2016/05/31

これが世界が注目する漁業管理?その2

2回目は水産庁の資源回復計画がどんだけ信頼できるのか、それをほじってみます。素人でも発言する権利はあります。まして水産資源は国民の財産です。水産庁や一部企業の物ではありません。


これは青森の竜飛沖で2012年の9月に撮りました。毎年行ってますが、翌年からはまったくシャッターチャンスがありません。
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水産庁は4月19日に親魚資源量を下方修正して発表しました。
これに関してはすでにブログで報告しています。


お粗末すぎる我が国の資源管理
http://uminchumogi.blog111.fc2.com/blog-entry-449.html



もう一度、おさらいしてみます。疑問がどんどん出てきますから。


日ごろ、科学的根拠に基づく資源管理と自画自賛している水産庁。
ところが目標値や資源量に関しては、ちょくちょく修正しています。そのほとんどが下方修正。ようするに計算方法が甘いのです。同じように資源管理も当然甘いのです。ですから資源は減るばかりです。なにを守るために甘くなるのか。○下り、○企業・・・



4月19日の親魚資源量の下方修正。出典はISC。
2010年 25,476トンから11,505トンへ

2011年 25,227トンから11,860トンへ

2012年 26,324トンから13,795トンへ

2013年 修正前は未発表、修正後は15,703トン

2014年 修正前は未発表、修正後は16,557トン


この下方修正は増えているように見せかけるためにねつ造したというのは考えすぎ?


下方修正後の親魚資源量


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これは下方修正する前の親魚資源量



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この下図を見て疑問に思った。2010年は親魚資源量11,505トンに対して大型魚の漁獲が5,331トン。2011年は11,860トンに対して6,069トン。

資源量に対して、この漁獲量はどう考えても乱獲である。ところが水産庁の報告では翌年以降資源が増えているのだ。


それと資源量に関しては、太平洋側と日本海側を別々に出していただきたい。おそらく2004年以降、日本海側は急激に減っていると思います。


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下図を見ると1984年前後も資源量に対して、漁獲量は多すぎるのでは。それでも1988年ごろから急激に回復しています。水産庁の推定資源量って、正確なのか???


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資源量の下方修正に伴い、将来予測も修正された。修正前は2024年には7万トンくらいに回復するはずだったが、修正後は4万トン前後(緑の線)となった。また歴史的中間値も43,000トンから38,000トンへと下げられた。この歴史的というのも紛らわしいです。実際は1952年以降の資源量の中間値である。初期資源は推定60~70万トンです。


修正後の図を見るとさらに厳しい規制案も載せてあります。


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下図は修正前。俺はこんなに増えるなんて、最初から嘘だと思ってました。



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次は加入状況です。その年に0歳魚がどれだけ加入したかの図です。ここ数年は過去最低レベルの加入となってます。産卵する親が減っていること、そして産卵前に漁獲していることも大きな原因だと思います。


水産庁は「産卵期に獲っても、他の時期に獲っても資源の影響は同じ」と繰り返し言ってます。


産卵前の5月に巻くのも、産卵後の8月に巻くのも資源に与える影響は同じということですが、近年日本海に産卵に来るマグロは3歳と4歳がほとんどです。これはほとんどのマグロが初産卵です。1回も産まないで漁獲されるのと、1回産んでから漁獲されるのでは、資源への影響は違うと思いますが・・・


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さらに疑問。下図の赤丸のところだけど、大中巻網の漁獲上限は2000トンとなってますが、実際に漁獲したのは923トンでした。これは漁獲規制というより、漁獲目標では?

頑張っても獲れない数字を設けても、規制とは言わないと思います。
しかし、規制の46パーセントで終わったということは、資源の回復は早まるはずです。

緑丸の数字を見ると、平成27年は246トン獲れたのに、28年は0トンです。この原因を知りたい。いないのか?

