目もリーダーを掴むところまでは行くのだが、そのたびにクルーはマグロを寄せきれず再びリーダーを離してしまった。そして3時間40分でラインブレイク。2回ともリーダーを掴んでいながらギャフもしくはタグが打てる距離まで寄せ切れなかった不運な男である。

ホキ船に接近してホキを1匹付けて仕掛けを投入する。何度か接近を繰り返して4日の午後7時50分にマグロが食いついた。
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栓抜きのファイトが始まった。さすがに慣れているので下半身は安定していた。また37歳と年齢も若い。
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50分でPRノットまではスプールに回収した。ここから25メートル先にクランキングリーダーがある。そこまで来ればクルーがリーダーを掴む。あと少しだ。

そのとき「パチン」と大きな音がした。スプール内でラインが食い込んで弾けたような音だった。

その1分後にPEラインが切れてしまった。さっきの音が原因だろう。体力にはまだまだ余裕があった。実に惜しい幕切れだった。

その後はパッタリとヒットせず、天候が悪化したので6日早朝にいったんウエストポートに引き返した。

7日の午後再び出港。一晩中釣り続けるがマグロのヒットは無かった。8日の朝、俺はフライブリッジに上がってGPSなどを確認した。船はウエストポートの沖をかなり広範囲に探っているが、南下した航跡がなかった。水温は例年より3度くらい高く14度台だった。ならば水温が低い南へ移動したほうが良いかもしれない。そこでキャプテンにグレイマウス沖に行くよう指示した。

8日の夕方近くにグレイマウス沖に到着した。7時過ぎに仕掛け投入をするとまもなくマグロが食いついた。アングラーは屑弁である。今年で3年目のチャレンジだ。1年目は順番が回ってこなかった。2年目はチェアーに座ってファイトして240キロをキャッチした。そして3年目の今年はスタンドアップで釣ることが目標だった。年齢は55歳だが、チャレンジ精神はかなりのものを持っている。この遠征のために毎日100回スクワットをやっていたそうだ。
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ラインはあっという間に400メートル以上出た。マグロが止まったところで反撃を開始する。とても55歳とは思えない下半身を使った素晴らしいポンピングである。しかし相手はかなり大きそうだ。何度も寄せるが、何度も走られた。
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2時間経過辺りから屑弁の体は上半身が前に曲がってきた。手すりに手を付ける場面も増えてきた。かなり辛いのであろう。それでも一度も座ることなくファイトを続けた。
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2時間45分でクランキングリーダーをクルーが掴んだ。激しい格闘の末、ついにギャフが打ち込まれた。
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最後まで交代せず、立ってファイトを続けた。55歳にして素晴らしい快挙である。

陸上正式計量:322キロ
ファイティングタイム:2時間45分
アングラー:屑弁(本名:神田)

ロッド:カーペンタープロト
リール:ケンマツ50S
ライン:サンラインPEジガー8HG10号+ナイロンショックアブソーバー60号25メートル
クランキングリーダー:400LB
ハリス:マンユウ(フロロ)120号

マグロは重すぎて7人がかりでも船上に引き上げられず、後部に突き出ているランディングデッキに上げてロープで厳重に縛って固定した。
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しばらく興奮状態だった船上だが、11時頃から再び釣りを再開した。3番手はがんじゅうである。今回が初挑戦だが35歳と若く、学生時代はトライアスロンをやっていたので基礎体力はある。

11時40分ごろヒット。ファイトの仕方はYouTubeを何度も見たそうで、最初から安定していた。カナダのチョウザメのときは慣れないベイトリールにてこずっていたが、今回はスムーズにラインを巻き取っていた。
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ところが魚は屑弁のより大きいらしく全然船に寄せられない。普通は夜のヒットは日中に比べてファイティングタイムが平均して半分以下と短いのだが、このマグロは夜にも関わらず潜ったままで浮いてこない。
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2時間経過後ころに1回クルーがリーダーを掴んだが、寄せきれず再び離してしまった。あと2メートルまでリーダーを寄せてタグを打つチャンスだったが・・・
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3時間経過したあたりから口数が減ってきた。また俺の問いにも返事ができなくなっていた。
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4時間経過あたりで2回目のリーダーキャッチだったが、再び離してしまった。デッキハンドの二人は18歳のアルバイトである。アルバイトには無理な仕事かもしれない。

