2012/11/12

2年連続カナダの巨大マグロに挑む!後半組その1

後半組のトップバッターはお手本もかねてビルダー小西。
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今年の10月、ICCAT(大西洋まぐろ類保存国際委員会)の科学委員会から東大西洋クロマグロ(地中海も含む)の資源量が増加に転じたという報告があった。
大西洋クロマグロは1970年代から急激に減少し始めた。ちょうど日本の高度成長期でトロブームが始まった時期と一致する。1990年代後半からは回転ずしブームとなり、さらに需要が増えた。
絶滅を危惧してICCAT(大西洋まぐろ類保存国際委員会)が1998年にTAC(漁獲制限)を設定した。当初は3万トン台だったが、2010年には13500トン、2011年には12900トンと削減されていた。

資源量の増加が事実ならたいへん喜ばしいことである。

4~5年前に西日本(主に萩や勝本)のクロマグロ漁の指導者的存在で資源管理に関して日本中を独自で調査してまわり、農水省や水産庁、日本の水産学者とも積極的に接し、一日でも早く漁獲規制を開始すべきだと訴え続けていた佐々木敦司氏から俺も何度か電話をいただいた。
※佐々木氏は今年の8月にお亡くなりになりました。心からご冥福をお祈りいたします。

佐々木氏「ICCATがTACを設定しても、違反する国が後を絶たないんだよ」「昨年はクロアチアが6000トンの違反をした」「違反した国のバックには必ずマルハがいて、蓄養の施設など、援助や指導をしているんだよ」

せっかく決めても違反が相次いだら効果はないだろう。
さらに最近のニュースにICCATに無報告の大西洋クロマグロがパナマを経由して日本などに売られていたことが調査でわかった。
以下参照
http://www.wwf.or.jp/activities/2012/10/1097431.html


ただし2010年以降は減少しているか、取引は行われてないようである。それが資源の回復に大きく関係してるかもしれない。

同じ時期の2010年の3月にワシントン条約会議でモナコが提案した「大西洋クロマグロの国際取引を禁止する案」が日本、中国、そしてアフリカやアジアの発展途上国の反対にあい否決された。

違反が減ったから資源が増えたと考えるのなら、このワシントン条約会議に提出されたモナコ案が功を奏したと言えるかもしれない。違反をする国が、今後も違反を続けたら、再び提案されて次回は可決されるかもしないと危機感を抱いたことである。

世界的に資源保護、そして持続できる漁業が注目を集め始めているのも効果の一つの要因だろう。

いつまでも「安いマグロ」「規制されたらマグロが食えなくなる」程度しか考えてないどこかの国民は、今回の規制が設けられ、それを守ったことで資源が増えたということを肝に感じるべきだ。

そして資源の減少が続く太平洋クロマグロに関しても一日でも早くTACを設けるべきである。そのリーダーは世界のクロマグロの8割を消費している日本がやるべきである。

今年は韓国のクロマグロの水揚げが急激に増えた。そのことに関して日本政府は「マグロをあまり獲らないように」という意見書を韓国に送った。ところがその韓国で水揚げされたマグロの90パーセント以上を日本が買っているのだ。

俺は「文句言う前に買わなければいいだろ!」と単純に考える。

ほんとに日本と言う国はわからない国である。恥ずかしいというか情けないというか。

リーダーになるべき国は、まずお手本となる国にならなければならない。



前にも報告したが、太平洋クロマグロは日本からフィリピンにかけての海域で生まれ、2歳になると多くの個体がアメリカ西海岸まで移動する。そして4歳になって再び北西太平洋に戻り、産卵を繰り返す。

そして繁殖能力がなくなるとかなりの個体が赤道を越えて南太平洋に移動して余命を終えると俺は考えている。

アメリカ西海岸でアーカイバルタグを埋め込まれたクロマグロの移動観測データ(時期と経路)
http://www.topp.org/species/bluefin_tuna


アーカイバルタグを埋め込む作業


タグを埋め込まれたクロマグロはほとんど(90パーセント以上)生きている。

アーカイバルタグ、ポップアップタグはここを参照
http://uminchumogi.blog111.fc2.com/blog-entry-25.html




さて本題に戻ろう。

後半組がシャーロットタウン空港に到着。
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昨年も泊まったRollo Bay Inn
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ラインを150ポンドから200ポンドに巻き替える。
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準備完了。
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ホテル前の芝生でファイトの練習。
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そしてロブスターで前祝(笑)
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出船前にドラグをチェック。
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この日はポイントまで1時間以上走った。

そこでは400キロクラスのマグロがあちこちで跳ねていた。
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小西以外は初参加なので、まずはお手本をかねて小西がトップバッター
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ニュージーランドから何度も参加してるのでファイトは実に安定している。
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ファイティングタイムは60分を少し上回ったが、最後まで単独ファイトでキャッチ。
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船長推定900ポンド。ドラグは実測30キロ。


前半組が残しておいたシャンペンで乾杯。
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おつまみは本日もオイスター(生ガキ)。
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後半組2日目

今日はいつも通りでスーリス港の真ん前がポイント。

ポイントに着くとすでに漁師さんが1匹釣っていた。
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釣り船はすべてリリースだが、漁獲制限はプリンスエドワード州全体で150トン(1匹平均375キロ計算で400匹)と決められている。


この日はゴリが挑んだ。

ファイト開始。
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顔は気合満点!
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水分補給は大切。
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耐える。ドラグは29キロ。
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さらにスプールを押さえてプレッシャーを。
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さらにラインを掴んで主導権を奪い返す。
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ここからは気力。
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限界はすでに超えた?
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頑張れゴリ!
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60分までは単独で耐えたが、すぐに上がらないと判断したクルーがサポートに入った。ロッドを掴んだり、スプールを押さえたり、そして最後はラインを掴んで徐々に引き寄せた。

それでも中々浮いてこない


ようやく90分で船べりに浮上。
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始めてみる特大マグロ!
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トニー船長「1000ポンドオーバー!」

日本のアングラーが世界で初めてキャッチした1000ポンドオーバー!
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写真を撮っている間も激しく暴れた。
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そしてリーダーをカットして船べりでリリース。

元気に海の中に消えていった。


日本人初の快挙である。
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厳密には単独キャッチといかないが、現地の60分ルールではフォローは仕方ないだろう。
※ファイトが長引くとリリース後の生存率が下がるという研究結果がある。



しばらくしてゴリは来年も参加すると言ってきた。

最後まで単独で上げるために。



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