さらに30キロ以上の大型(青丸)は産卵期の6月と7月に集中しています。これも4882トンの上限に対して3711トンで終わってます。本来漁獲規制とは上限値まで達成して終えるはずです。これは規制とは言わず、実質獲り放題と同じです。

※大型魚の漁獲枠4882トンは過去7年間一度も達したことがない。これは規制とは絶対に言わない。獲り放題と同じです。



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さらに不思議なのは水産庁はこう発言しています。

「巻網のみに注目するのは“資源保護”の議論とは違う。限られた資源を効率的に使うために『巻網よりも魚体を品質良く保てる別の漁法で獲る』『小型魚を蓄養に回し売価を上げる』という議論はありえるが、それは“効率的な資源利用”の議論だ」


その通りです。売価が高い時期、美味しい時期、漁獲を集中しないように獲る。それが賢い漁業です。

一番おいしくない産卵期に大量に獲るのはまったく愚かな漁業です。しかも卵は毎年産業廃棄物として処分されてます。その卵は境港だけで10トン以上と聞いてます。

ということで、やはり巻網に注目してしまいます。



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水産庁は2011年以降は資源が回復傾向にある。だから巻網を規制する必要はないと繰り返し発言しています。

ところが沿岸漁師さんは2011年以降も漁獲が減り続けています。

この減り方では、民間会社であれば倒産しているでしょう。


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次の図は玄界灘で一番人気の遊漁船の釣果です。2011年以降に急激に減少しています。水産庁は2011年以降は回復しているといいますが、ほんとうなのでしょうか?
これも下方修正の匂いがプンプンしてきます。



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那智勝浦漁協もどんどん減り続け、先月解散(倒産と同じ)してしまいました。



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以前放送されたテレビ番組でも境港の成熟クロマグロの漁獲がどんどん減っていると伝えてました。


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さて、俺がクロマグロの規制のことをブログやFacebookで発信すると、必ず中国や韓国の取りすぎを書き込んでくる人がいます。

まず、太平洋クロマグロの産卵場ですが、ほとんどが我が国のEEZ内です。これは資源回復の大きな鍵を日本が握っていることを示します。



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さらに、クロマグロの産卵場、そして回遊ルートから、中国が漁獲することは極めて難しいのです。

現時点では日本とメキシコが全漁獲の約8割を獲ってます。クロマグロは1歳ころに太平洋を横断してアメリカ西海岸まで行きます。そのときにメキシコが獲り、蓄養してから日本へ出荷しています。4歳ころにはほとんど日本へ戻ってきます。そのあとは2度と太平洋を横断しません。



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次に厳しい資源管理をやった結果、資源が急激に回復した東部大西洋クロマグロです。

2007年は違法漁獲を含めると6万トンも獲っていました。それを28,500トン、22,000トン、13,500トン、12,900トンと上限をどんどん厳しく規制しました。また産卵場である地中海は産卵後のわずか3週間しか漁ができなくなりました。30キロ未満の漁獲も禁止です(一部を除く)。



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その結果、2010年ごろから急激に資源が回復しています。今年は5月25日に解禁すると、わずか数日で漁獲枠を獲りきったそうです。時間も燃料も大幅に節約。地中海のマグロ漁師さんはとにかくリッチだとか。


この図を見ると資源量の10分の1を漁獲の上限にするのが妥当かなと思います。ということは太平洋クロマグロは資源量がすでに15,000トン前後ですから、1,500トンしか獲ってはいけないことになります。ここまで乱獲を放置した責任は大きいと思います。


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最後に。


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黙っている。また知らないでいる。

それは良い結果にはつながりません。




2016/05/30

これが世界が注目する漁業管理?その1

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今年もまき網は産卵期を狙って日本海のあちこちで大暴れするらしい。すでに本日30日に境港にて水揚げも始まった。成魚(30キロ以上)の漁獲枠は6月と7月の2か月間で1800トンと昨年5月に決まったのだが、毎年フライングで漁獲枠外を獲っている。困った大人たちである。

