2010/06/29

巨大キハダマグロ連発@パナマ後編

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現在プリンストンのサミー家にお邪魔している。そこでレポートを書いてます。

昨日は1日サミーのお店にいた。

お客さんがみんなび~るだ~さんのことを知っているのに驚いた。「ビアマン」とみんなから祝福されてた。すでに超有名人です。
この店はお客のレベルも高いです。200ポンドオーバーのマグロを釣った人がごろごろいます。ノットも進化しています。キャスティングもジギングも魚の大きさが日本とは比べ物になりません。
サミーはこの1年間で70キロオーバーのクロマグロを15匹キャッチしたそうです。多い日は1日に4匹だそうです。最大は103キロ(227ポンド)で最終ドラグは19キロ(42ポンド)、ファイティングタイムは22分だったそうです。ルアーは猛闘犬丸で口の先端にフックが1個、顎の方に1個掛っていたそうです。
ポールも90キロ(200ポンド)を釣っています。他のお客さんもいっぱい釣ってますが、なれている人はファイティングタイム20~25分です。PEは8号がメインで6号が一部です。

世界のレベルはここまで来ています。




では奇跡が起きたパナマ後編です。

パラダイスフィッシングロッジには現役のNBAプロも来ていた。ヒューストンロケッツのJared Jeffries選手だった。我々と同じでキャスティングでマグロを狙っていた。一緒に釣りはしなかったが飛距離はとんでもないだろう。
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夜の宴会では世界各国の人と盛り上がった。ここでは屑弁先生が超元気だった。問題の多い先生だけど、大物であることは間違いないようだ(笑)
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初日から巨大キハダマグロが連発したことで2日目も期待は大きかった。しかし俺は中指が痛くてロッドを握れないので釣りはせずにカメラマンに専念した。

その日、巨大キハダは6発ヒットした、しかし4フックアウトの2リーダーブレイクだった。リーダーを切られたのは2回ともび~るだ~さんだった。
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俺「リーダー細すぎるんじゃないの?」
び~るだ~さん「3月から替えてない」
1回目はPE3号にリーダー50ポンドだった。2回目はPE5号にリーダー90ポンドだった。いずれもリーダーが切れた。
俺「一生に一匹のサイズがヒットしているのだから真面目にやったら」
び~るだ~さん「はい」


3日目

朝から晴れ模様の天気だった。
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昨日まではハンニバルバンクを攻めていたが、この日は途中からヒカロン島の西沖へ移動した。

そこにもイルカがいっぱいいた。キャスティングを開始すると5キロから10キロくらいのキメジが次々と釣れた。しばらくすると大型のキハダが姿を現した。みんな真剣になってきた。

しばらくするとトモで投げていたび~るだ~さんのロッドが曲がった。勢いよくラインが出て行く。どうやら大物らしい。そのあと屑弁も、サミーもヒットした。トリプルヒットである。しかも全員大きそうである。俺はビデオにカメラに大忙しである。
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しかし屑弁とサミーはすぐにフックアウトしてしまった。び~るだ~さん一人のファイトとなった。び~るだ~さんは朝からビールを大量に飲んでいるのでヘロヘロである(笑)。10分でハーネス装着となった。そのあともヘロヘロだった。しかもファイト中にさらにビールを補給していた。
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それでも一度も座らず、誰の手助けも受けず、最後まで立ってファイトを続けた。ただの酔っ払いではない(笑)

57分でキャッチ。重さは船長推定110ポンド(50キロ)だった。ルアーはブルーフィッシュ100、ロッドはTBL80/20、リールはソルティガ6000GT、ラインはPE5号、リーダーは130ポンドで先端にフロロの60号を70センチ繋いでいた。
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その日、巨大キハダは7ヒットあったがキャッチできたのは1匹だった。連日フックアウトが多い。


4日目は大雨、雷でほとんど釣りにならず早上がりとなった。ロッジに戻るとレストランのテレビでサッカーの試合をやっていた。日本とデンマークの試合だった。3-1でなんと日本が勝って決勝トーナメント進出となった。サッカー大好きなび~るだ~さんは大喜びだった。
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5日目、最終日である。

まずは3日目にび~るだ~さんが釣ったポイントに入ったが、この日は巨大キハダの姿は見えなかった。そしてモントーザ島の近くに移動した。ポイントとポイントの距離が離れているので船が走っている時間が多く、釣り時間は毎日3~4時間しかない。
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その場所もイルカはいっぱいいるのだが巨大キハダの姿は見えない。しかしキャプテンには巨大キハダが見えているようで、餌を釣ってトローリングを始めた。

