お粗末すぎる我が国の資源管理・クロマグロ編
先日(19日)、水産庁から太平洋クロマグロの親魚資源量の下方修正が公表された。業界紙に載っていたのだが、その記事を見て唖然とした。漁業者だけでなく、国民までも騙していたのだが、記事はまったく、それに触れてない。
その記事の一部を抜粋
「昨年1月に開始された漁獲規制の効果は次期評価(3年後)を待つことになるが、今回、資源の増加傾向が明らかになったことで、歴史的最低水準を下回ることが懸念されていた太平洋クロマグロ資源に、明るい期待がもてる結果と言えそうだ。」
この記事の中には2012年の資源量が26324トンから13795トンに下方修正された疑問にまったく触れてない。水産庁の言い訳をそのまま載せただけである。これを世間一般では御用記事と言う。
2010年は22606トンから11505トンに下方修正されている。この22606トンが公表されたとき「初期資源量の3.6パーセントまで激減した」と大ニュースになり、2014年には絶滅危惧種に加えられたわけだが、それよりもはるかに少なかったわけである。単純に計算すると2パーセントを割っている(初期資源量は60~70万トンと推定されている)。これは即禁漁にしなければならない数字である。
さらに1984年も19000トンから11000トンに下方修正されている。これも不思議である。なぜなら、その年に6212トンの漁獲があるからである。11000トンの資源量に対して6000トン以上の漁獲は不可能である。さらに1983年はグラフを見ると15000トン前後だが、その年に14472トンの漁獲があり、1982年にいたっても資源量と漁獲量はほぼ同じである。まったく不思議である。
これは最低水準を下回ったら、水産庁の資源管理に対する風当たりが強くなる。それを避けるためにまったく根拠のない下方修正したと俺は考える。そして資源が増えたようにみせかける。いわゆるねつ造である。
※データは水産庁サイト、もしくはISCから引用。
親魚資源量は4月19日に下方修正されて公表された。

これは修正される前の資源量である。多い時期はほぼ同じ資源量だが、少ない時期が大幅に修正されている。

これは未成魚も含めた全資源量である。これも下方修正する前である。当然修正されているはずである。
単位は万トン

1951年から1997年の漁獲量の推移。1982年は親魚(マグロ)の漁獲量が22400トンもあった。しかも当時のまき網で獲れるマグロの平均サイズは100キロを超えていた。いまは30キロ台まで小型化している。

各国の漁獲量。日本が抜け出ている。そして全体の7割がまき網である。

2011年は11860トンの資源量に対して6069トン獲っていた。絶対にありえない漁獲である。

そこで、さらに疑問が沸いてきた。ここまで資源が少ないならば、水産庁の決めた漁獲削減は無意味なのでは?
26000トンの資源量に対して決めたわけだが、あとでよく調べたら14000トンを割っていた。14000トンという資源量を基準に漁獲を規制すべきである。
昨年の大中まき網の漁獲を調べると・・・
未成魚は漁獲枠2000トンに対して923トンしか獲れてない(赤線)
昨年の1月は246トン獲ったが、今年の1月は0トンである(緑線)
成魚(親魚)は漁獲枠4882トンに対して3711トンしか獲れてない(青線)
さらに漁獲が産卵期に集中しているのがわかる(青線)

昨年あの対馬事件を起こした盗賊のようなまき網が獲り控えたとは考えられない。
対馬事件
「俺の感情論」
http://uminchumogi.blog111.fc2.com/blog-entry-433.html
いないのである。
もうクロマグロがいないのである。
だから獲りたくても獲れないのだ。
そして今年も産卵期を狙ってまき網漁は行われる予定である。
キロ300円に暴落なんてことも昨年はあった。一番不味い時期に大量に獲るからである。

まったく資源の無駄遣いである。
水産資源は国民の財産である。一部企業、天下り、族議員のものではない。
昨年5月の水産庁長官の答弁。
「親が減っても子は減らぬ」

まき網を擁護する発言である。
以下のリンク先は必見です。ニッスイと山陰まき網組合が水産庁が力説する科学的根拠を無視した頓珍漢な発言をしています。
マグロ急減で漁業者衝突 動かぬ水産庁の不可思議
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5318
質問:産卵期にクロマグロを漁獲する理由は。
回答:日本水産
地域ごと、漁法ごとに魚が漁獲できる時期というものがあり、日本海で巻き網を使って漁をする場合、6~7月の産卵期となる。この時期以外は漁獲しづらい。
回答:山陰旋網(さんいんまきあみ)漁業協同組合
産卵場に集まってくる時期が巻き網で漁を行う私たちにとっては最も獲りやすい。
産卵期に巻く理由は「その時期が一番巻きやすい」と言ってます。これが科学的根拠?
一番不味い時期、一番値が付かない時期、そんなときに大量に卵を持ったマグロを巻くことが科学的根拠なんですか?
さらに続く
頓珍漢な発言その2
「また、産卵前のクロマグロがもっとも美味しいので、その時期を狙っている。」
だったらキロ300円まで暴落しない。暴落の原因は一年のうちで一番不味い時期である、そして売れ残るほど獲る、その二つである。
頓珍漢な発言その3
「サケもタラもボラも産卵親魚を漁獲している。産卵親魚を獲ることが悪いという考えには違和感がある。」
サケ(イクラ)、タラ(タラコ)、ボラ(カラスミ)とその卵は市場価値が高い。クロマグロの卵は産業廃棄物として捨てられている。同じに考えるのは大きな間違い。
さらに宮原農林水産省顧問はこんな発言もしている。
「親魚を産卵期に獲り控えても、別の時期に獲れば資源への悪影響は変わらない」
産卵期にまき網で漁獲されるクロマグロはほとんどが3歳魚と4歳魚(近年の平均は30キロ台後半。1980年代は100キロ台だった)。ようするにほとんどのクロマグロが初めての産卵なのである。400万個(100キロだと1000万個の卵を産む)の卵を産んだ後に漁獲されるのと、一度も卵を産まないで漁獲されるのでは資源への影響に大きな差が出るのは明らか。それを無視した発言である。
そして沿岸漁業は衰退した。
これは大間と並んで一本釣りで有名な壱岐の漁獲量。激減している。すでに経済的には破たんしたレベルである。