しかも壱岐と対馬の漁師さんは昨年に引き続き、6月と7月の産卵期はマグロに卵を産ませるために漁を自粛。
北部九州遊漁船連絡協議会のメンバーである25艇の釣り船も今年の6月と7月は自粛すると決定した。
もちろんほとんどの釣り人も自粛(船もない)である。


みんなが1日でも早く昔の海に戻したいと自粛しているときに卵を産みに来たマグロを一網打尽にするまき網は俺には泥棒にしか見えない。



この数週間、マグロ漁業の歴史を調べた。わが国では縄文時代からクロマグロを獲っていたらしい。江戸時代には沖縄から北海道までマグロ漁が行われていた。
しかし、本格的に獲り始めたのは明治になってからである。そして高級魚として扱われるようになったのは昭和の高度成長期以降である。そして冷凍設備が発達してトロの需要が一気に増えた。なんとそれまではトロはほとんど捨てていたのである。



さて、こんな本が見つかった。2013年に発行されたFRANEWS36号。
その中に、こんな記事が
「世界が注目する日本の漁業管理」
水産庁が得意とする自画自賛の記事である。もちろん執筆は御用学者?

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この記事をおおまかに解説すると

「日本は古くから漁業者が自主的に管理してきた」「獲りすぎるといなくなることを知っていて、自分たちで管理してきた」

「欧米は誰でも漁業ができて自由競争である」「自由競争のもとでは獲りすぎることがあるため国が積極的に監視してきた」


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この図を見る限りでは日本の漁業は欧米より優れていると誰でも見えてしまう。


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ところが競争をしているのは実は日本なのである。日本は一部の魚を除いて漁獲枠がない。だから基本獲り放題である。漁獲枠のある魚(TACは7種のみ)でも個別に割り当てられてないので、早い者勝ちとなり、競争して魚を獲る。そのため漁獲が一時期に集中して値崩れを起こす。早い者勝ちなので美味しくなる時期まで待ってられない。そのため小さくても美味しくなくても獲る。

欧米はIQ方式(個別割り当て)を採用しているので、漁業者にはあらかじめ漁獲枠が与えられている。だから慌てて獲りに行く必要はない。競争する必要もない。魚が美味しい時期、もしくは値が高くなる時期まで待って漁に出る。資源管理も科学的根拠をもとにされているので資源も多く、短時間で目標の漁獲を達成できる。それと誰でも漁業ができるなんて大嘘である。アメリカでは釣り人が釣った魚の売買は違反である。売買した場合、双方に高額の罰金、悪質なら逮捕である。

水産庁関係者は過去に確認もせずに自分たちに都合のよい出鱈目を何度も広めている。

以下参照

スポーツフィッシングは誤解されている
http://uminchumogi.blog111.fc2.com/blog-entry-441.html



下の図は我が国が5年おきに出す基本計画である。毎回漁獲量が回復に転じるという計画を立てるのだが、結果は図の通り減るばかりである。そのたびに修正して回復目標を出しているのだが、笑うしかない結果である。

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さらに我が国と世界の漁業生産の比較。
世界は右肩上がり。

日本は右肩下がり。

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さらに世界銀行の未来予測。日本だけがマイナス成長。


世界は日本を失敗例として注目してるのだ。



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突然削除!?

次に昨年の境港でおきたこと。境港はクロマグロのまき網船が集結する港である。日本海の産卵期に漁獲されたクロマグロのほとんどが境港に水揚げされる。
境港はホームページで水揚げ量、水揚げした漁船を報告していたが、昨年の7月末に突然漁船の名前を削除してしまった。これは船名で所有会社がばれることを隠すためと思われる。産卵期のマグロ漁に対して後ろめたいものがあるから削除したということだろう。正しいことなら削除などする必要はない。


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境港HP
http://www.sakaiminato.net/site2/page/suisan/conents/news/130/80/attach01.pdf


