2015/05/22

シンポジウム「水産資源管理に地方創生あり」

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photo by nobuyuki aoki


5月16日に開催されたシンポジウム「水産資源管理に地方創生あり」に釣り人代表として出席した。

主催 : 早稲田大学環境総合研究センター W-BRIDGE
共催 : 早稲田大学持続型バイオ研究所、一般社団法人「海の幸を未来に残す会」他

一般社団法人「海の幸を未来に残す会」の顧問を依頼されたのは昨年11月だった。それまでの資源管理に関しての活動が評価されたのだと思った。いままでもやってきたけど、これからはもっと頑張らなくては。
写真集も単に大きな魚を並べるだけでなく、資源管理に結び付く写真集に作りあげた。釣り人の写真集では今までなかった試みである。

一般社団法人「海の幸を未来に残す会」
http://www.uminomirai.or.jp/


早稲田大学大隈講堂に到着。無学の俺は「オオスミコウドウ」と言ってた(-_-;)
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控室で生田さん(左)、平副大臣(左から二人目)、勝川先生(右)と未来に向けてのミーティング
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松尾典子さん(NHK)の司会で始まった。


早稲田大学上級研究員でW-BRIDGE副代表、岡田久典氏の開会の挨拶。
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続いて特別招待基調講演は「シーフードサミット国際会議優秀賞」受賞の片野歩さん。
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日本の水産業を復活させるための4つのポイント。
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次は富士通総研・上席主任研究員の生田孝史さん。
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太平洋クロマグロ漁獲制限と漁業の持続可能性
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そして東京海洋大学准教授で水産資源学の第一人者、勝川俊雄先生。
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太平洋クロマグロの現状とその対策
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そして壱岐の一本釣り漁師、尾形一成さん
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漁師からの手紙
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そして15分の休憩をはさんで総合討論会


トップバッターは俺。
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データなど何も持ってないので、持参した俺の写真集を見せながら話した。声が大きすぎて、すぐに音量を下げたそうだ(-_-;)。簡単に言うと、「日本のクロマグロはどんどん釣れなくなっている」「この10年間で七里は50分の1、竜飛は10分の1まで釣れなくなった」「ところが資源管理をしっかりやっているカナダやニュージーランド、アメリカは今でも昔のように釣れる」「カナダのアベレージは350キロ。しかもアマチュアの釣人でも毎日釣れる。こんなの日本では漁師が一生かけても釣れない」「アメリカのマイアミでは毎日200キロクラスのハタが釣れる。日本では30センチ以下ばかり」「離島の経済は漁師が支えている。魚が獲れなくなって島はどんどん活気がなくなっている」

すべて現場に行って見てきたことを言った。


続いてLOHASビジネス専門家・認定NPO法人「女性の活力を社会の活力に」理事長・他肩書きいっぱいの大和田順子さん
大和田順子さんのプロフィール
http://www.owadajunko.com/archives/2015/04/post.html


続いて大和総研・主席研究員の河口真理子さん

水産資源管理・消費者への意識づけ&企業への働きかけ
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続いて一般社団法人「シーフードスマート協会」代表・築地仲卸3代目の生田よしかつさん。一気に笑いが増えた(^O^)


そして一般社団法人「海の幸を未来に残す会」代表理事・加寿翁コーポレーション社長の竹内太一さん。海の幸を未来に残す会を立ち上げるきっかけから活動などをお話した。


そして傍聴席最前席に座っていた早稲田大学元総長の堀口賢治さん。多種多様の方々が集まってとても有意義なシンポジウムとお褒めをいただいた。「産卵期に待ち伏せて一網打尽」ということは初めて知ったそうです。


そして総括コメントは内閣府の平将明副大臣。切れのある話はとても力強く聞こえた。地方創生に必要なのは持続可能。資源管理、付加価値、一次産業、そして日本はやり方次第でまだまだ伸びると。


皆さんの未来を考えた貴重なお話はYouTubeで聞くことができます。



そして副大臣が総括を話しているときに、俺の目の前に1枚の紙が舞い込んだ。

「パネラーを代表して最後のシメを」

これ、他の人に渡すはずが、風がいたずらして迷い込んだのでは???

最後の締めは血圧300くらいまで上がって何を話したか覚えてません(-_-;)



閉会後、竹内さんと。
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勝川先生と坂口先生。写真集の中で対談した二人です。俺のスーツ姿にビックリ。
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阪口先生は国際学の専門家だけど、最近は水産学に没頭してます(笑)


宮崎からは20年来の俺の釣り仲間、古賀先生(古賀総合病院理事長)が日帰りで傍聴に来てくれた。
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来場は250名くらいでした。その中に10名くらいの釣り仲間がいました。来てくれてありがとう。


写真集は今回のシンポジウムで大活躍してくれました。第2弾は2016年1月に出します。

購入を希望する方は「茂木陽一 アマゾン」で検索してください。また日本の有名プロショップ(12店舗)でも扱ってます。


懇親会は竹内さんが経営する祢保希(ねぼけ)・新宿店で。
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たくさんの方が参加。俺は名刺20枚しか持参しなかったので、あっというまになくなった。大手メディア、研究者、水産関係者ばかりでした。釣り人は俺と九州から来た織田君の二人だけ。