5時間経過。ポンピングも下半身がほとんど動かず、口数は完全に消えた。

6時間15分。3回目のリーダーキャッチ。やはり浮かしきれない。途中から船長も加わり、かなり力の入ったランディングバトルだった。マオリ族で元ニュージーランドの空手チャンピオンでもあるポー船長は体も大きく力もかなりありそうだ。
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2分くらいマグロとの綱引きが続いた。しかしマグロの必死の抵抗に会い120号のフロロが切れてしまった。フックはカンヌキ(口の横の部分)にかかっていたので歯で切られたわけではない。


とんでもなく大きなマグロだった。ランディングデッキに横たわる屑弁のマグロも大きいが、がんじゅうのマグロはそれよりもはるかに大きかった。

がんじゅうはファイト終了後に座り込んでしまい、立てなくなってしまった。クルー二人に担がれてキャビンに運ばれて、そこで気を失ってしまった。
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そしてストップフィッシングとなった。

さて屑弁のマグロだが、クルーが尾叉長と胴回りを測り、推定重量を算出した。それは280キロだった。ところが俺はあまりにも胴体が下半身まで丸々太っていたので船上で解体せずに港まで運ばせた。

そして港でクレーンで上げて、フォークリフトで秤に載せて正式に計った。
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計る直前に俺は「320キロくらいだな」とみんなに話した。

計ると

322キロ
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だった。

ニュージーランドに4年連続で挑んで最大だった。
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このマグロが322キロなら、がんじゅうのマグロはいったい何キロ?

おそらく400キロ以上あっただろう。

これは屑弁のマグロです。これよりはるかに大きかった。
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PS.322キロのマグロは解体して一部をクライストチャーチの日本食レストランに持ち込んだ。毎年ここで寿司でいただいているが、過去のどのマグロより美味しかった。
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その3へ続く
2010/08/19

4年連続挑んだ巨大クロマグロ総集編1

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きっかけは2006年の8月に当時カスケードのキャプテンだったチャーリーが俺の店に来たことだった。その数日前に青森の竜飛沖で30キロから81.9キロまで8匹釣った。その写真をチャーリーに見せると「ベイビー」と言われた。そして店内にあるパソコンでカスケードのサイトに繋いだ。そこには270キロ、230キロ、210キロの巨大なマグロが3匹並んでアップされていた。場所はニュージーランド南島のグレイマウス沖だそうだ。俺は1秒と迷わず「来年行く!」と叫んだ。

さて予約を入れたまではいいが、タックル、釣り方など何も聞かなかった(爆)。船は10日間予約(前半組5日、後半組5日)した。なんと1日4800ドルである。そんなに高い理由は24時間釣りができるからだそうだ。1時間200ドルなので24時間で4800ドルとなる。それは4年後には1時間225ドル、1日5400ドルまで値上げした。これに一人一日40ドルの食事代が加算される。食事は正直に言って日本人には合わない。オーストラリアのノマードなら日本人向けの料理を出してくれるが、ここはそこまでやってくれない。自分たちで食材を買い込んで船内で料理するしかない。

出発の直前まで試行錯誤しながら準備をした。とりあえずラインはPE10号を800メートル巻いた。リールはティアグラの50Wである。ロッドはカーペンターのBB52B(スパイラルガイド)を用意した。PEラインは一瞬の衝撃に弱いのでショックアブソーバーとしてナイロンの200ポンドを25メートル先端に繋いだ。その先はクランキングリーダー400ポンドである。フックはがまかつのサークルフック(今は製造してないらしい)12/0である。

結果は現地に着いてクルーに俺のタックルは使えないと言われた。ドラグは22キロ以上必要だそうだ。ノーマルの50Wだと15キロくらいしか上げられない。同行の者は50WのLRSを持参してきた。これはティアグラの80とドラグMAXが同じで22キロまで上げることができる(カタログ上は18キロ)。同行の一人はケンマツ50Sを与那国の船長から借りてきていた。これはファイト中にレバードラグを調整できて最大で30キロくらいまで上げることができる。ラインもPE10号が1000メートル余裕で入る。

釣りの順番はジャンケンで決めた。1番はケンマツを持参した豪だった。ロッドはカーペンターのBB52XBである。グレイマウスを出港して5時間くらいでポイントに到着。仕掛けを投入するとすぐにヒットした。45分のファイトで上がってきたのは南マグロの142キロだった。当時、全員が初めて見る100キロオーバーのマグロなのでとんでもなく大きく見えた。船上の興奮はしばらく続いた。
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しかしそれからヒットはパッタリと無かった。6人のうちファイトできたのは豪だけで、他の5人はファイトもせず終了した。
ニュージーランド南島の巨大クロマグロ前半組
http://grouperboys.web.fc2.com/07report_a/0708grey_1/grey_a.htm