ちなみに削除前のデータは保存してあります。

5月29日 19.6トン 第1光洋丸(共和水産)
6月1日 43.2トン 第1光洋丸(共和水産)
6月9日 50.3トン 第63惣宝丸(青森県)
6月12日 2.5トン 第8光洋丸(共和水産)
6月12日 14.3トン 第21たいよう丸(東京都)
6月15日 43.1トン 第63惣宝丸(青森県)
6月15日 51.5トン 第18輪島丸(石川県)
6月16日 61.7トン 第18輪島丸(石川県)
6月16日 34.4トン 第1光洋丸(共和水産)
6月17日 122.9トン 第28光洋丸(共和水産)
6月17日 10.3トン 第21たいよう丸(東京都)
6月18日 107.1トン 第8光洋丸(共和水産)
6月19日 64.3トン 第1光洋丸(共和水産)
6月19日 43.4トン 第21たいよう丸(東京都)
6月20日 43.7トン 第18輪島丸(石川県)
6月21日 52.9トン 第1わかば丸(鳥取県)
6月22日 37.0トン 第1わかば丸(鳥取県)
6月25日 40.0トン 第18輪島丸(石川県)
6月26日 14.7トン 第18輪島丸(石川県)
6月26日 15.3トン 第21たいよう丸(東京都)
7月2日 91.3トン 第21たいよう丸(東京都)
7月4日 44.6トン 第28光洋丸(共和水産)
7月5日 59.5トン 第21源福丸(長崎県)
7月5日 16.9トン 第21たいよう丸(東京都)
7月6日 36.8トン 第21たいよう丸(東京都)
7月6日 17.7トン 第1光洋丸(共和水産)
7月8日 49.7トン 第1光洋丸(共和水産)
7月9日 54.9トン 第21源福丸(長崎県)
7月12日 45.5トン 第21源福丸(長崎県)
7月13日 15.9トン 第1光洋丸(共和水産)
7月14日 48.8トン 第18輪島丸(石川県)
7月15日 33.6トン 第21たいよう丸(東京都)
7月22日 34.8トン 第21たいよう丸(東京都)

合計 1422.2トン

※共和水産(ニッスイグループ)521.9トン
※たいよう丸(マルハニチロ)296.7トン

※輪島丸(石川県)260.4トン

※源福丸(長崎県)159.9トン

※惣宝丸(青森県)93.4トン

※わかば丸(鳥取県)89.9トン



そして境港の年度別の平均サイズ。まき網が本格的にまき始めた1980年代前半は100キロ台だったが、近年は30キロ台が続いている。100キロだと6~7歳、30キロ台だと3歳である。あきらかに小型化している。これは乱獲から起こる現象である。

1982 118.7キロ
1983 112.9キロ
1984 155.3キロ
1985 155.1キロ

1987 77.9キロ
1988 85.4キロ
1989 97.6キロ
1991 81.0キロ
1992 70.5キロ
1993 39.4キロ
1994 43.0キロ
1995 66.5キロ
1996 83.1キロ
1997 105.4キロ
1998 54.7キロ
1999 62.8キロ
2000 82.9キロ
2001 95.3キロ
2002 104.4キロ
2003 64.0キロ
2004 52.7キロ
2005 64.7キロ
2006 82.3キロ
2007 43.9キロ
2008 50.0キロ
2009 53.2キロ
2010 37.6キロ
2011 40.7キロ
2012 65.0キロ
2013 34.8キロ
2014 35.6キロ




1982年の漁場と漁獲した日付。山陰の狭い海域でわずか18日間の出漁で1637トンを水揚げした。
今では日本海の北は秋田から、南は長崎までを漁場として2か月間本気で頑張って1500トン前後である。しかも船の設備(魚探、ソナー、GPSなど)は格段に進歩している。クロマグロの資源量は間違いなく減少している。


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なんと2パーセントまで激減!

