2010/04/08

マダガスカルを訪ねて

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マダガスカルから帰国した日に成田税関で「麻薬犬が手荷物に反応したので調べさせてもらいます」と取調室に案内された。海外には200回以上行っているが初めてのことだった。もちろん麻薬など持っているわけがないので、どんなに荷物を調べても出てこなかった。3個の手荷物のうち1個にはトランジット先のバンコックでチェックを受けたシールが貼ってあった。
その頃、日本では中国で日本人が死刑になったニュースが大きく報道されていた。アジアでは麻薬に関して最高刑に死刑を適用している国が多い。バンコック空港のあるタイも麻薬の最高刑は死刑である。

もし俺の荷物に誰かが麻薬を忍ばせていてバンコックで発見されたら・・・考えただけでもゾッとする。

中国やシンガポールなど中国人が多い国は麻薬に関してとにかく厳しい。かつてのアヘン戦争のトラウマが強く残っているからだ。タイ北部(ミャンマー、ラオス国境付近)はゴールデントライアングルとも呼ばれ、かつては麻薬の一大産地だった。現在では経済成長や取締強化により、タイやラオスでの生産は減少傾向にあるが、取締りが甘いミャンマーでは組織がさらに巨大化して生産量が増えていると言う報告もある。
麻薬は多くの貧困国で問題になっている。かつてのコロンビアの麻薬大組織メデジン・カルテルは米国の強い要請でコロンビア軍と4年間の戦争の末撲滅された。そして麻薬の主要生産地はメキシコへと移った。おかげで今度はメキシコの治安が悪くなる一方である。アメリカがどんなに麻薬産出国に圧力をかけても一向になくならないのである。ある国の組織が撲滅されたら、別の国で新たな組織が作られる。こんな繰り返しが延々と続いている。アメリカでも麻薬犯罪に関する取締りを強化して、最高刑を死刑にするなど厳しくすればアメリカ国内の麻薬消費量は減少して、中南米の麻薬生産量も比例して減ると考えるのだが。なぜアメリカは麻薬に関して国内の取締りをもっと厳しくしないのか。かつてイギリスはアヘンで莫大な利益を得た。アメリカ国内にも麻薬絡みで大きな利益を得ている組織があるのではと疑ってしまう。
何しろアメリカは世界一の麻薬消費国なのだ。



マダガスカルに行く機内で中国人が多いのに驚いた。日本人は大目に見ても10人(うち我々が4人)もいないが、中国人は全体の半分近く100人以上乗っていた。身振りから観光客ではなく、労働者であることは明白だった。かつてアフリカの最大の援助国は日欧米だったが、現在は中国である。中国は援助する見返りに鉱物資源を買い漁っている。そして有り余っている労働者を国際協力という形で送り込んでいるのである。

こんな報告もある。

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マダガスカルは貧富の差が激しく、1人当たりの国民総所得は320ドル(約3万230円)。人口2020万人の約7割が1日1ドル(約94円)以下で暮らす。世界食糧計画(WFP)が約60万人に食糧支援を実施し、3歳以下の半数が慢性的な栄養不足で知能障害に苦しんでいるとされる。昨年、穀物価格高騰による食料危機で世界各地で暴動が続発し、自給率が低い韓国では海外での農地確保が課題になっている。中東の産油国や中国がアフリカの農地を次々と確保するなど、食糧の争奪戦は激しくなる一方で、国連食糧農業機関(FAO)は「新植民地主義」を招く恐れがあると警告している。
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1年前の3月16日にマダガスカルでクーデターがあった。怒りを爆発させた理由のひとつは、マダガスカルの耕作可能面積250万ヘクタールの半分を海外(韓国)の1企業に長期無料貸与するという大統領の暴挙への反発だった。

国が貧しいという理由で海外の一企業にこんなことをする大統領がいることに驚く。何のための国家なのか。どんなに貧しくても国を貸すようなことは国民が納得しないだろう。まさに新手の植民地政策である。




アンタナナリブ郊外の沼で漁をする人たち
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世界遺産のアンブヒマンガはマダガスカルを初めて統一した王朝の宮殿跡
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マダガスカルの祖先は東南アジア系の民族と言われている。アンタナナリブに住むメリナ族は確かに体は小さいし、マレーシアやインドネシアの人々に似ている。

王様の住んでいた建物
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土産売り場
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アンタナナリブのマーケット
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メリナ王朝の宮殿だった女王宮
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のどかな街角風景
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道路でボールを蹴って遊ぶ少年たち
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丘の上から見たアンタナナリブ市街地
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釣り場
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リール付きかな?
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茶色の川で洗濯
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土手が物干し場
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一年中蚊が多いと思われる家
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土産物の売店が集まっている通りだが買い物客は少ない
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ツィンバザザ動植物園の切符売り場に並ぶ人たち。休日なので凄い混雑だった。
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海外からの観光客は別料金で並ばずに入場できた。

かつてはインド洋にたくさんいたアルダブラゾウガメ。推定年齢150歳とか。
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ゴールデンバンブーキツネザル?
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ワオキツネザル
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ブラウンキツネザル?
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マダガスカルは約5000万年前にゴンドワナ大陸から分離したと言われている。そのためアフリカ大陸では見られない動植物がほとんどである。
ただしスマトラやスリランカなどインド洋沿岸諸国と生態系が似ている。キツネザルはアフリカには生息していないが、スマトラやスリランカには生息している。



ホテルの前でチップを狙っている子供たち(アンタナナリブ)
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ヌシベの送迎車
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ヌシベの住居
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カヌーと子供たち(ヌシベ)
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ヌシベの子供たち
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稲を臼で突く村人(ヌシベ)
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ヌシベのおじさん
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PS.3月にカタールで開かれたワシントン条約で大西洋クロマグロの国際取引禁止案がアフリカ、アジアの多くの国の反対にあい否決された。これによって中国がアフリカ諸国へ強い影響力を持っていることが証明された。フカヒレの問題も討議さるることになり、中国はマグロが可決されればフカヒレも可決されると読み、反対へと動いたのだ。そして最大の援助国である中国の働きかけで最大票田のアフリカがこぞって反対に回った。かつてはヨーロッパのいいなりだったアフリカが中国側に回ったのである。

貧しいアフリカ諸国にとって一番の問題は自然保護でも環境保護でもなく、どれだけ援助、もしくはどれだけ利益になるかなのである。クロマグロがいなくなってもアフリカのほとんどの国は問題ないのだ。

笑えるのはワシントン条約で否決されたとき外交の勝利と喜び、食文化を守れたと大喜びしていた某国の大臣である。直前にアフリカやアジアの発展途上国をパーティーに招待して天然マグロの寿司を食べさせたそうだが、そんなことでワシントン条約の議決が覆されるとしたら会議そのものの存在が疑われる。また大西洋マグロを買い漁らなければ守れない食文化って何なのだ。食文化とは地域に密着した食べ物のことをいうのではないのだろうか。大西洋は某国からはあまりにも遠すぎる。



ぎょねっとさんです。今回も釣りとはほとんど関係ありませんが。
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