祢保希(ネボケ)
http://www.kazuoh.com/shop/neboke.html


2次会。いつもの飲み仲間が中心でした。素晴らしく壊れてました(^O^)
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皆さんパワーありありでした。これからさらに大暴れしそうです。
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そして2日後に暴力団関係の作家第一人者の溝口敦さんと都内で対談。俺は堅気なんで話しが合わないだろうと思っていたら、メチャクチャ意気投合して銀座を3軒ハシゴ。暴力団の話はほとんどしないで、水産庁と資源管理で盛りあがった。
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この対談の内容は6月20日発売のWedgeで。東海道新幹線のグリーン車には全席置いてあります。



そしてむかつく新聞記事

ここまで資源を減らした張本人の一人が「強化なら科学的根拠を」とは・・・

日本海を潜って来いと言いたくなった。

なんなら俺が飛行機代も船代も払うからカナダへ行くかあ(怒)

現場を見りゃ一目瞭然だぜ。

先進国でこんなとぼけたことを言ったら笑われるぜ。
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科学的根拠

そんなもんは水産庁が公平に真面目に研究することだろ。

とりあえず、知りあいの学者(担当は水産とは関係なし)がこんなコメント



巻き網ゴールド・続報!「鳥取県知事、水産庁次長に要望」

「(境港の)巻き網は2011年から成魚の漁獲を2000トンに自己規制」
→2008年以降、2000トンを超える漁獲なし。過去3年平均は1160トン

「8月の操業を自粛する予定」
→昔から、8月はほとんど操業していなかった(写真2)

「2000トンの漁獲で失われる産卵量は、03-12年の平均推定産卵量比で6%相当(水産庁資料)」(写真3)
→03年の半分の産卵親魚量の状態で2000トンも取れば6%ではすまない。

「(巻き網)漁業者の納得できるような根拠を」
→水産庁が出したのは円グラフ1つ(写真3)のみ。算出根拠提示なし。
→南西諸島では6歳魚以上、日本海では今は主に3,4歳魚が産卵。
→6歳魚以上を主に漁獲する延縄の漁獲量は2475尾→271尾(03-12年)
→6歳以上の資源量の激減が推定。
→南西諸島での産卵量の割合は過去10年平均より大きく減少。
→3、4歳魚が産卵する日本海の割合は、近年は28%を遙かに超えるはず。
→巻き網が、日本海で3、4歳魚の漁獲を、過去3年平均の1160トンから2000トンに激増(=自主規制?)させれば、全体の産卵量は激減する危険性。
→日本海の産卵魚群の漁獲の激増を認める「自主規制措置」で、資源が悪化しないことを示す資料を出すこと。

なお、4枚目の写真にあるように、昔は5歳魚以上の産卵魚が日本海での漁獲の中心でしたが、今は3,4歳魚が大多数を占めます。

初期資源量の3.6%まで産卵親魚資源量が低下し、絶滅危惧種指定されているのだから、2000トンの「自主規制」で安全とする挙証責任は鳥取県にあるのでは?

水産庁次長「しっかりと受け止めたい」
→ほぼ確実に来年のワシントン条約会議で、付属書Ⅰ提案が出てきます。

国際的な恥の上塗りになりませんように。


写真2
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写真3
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写真4
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さらに学者は語る



法律用語に「挙証責任」という言葉があります。

環境の世界では、昔は規制する側、したい側に挙証責任が求められましたが、予防原則が一般化した現在では、利用したい側、排出したい側に挙証責任が移りつつあります。

漁業の世界でも同じです。

例えば、大西洋のマグロ資源を管理するICCATでは、2011年に「No Data、No Fish Principle」が採択されています。
http://www.atuna.com/NewsArchive/ViewArticle.asp?ID=10350

以前は、ちゃんとしたデータを出さないことで、意図的に科学的な不確実性を高め、規制には科学的根拠がないという議論が、まかり通っていたのですが、今はデータ出さないなら、現在の漁業の持続性は証明され得ないので、漁獲を認めてはならないという風になっています。

サメ漁は、こういったデータ報告の怠慢が甚だしく、それが環境NGOの規制の運動にガソリンを提供しています。

例えば、インド洋を管理するIOTCでは、データ提出状況を極めて詳細にウエブ公開していますが、サメの漁獲(混獲を含む)データ報告の欠落は甚だしいものがあります。

太平洋クロマグロの管理では、水産庁は挙証責任を規制を求める零細漁民に押しつけています。

でも、資源が崩壊の危機に陥っている状況では、もっともクロマグロを漁獲している巻き網業界、あるいは規制に消極的な水産庁が、現行の資源管理の「十分性」を証明する挙証責任を追うべきです。

だいたい、データを保有し、なおかつ非公開にしているのは、水産庁なのだから、挙証責任を零細漁民に求める行為は、ナンセンスです。


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PS.このブログをアップした直後に水産庁が2014年生まれの加入量水準速報を公表した。

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http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/sigen/150521.html

3月の予定が2か月も遅れたのは、水産庁はデータの収集に時間がかかったと言ってるが、こんな少ない量で時間がかかるわけがない。資源管理WTが終わるまで、都合が悪いデータは出さなかったということだろう。そして6月に入るとマグロはまき網で一網打尽。
このグラフを見ると絶滅寸前としか思えない。これでも巻くというなら我が国の資源管理は完全に

狂ってる!



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