そして太平洋クロマグロは初期資源量(親魚)の2パーセント未満まで激減した。2014年にはとうとう絶滅危惧種となってしまった。初期資源60万トン以上もあったのが11000トン台まで激減したのである。
ちなみに大西洋クロマグロの産卵場は地中海とメキシコ湾だが、地中海は主に産卵後に漁獲、メキシコ湾は産卵場での親魚は捕獲禁止である。



続いて、このドクター・ミヤケさんという人。水産庁のOBらしいが、言ってることはメチャクチャである。

「それが1990年代に急激に日本海へシフトした」
「そのころから日本海のクロマグロの産卵が認められて・・・」
「南西諸島周辺に限られていたと思われた産卵場が・・・」


水産経済新聞より

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下の図をみれば、1990年代は太平洋が中心で、2004年ころから日本海へシフトしたのがわかる。これは日本海のマグロが増えたのではなくて、太平洋のマグロが激減したからである。1990年代は産卵期でなくても巻き網で大量に獲れるほど太平洋側にクロマグロがいっぱいいた。それがどんどん減って効率が悪くなり、日本海の産卵期を狙うようになったのである。巻き網関係者(ニッスイ)ははっきりと「産卵期以外は漁獲しづらい」と言っている。
もし太平洋にマグロがいっぱいいたら、なにも一年のうち一番安くて美味しくない日本海の産卵期のマグロを狙うことはないはずである。
※1990年代の太平洋側の主なまき網の漁場は北海道、東北の東方沖。ここは産卵場ではない。


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さらに日本海での産卵は1981年に確認されている。しかも当時は大型(6歳から10歳)の産卵親魚がたくさん獲れた。いまは3歳から4歳がほとんどである。


鳥取県境港におけるまき網により漁獲された大型クロマグロについて 1982年寄稿
http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010263131.pdf

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ミヤケさん、水産庁のためにもすっきりと引退を。


産卵期のマグロは一年のうちで一番安い。さらに巻き網で獲ったのは定置網で獲ったマグロの3分の1という安さである。美味しい時期、値が高い時期に獲るのが賢い漁業だと思うのだが。まったく資源の無駄遣いである。


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昨年はキロ300円まで暴落した。冷凍のメバチやキハダより安い。別名黒いダイヤと呼ばれているのだが、これでは黒いただの石ころである。


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地中海では主に産卵後に漁獲している。5月の満月で産卵は概ね終わり、5月25日にクロマグロ漁は解禁となる。しかも漁ができるのはたったの3週間。しかし今年は資源が大幅に回復したことで数日で漁獲枠に達したと聞いている。燃費も時間も実に効率的である。おかげで地中海のマグロ漁師はとんでもなくリッチだそうな。


アクアネット 2007年3月号より

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さて、世界が注目する日本の漁業管理だが、なんと明治24年ころから乱獲という文字が使われている。


日本漁業史 P179より抜粋

明治24年 540万貫(20,169トン)
明治34年 350万貫(13,073トン)
明治40年 270万貫(10,085トン)

永きに亘る濫獲(らんかく)のために従来沿岸近くを回遊してきたマグロも、明治30年ごろから次第に減少し、漁場は沖合となり、従来の沿岸漁業では次第に捕獲困難となったからである。この時代に於いてもクロ・キハダ・ビンナガ・メバチ・カジキ等、何れも漁獲されたが、クロマグロ及びキハダが多かったのであろう。


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明治の時代から北海道、富山、長崎ではたくさんのマグロが獲れていた。キハダは本来黒潮を好む。北海道や富山のマグロは、ほぼクロマグロと考えて間違いないだろう。


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唐津城に展示されていた江戸時代のマグロ漁の絵。エンジンもない時代である。このころは沿岸をマグロが普通に回遊していたのだろう。しかも絵を見る限りでは軽く200キロ以上ありそうなマグロである。カナダのプリンスエドワード島は今でも巨大なマグロが沿岸を回遊している。

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当時は大きなマグロが唐津城近くの海を回遊していたからできた漁。現在は沖に出てもマグロを探すのは困難である。
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これは駿河湾の沼津。駿河湾でクロマグロなんて、最近はほとんど聞かなくなった。

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日本の水産業はまさしく乱獲の歴史なのだ。

それでも自画自賛する水産庁。

そろそろ気付け水産庁!