これは和歌山・那智勝浦のはえ縄漁の漁獲である。ひどいもんである。

それなのに、今年も産卵期に巻くそうだ。
即禁漁しなければならないほど資源が減っているのだが・・・
それでも水産庁は
まき網を擁護するのである。
海外へ目を向けてみる。
まず東大西洋海域でのクロマグロ。
2007年には6万トンの漁獲があったが、その後、厳しい漁獲規制をやり、2011年に12900トンまでTACを削減した。

地中海の産卵場での漁獲も1年の大半を禁漁にした。産卵場での漁獲は1年のうち3週間しかできない。
その結果は資源は急激に回復している。

続いて西大西洋側のクロマグロ。
1982年から資源管理を開始。産卵場であるメキシコ湾は全面禁漁となった。それは現在も続けられている。

その結果、資源は1995年ころから一気に回復している。

4月16日に壱岐でマグロサミットが開かれた。沿岸漁業者による全国初の会議である。
北は北海道から、南は石垣島までのマグロ漁師が集まった。

全国から来た漁業者の代表は全員が厳しい漁業の実態を訴えた。
会場には500人の人が集まった。

ところが、招待した水産庁とまき網関係者は一人も来なかった。
大手マスコミもまったく姿が見えなかった。
沿岸漁業者は見捨てられてのである。
何のための地方創生だったのか。
離島や地方の沿岸の経済を支えてきたのは漁師である。
その漁師が・・・
最大の危機を迎えている。
俺は許せない。
6月15日に水産庁前、そしてニッスイ前でデモをやります!
なめんなよ!!!
その記事の一部を抜粋
「昨年1月に開始された漁獲規制の効果は次期評価(3年後)を待つことになるが、今回、資源の増加傾向が明らかになったことで、歴史的最低水準を下回ることが懸念されていた太平洋クロマグロ資源に、明るい期待がもてる結果と言えそうだ。」
この記事の中には2012年の資源量が26324トンから13795トンに下方修正された疑問にまったく触れてない。水産庁の言い訳をそのまま載せただけである。これを世間一般では御用記事と言う。
2010年は22606トンから11505トンに下方修正されている。この22606トンが公表されたとき「初期資源量の3.6パーセントまで激減した」と大ニュースになり、2014年には絶滅危惧種に加えられたわけだが、それよりもはるかに少なかったわけである。単純に計算すると2パーセントを割っている(初期資源量は60~70万トンと推定されている)。これは即禁漁にしなければならない数字である。
さらに1984年も19000トンから11000トンに下方修正されている。これも不思議である。なぜなら、その年に6212トンの漁獲があるからである。11000トンの資源量に対して6000トン以上の漁獲は不可能である。さらに1983年はグラフを見ると15000トン前後だが、その年に14472トンの漁獲があり、1982年にいたっても資源量と漁獲量はほぼ同じである。まったく不思議である。
これは最低水準を下回ったら、水産庁の資源管理に対する風当たりが強くなる。それを避けるためにまったく根拠のない下方修正したと俺は考える。そして資源が増えたようにみせかける。いわゆるねつ造である。
※データは水産庁サイト、もしくはISCから引用。
親魚資源量は4月19日に下方修正されて公表された。

これは修正される前の資源量である。多い時期はほぼ同じ資源量だが、少ない時期が大幅に修正されている。

これは未成魚も含めた全資源量である。これも下方修正する前である。当然修正されているはずである。
単位は万トン

1951年から1997年の漁獲量の推移。1982年は親魚(マグロ)の漁獲量が22400トンもあった。しかも当時のまき網で獲れるマグロの平均サイズは100キロを超えていた。いまは30キロ台まで小型化している。