続いて後半組が挑んだ。タックルは船の装備品を使った。リールはティアグラ80、ラインはナイロン80ポンド、リーダーはナイロン600ポンドだった。ビックリしたのは80ポンドラインなのにドラグを22キロにセットしていた。ちょっと無理なんじゃないかなと思った。案の定プチプチ切れた。あまりに切れるので俺は怒りの頂点に達してクルーに新品のラインに巻き替えさせた。でも新品も80ポンドなのでプチプチ切れた。そんなラインブレイクの連続だったが一人が182キロをキャッチした。今思えば小さいからブレイクしないでキャッチできたのだろう。
ニュージーランド南島の巨大クロマグロ後半組
http://grouperboys.web.fc2.com/07report_a/0708grey_2/grey_a.htm

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1年目はそんなわけで142キロと182キロの2匹で終了した。それでも日本ではビッグニュースだった。スタンドアップで22キロのドラグなんて日本では当時誰もやっていなかったのだから。このことに関しては日本のマグロ釣りの第一人者S氏から直接電話をいただき、我々の釣り方を説明したが信じてもらえなかった。S氏はドラグ22キロでスタンドアップは人間には無理と断言した。では一緒に行きませんかと言うと「君たちの釣り方には興味がない」と言われる始末だった。


2年目は14日間チャーター(前半7日、後半7日)した。悪天候で釣りができない日が多いので日数を増やした。タックルは1年目の反省からケンマツ50を2台新たに購入した。ティアグラはすべてLRS仕様にした。リーダーがナイロンだと食いが悪いのでフロロの150号を持参した。

持参のタックルを使い前半組は9匹もキャッチした。ドラグは最大で25キロまで上げたがアングラーはまだまだ余裕があった。余裕のある者は最後のランディング時はリーダーを掴んで走りを止めていた。後半組は天候に恵まれず1匹で終了した。でも合計10匹(7匹リリース)という1年目に比べて大躍進の2年目だった。最大は船長推定300キロ、最長のファイティングタイムは4時間45分だった。※推定重量は尾叉長と胴周りを計測して電卓で計算して出す。過去のデータが基本となるようだ。
スタンディングで巨大クロマグロに挑む!
http://grouperboys.web.fc2.com/news08b/bigtuna.htm

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3年目になるとスタンドアップでの釣りはほぼ確立されたと思ったので全員がキャッチした後に俺はスピニングでハーネス無しで挑んだ。結果は1回目のチャレンジは13分でラインブレイク(ラインがランディングデッキの手すりに触れた瞬間切れた)。そのときの最終ドラグは25キロのバネ秤を振り切ってしまい計測不能だった。スプールはドラグが強いためにラインローラー側にゆがみ回転枠に接触していた。終了後にスプールを確認すると表面の塗装が剥がれていた。
スピニングで挑んだ巨大マグロ
http://uminchumogi.blog111.fc2.com/blog-date-20090811.html

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2回目は後半組のときに、これも全員がキャッチした後に挑んだ。ドラグを1回目より弱く設定した。結果は2時間45分でタグ&リリース成功、重さは船長推定250キロだった。※船上は1匹しかキープできないので2匹目以降はリリースとなる。
限界に挑む!
http://uminchumogi.blog111.fc2.com/blog-date-20090820.html

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3年目はトータル11匹をキャッチ(うち9匹リリース)した。最大は船長推定310キロ、最長ファイティングタイムは8時間50分(リーダーブレイク)だった。終了後にドラグを計ると26キロだった。3年目終了時点で23匹キャッチ、そのうち21匹が200キロオーバーで交代は一人もいない。
巨大マグロに挑んだ男たち
http://uminchumogi.blog111.fc2.com/blog-date-20090823.html

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ニュージーランドでの経験は日本で通じるのか?
そう思って2008年から挑み続けている。そして2009年1月に七里で190キロをキャッチした。船長は大物釣りの経験が豊富な八丸だった。アングラーは初挑戦だったが、周りが経験豊富な人ばかりだったのでヒット直後の2分くらいは慌てたが、そのあとは安定したファイトだった。
スタンドアップで狙う国産巨大マグロ
http://uminchumogi.blog111.fc2.com/blog-entry-57.html

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そして4年目が来た。

続く