その2へ続く。


2016/05/19

デモのお知らせ

今年も産卵期のクロマグロを守るために水産庁前と一番産卵期のマグロを獲っているニッスイ本社前でデモを行います。
6月15日 12:45集合~14:30解散予定
集合場所 日比谷公園霞門前
参加申し込みアドレス event@sfpc.jp

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太平洋クロマグロの初期資源量は60~70万トンと推定されてます。また漁業者人口は昭和初期は200万人もいたそうです。
しかし、まったく科学的でない資源管理と、持続性を無視した乱獲(主にまき網)で太平洋クロマグロは初期資源の2パーセント未満まで減少しました。2010年は11505トンまで減少していたのです。
漁業者人口も17万人まで激減しました。魚が減ったことで収入が減り生活が苦しくなったのが一番の原因です。
なんと資源が2パーセントまで減少したのに、今年も産卵期のまき網は行われます。かつてはまき網で獲れるクロマグロの平均サイズは100キロを優に超していましたが、ここ数年は30キロ台と大幅に小型化しています。30キロ台というと初めての産卵です。初めて卵を産みに来たお母さんマグロを産む前に獲ってしまうのです。
大西洋クロマグロの産卵場は地中海とメキシコ湾です。地中海は産卵後にまき網で獲ってます。しかも年に3週間前後しかまき網漁はできません。メキシコ湾は1982年から産卵場でのマグロ漁は禁止されてます。その結果、大西洋クロマグロは資源が急激に回復しています。
我が国は、そのような産卵期のまき網漁を野放しにしてきた結果、資源は激減、2014年にはついに絶滅危惧種に指定されました。
それでも産卵期のまき網を続けるのは、狂っているとしか思えません。しかも産卵期のマグロは一番おいしくない時期でもあります。美味しい時期なら市場でキロ1万円以上になることは普通ですが、産卵期はキロ300円以下になることもあります。水産資源は国民の財産です。一部の水産企業の所有物ではありません。このような資源の無駄遣いは即刻やめるべきです。
すでに壱岐、対馬の離島漁師さんたちは昨年から6月と7月の産卵期のクロマグロ漁(30キロ以上)を自粛しています。このままではマグロは絶滅すると考え、漁師さんが自ら自粛と決めたのです。
また今年の4月に壱岐ではマグロ漁の未来を考え、マグロサミットが開催されました。全国から沿岸漁師、漁業者団体が参加(約500名)しましたが、水産庁とまき網会社は招待を断って不参加でした。

黙っていたら、近い将来、太平洋クロマグロは絶滅すると俺は考えてます。
産卵期のまき網漁を阻止するために今年もデモを開催します。





崩壊へと向かう我が国のクロマグロ漁業。

壱岐のマグロサミットで那智勝浦漁協は厳しい現状を訴えていました。しかし水産庁、まき網関係は招待したのにも関わらず不参加でした。一番聞いていただきたいところに無視されたのです。


那智勝浦漁協の水揚げは激減した。
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そしてついに勝浦漁協は5月17日に解散した。かつて那智勝浦は「マグロ王国」と呼ばれていた。

「日本有数のマグロ基地 勝浦漁協が経営不振で解散」
http://www.agara.co.jp/news/daily/?i=314684


厳しいのは勝浦だけではない。壱岐も対馬も水揚げは急激に減った。

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マグロサミットでは青森の大間漁協も、沖縄の八重山漁協も年々厳しくなる実情を訴えていた。


ところが水産庁は繰り返す。

「産卵期のマグロを漁獲しても資源への影響はない」

「資源が減った大きな要因は水温上昇などの環境の変化である」

水温は大西洋でも上昇している。水温上昇が資源の減少の原因というなら、大西洋も資源は減っていくはずだが、どうしたことか資源は回復傾向なのである。回復した原因はしっかりと資源管理をしたからである。