各国の漁獲量。日本が抜け出ている。そして全体の7割がまき網である。

2011年は11860トンの資源量に対して6069トン獲っていた。絶対にありえない漁獲である。

そこで、さらに疑問が沸いてきた。ここまで資源が少ないならば、水産庁の決めた漁獲削減は無意味なのでは?
26000トンの資源量に対して決めたわけだが、あとでよく調べたら14000トンを割っていた。14000トンという資源量を基準に漁獲を規制すべきである。
昨年の大中まき網の漁獲を調べると・・・
未成魚は漁獲枠2000トンに対して923トンしか獲れてない(赤線)
昨年の1月は246トン獲ったが、今年の1月は0トンである(緑線)
成魚(親魚)は漁獲枠4882トンに対して3711トンしか獲れてない(青線)
さらに漁獲が産卵期に集中しているのがわかる(青線)

昨年あの対馬事件を起こした盗賊のようなまき網が獲り控えたとは考えられない。
対馬事件
「俺の感情論」
http://uminchumogi.blog111.fc2.com/blog-entry-433.html
いないのである。
もうクロマグロがいないのである。
だから獲りたくても獲れないのだ。
そして今年も産卵期を狙ってまき網漁は行われる予定である。
キロ300円に暴落なんてことも昨年はあった。一番不味い時期に大量に獲るからである。

まったく資源の無駄遣いである。
水産資源は国民の財産である。一部企業、天下り、族議員のものではない。
昨年5月の水産庁長官の答弁。
「親が減っても子は減らぬ」

まき網を擁護する発言である。
以下のリンク先は必見です。ニッスイと山陰まき網組合が水産庁が力説する科学的根拠を無視した頓珍漢な発言をしています。
マグロ急減で漁業者衝突 動かぬ水産庁の不可思議
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5318
質問:産卵期にクロマグロを漁獲する理由は。
回答:日本水産
地域ごと、漁法ごとに魚が漁獲できる時期というものがあり、日本海で巻き網を使って漁をする場合、6~7月の産卵期となる。この時期以外は漁獲しづらい。
回答:山陰旋網(さんいんまきあみ)漁業協同組合
産卵場に集まってくる時期が巻き網で漁を行う私たちにとっては最も獲りやすい。
産卵期に巻く理由は「その時期が一番巻きやすい」と言ってます。これが科学的根拠?
一番不味い時期、一番値が付かない時期、そんなときに大量に卵を持ったマグロを巻くことが科学的根拠なんですか?
さらに続く
頓珍漢な発言その2
「また、産卵前のクロマグロがもっとも美味しいので、その時期を狙っている。」
だったらキロ300円まで暴落しない。暴落の原因は一年のうちで一番不味い時期である、そして売れ残るほど獲る、その二つである。
頓珍漢な発言その3
「サケもタラもボラも産卵親魚を漁獲している。産卵親魚を獲ることが悪いという考えには違和感がある。」
サケ(イクラ)、タラ(タラコ)、ボラ(カラスミ)とその卵は市場価値が高い。クロマグロの卵は産業廃棄物として捨てられている。同じに考えるのは大きな間違い。
さらに宮原農林水産省顧問はこんな発言もしている。
「親魚を産卵期に獲り控えても、別の時期に獲れば資源への悪影響は変わらない」
産卵期にまき網で漁獲されるクロマグロはほとんどが3歳魚と4歳魚(近年の平均は30キロ台後半。1980年代は100キロ台だった)。ようするにほとんどのクロマグロが初めての産卵なのである。400万個(100キロだと1000万個の卵を産む)の卵を産んだ後に漁獲されるのと、一度も卵を産まないで漁獲されるのでは資源への影響に大きな差が出るのは明らか。それを無視した発言である。
そして沿岸漁業は衰退した。
これは大間と並んで一本釣りで有名な壱岐の漁獲量。激減している。すでに経済的には破たんしたレベルである。

これは和歌山・那智勝浦のはえ縄漁の漁獲である。ひどいもんである。

それなのに、今年も産卵期に巻くそうだ。
即禁漁しなければならないほど資源が減っているのだが・・・
それでも水産庁は
まき網を擁護するのである。
海外へ目を向けてみる。
まず東大西洋海域でのクロマグロ。
2007年には6万トンの漁獲があったが、その後、厳しい漁獲規制をやり、2011年に12900トンまでTACを削減した。

地中海の産卵場での漁獲も1年の大半を禁漁にした。産卵場での漁獲は1年のうち3週間しかできない。
その結果は資源は急激に回復している。

続いて西大西洋側のクロマグロ。
1982年から資源管理を開始。産卵場であるメキシコ湾は全面禁漁となった。それは現在も続けられている。

その結果、資源は1995年ころから一気に回復している。

4月16日に壱岐でマグロサミットが開かれた。沿岸漁業者による全国初の会議である。
北は北海道から、南は石垣島までのマグロ漁師が集まった。

全国から来た漁業者の代表は全員が厳しい漁業の実態を訴えた。
会場には500人の人が集まった。

ところが、招待した水産庁とまき網関係者は一人も来なかった。
大手マスコミもまったく姿が見えなかった。
沿岸漁業者は見捨てられてのである。
何のための地方創生だったのか。
離島や地方の沿岸の経済を支えてきたのは漁師である。
その漁師が・・・
最大の危機を迎えている。
俺は許せない。
6月15日に水産庁前、そしてニッスイ前でデモをやります!
なめんなよ!!!