資源が減った原因を環境の変化になすり付けていたら未来永劫資源は回復しない。


大西洋の水温も上昇しているのだが。
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大西洋クロマグロの資源は急激に回復している。
親魚資源量の将来予測-10b


まったく不思議である。ところが我々の声は「感情論」「科学的根拠がない」などと言われて片づけられてしまうのである。


俺は水産庁に言う。


資源が誰の目にもあきらかに増えたと映るまで黙ってろ!

下方修正を何度もやって科学的根拠を語るな!



このままでは沿岸漁業の未来は真っ暗である。そして大手水産会社だけが生き残るかもしれない。漁師の消えた日本の沿岸は大手水産会社の新たな植民地となるのか?



では資源管理のおかげで毎年夢のような釣りができるカナダの写真を!


こんな夢のようなサイズが毎日釣れる。
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この海域のアベレージサイズはなんと350キロ以上!
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日本では一生かけても釣れないサイズが毎日ヒットします。
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初参加で300キロクラスを3匹釣った人も昨年はいました。
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ここで釣られたクロマグロの9割以上が日本へ送られます。日本は世界のクロマグロの約8割を消費しています。
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食べるだけで、資源管理にはまったく関心がない国。だから日本のマグロがいなくなり海外から買わなくてはならないのです。


こんな陸に近いところでヒットします。
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豊かな海は釣り人に夢に与えます。
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釣り人は基本は船べりでリリースです。リーダーをカットして海に返します。ほとんどのマグロがこのあとも生き続けて子孫を残します。生存率の高いリリース方法も常に研究、そして進化しています。
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こんな近くに現れることもよくあります。
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魚探には巨大クロマグロがたくさん写ってます。ほとんどが300キロオーバーです。
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ニシンもいっぱい。サバもいっぱい。
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リリースした釣り人には船長からリリース認定証が渡されます。
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日本も100年前、いや50年前はこんな海だったのかもしれません。



アフリカでもアフリカ象の保護に各国が真剣に取り組んでいます。象牙の印鑑なんて、必要なんですか?


よく食文化を守れという話を聞きますが、魚がいなくなったら食文化は守れません。それとスーパーに行けば外国産の魚ばかり並んでます。これで水産大国?これで世界に誇る日本の資源管理ですか?


2日前の東急スーパー(横浜市青葉区)。サバはノルウェー、ホッケはアメリカ、アジはオランダ産でした。
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次世代のために豊かな海を残しましょう!


そのために皆さんの力が必要です。


2016/05/03

ネットにあふれる嘘?

SNSが普及して誰でも言いたいことが言えるのは良いことなんだろうけど、嘘が多すぎ。そしてそれを信じてしまう人も多すぎ。「騙されるのも罪」と前にコメントしたけど、簡単に騙されすぎ。

それが戦争のこととなると、どう考えても嘘だらけの話なのに、それを読んだ人のコメントは「これぞ武士の鏡」「日本兵は勇敢だった」「大和民族の誇り」などなど称賛の嵐、挙句に「教科書に載せるべき」とまできたら呆れるしかない。

戦争なんだよ。反省するのが当然なのに、「日本兵は間違った行動はしてない」とか「これは中国(もしくは韓国、アメリカ)の陰謀だ」「日本が頑張ったおかげで今の韓国があるんだ」などなど。まったく反省する気配なし。日本が仕掛けた侵略戦争なのに。

こんな話を広めていいのか。日本が再び間違った方向に行かないのか?

※もちろん正しいことは堂々と言うべきです。


今回、ある方のシェアが異常に多く、気になったのでそこを覗いてみた。素晴らしいお話で思わず涙が・・・

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でも、冷静になって考えたら疑問だらけ。

もし事実でなかったら、多くの国民が勘違いすると思い、簡単な質問をした。

「感動しました。こんな素晴らしいことは全国民に知らせるべきだと思いました。でも疑問点がいくつかあります。「戦後50年経って多くの国民が知ることになった」「こうして運命的な出会いは実現することになった。女性は坂井に言ったそうだ。 」などとありますが、戦後50年だと1995年です。テレビ、新聞、写真など、残っていると思いますが、それを証明する物が見つかりません。ありましたら教えてください。」

すると削除されてしまった。

さらに俺はブロックもされた。

元ネタはここ
http://www.cosmos.zaq.jp/t_rex/works/works_7_v.html


あとで調べたら坂井氏に関しては事実と異なることがたくさん確認されているようである。




削除、ブロックはビハインド・コーヴの八木監督以来2回目である。

八木監督があまりにも汚い言葉で相手を誹謗してるので、その誹謗する理由を知りたいので、質問した。



八木監督の気になる発言(赤文字)


また、この件でどさくさでデタラメ本を売ろうとしている反捕鯨活動家の大学研究員の方は、私の映画を先日ご覧になりヤラセや捏造が一切ないのを承知の上で、なんとか否定する材料を探しています。


否あるよ。卑怯者だから面と向かって言わんのが特徴。笑


影でケチつけるしかない哀れな集団


こちらのサイトは、勝手に纏めをつくり、この意見と反対派をブロックしているらしいです。



そしてアメリカ陰謀説に対しては

その方は複数ある公文書の中のTabAとTabBのドキュメントを持っていると公言していたのにも関わらず、公表できず逃げ回っているようですよ。都合悪い情報なのか見せられないかもしれませんね。



俺はそのデタラメ本を知りたくて質問した。


「八木さん、このコメントにあるデタラメ本を教えてください。読んでみたいです。できましたら、何ページがデタラメなのかも教えていただけると助かります。」

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すると速攻で削除されてしまった。そのあとブロックされたので、あとはどうなっているのかわからない。


詳細はここ

(暴かれる陰謀) 
http://uminchumogi.blog111.fc2.com/blog-entry-446.html



削除するのは自分にとって都合が悪い、そしてこれは嘘ですと認めたことだと思う。

俺は自分のところに書き込んだコメントを削除したことはない。なぜなら俺は嘘とわかっていたら書かないし、コメントしない。間違っていることはたまにある。そのときはちゃんと「間違いでした」と反省してコメントしている。そして誰とでも堂々と話し合います。「馬鹿野郎」などという程度の低いコメントに対しては返事しないこともあります。


こんな最低な人に騙されないように、歴史、事実、などもっと学ぶべきである。


日本のマスコミもよくマスゴミと言われる。記者クラブなんてのもあって、あらかじめ記者が質問することを行政側に伝えておく、そして記者会見となる。国会もそうだ。あらかじめ議員の質問は伝えられてあり、それに対する返答は官僚が作成する。まったくの出来レースなのだ。こんなことは欧米先進国ではないらしい。海外の記者はそれを聞いて驚くそうだ。

これは馬鹿な議員がとんでもないことを話さないように守っているとしか思えない。

※記者クラブ(ウイキペディアより)
記者クラブ(きしゃクラブ)は、公的機関や業界団体などの各組織を継続取材を目的とするために大手メディアが中心となって構成されている任意組織。英語では「kisha club」ないしは「kisha kurabu」と表記される。大手メディア以外の記者・ジャーナリストも加盟できる「プレスクラブ」(日本では、社団法人である日本記者クラブや、日本外国特派員協会などが該当)とは全く性格を異にし、日本独特のシステムと言われ、フリーランスなどに対し排他的であるとして近年、批判を受けている。アメリカのホワイトハウスや連邦政府の官庁、国連本部などに似た組織が存在している。



そんなマスゴミに加えて、こんな嘘の話がちまたにあふれている。そして広まっている。


真実を伝えるべきなのに、嘘ばかり増えていく。