サミーと屑弁はキャスティングをやった。俺は指が少し曲がるようになったのでパンドラを沈めてキハダを狙った。

キャスティングは全然反応なしなのでサミーがジギングを開始すると大きなツムブリと小さなクベラが釣れた。

び~るだ~さんは大物はもうこりごりと小物用のジギングタックルで餌に使うカツオを狙っていた。みんなのために餌釣りに専念していた。

しばらくするとび~るだ~さんの竿が曲がった。そんなに大きくないようで簡単に寄ってきた。
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ところがあと20メートルくらいのところで気付いたかのように急に走りだした。
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延々と走ってラインは200メートル以上出た。ラインはPE3号である。ロッドはBC66Mである。
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ラインが残り少なくなってきたので船がフォローを開始した。俺はヒットしたカツオをイルカが食べたんだろうと思ってしばらく見ていた。ところが20分経っても相手は浮いて来ない。イルカなら呼吸をするために浮いてくるはずだ。どうやらイルカではなくて本命のようだ。20分経過してからビデオ撮影を開始した。

び~るだ~さんは今回はビールを飲まなかった。ファイトの途中もビールでなくて水を補給していた。こんなに真面目にファイトをするび~るだ~さんは初めて見た。12年付き合っているが、いつも酔っぱらっている姿しか見たことがない。

素晴らしいファイトだ。ロッドを限界まで曲げて常にマグロにプレッシャーをかけていた。過去に135キロのカジキ、44キロのGT、30キロのヒラマサなどスピニングタックルで大物をいっぱいキャッチしているベテランなのでプレッシャーの掛け方は一流である。

しかし握力が弱いのがび~るだ~さんの弱点だ。

1時間経過後あたりからロッドを肘で抱える場面が多くなった。そろそろ握力が限界のようだ。
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1時間20分後、ハーネスを装着した。ハーネスを装着して数秒間腕を休めるだけで、かなりの回復になる。

再び力強いファイトが始まった。どんどんプレッシャーをかけて魚との距離は一気に短くなった。
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ところが残り30メートルくらいにきたとき相手は再び200メートル以上走った。スプールは再びほとんど空になった。

「サメが食べた」と思った。ところがサメのような動きはなかった。び~るだ~さんはサメだと思ってドラグを締めている。俺はフックがシャウトのジャコフックLと聞いてドラグを締める指示は一度も出さずにいたのだが・・・

冷や冷やしたが、魚はばれなかった。しかし相手は全然浮いて来ない。

首を振る動きもなくなった。重いだけである。そんな全然寄ってこない状態が30分以上続いた。

俺は魚はリーダーが尻尾に絡んで仮死状態になっていると予測した。1月に玄界灘で190キロをキャッチしたときと同じように見えた。

完全に魚が窒息するまで待ってから、俺がドラグを4分の1回転締めた。この時点で1時間40分くらい経っていた。もしマグロが生きていて再び走りだしたらフックアウトする危険性は大きい。これは俺の賭けだった。

全然回収できてなかったラインが少しづつ回収できるようになった。波の上下で少し出る程度である。ロッドの曲がりから7キロくらいのドラグと判断した。フックの強度からしてこれが限界だろう。

生命反応は完全に消えていた。マグロは比重が海水よりかなり重い。死んでしまうとそれだけで浮いて来ない。デスダイブといつやつだ。カジキは死んでしまうとファイティングタイムが大幅に長くなる。

2時間15分後、大きな尻尾が海面に姿を現した。誰もが驚くような大きな尻尾の大きさだった。予想した通りリーダーが尻尾に絡んでいた。キハダは完全に窒息死していた。
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キャプテンもサミーも「アンビリーバボー」と叫んでいた。なんたってPE3号である。
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使用タックル
ロッド:カーペンターBC66M
リール:ソルティガZ4000H
ライン:サンラインPEジガー8HG・3号
リーダー:サンラインシステムリーダー(ナイロン)90ポンド、先端にナイロン140ポンドをを30センチ
ジグ:ギャロップ40グラム
フック:シャウト・ジャコフックL

重さ:船長推定250ポンド(113キロ)
叉長:実測183センチ(全長は約200センチ)
ファイティングタイム:2時間15分

フックはやはり限界を通り越して伸びていた。まさに奇跡である。
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アメリカではあっという間にこのニュースが伝わっていた。

アメリカ入国後、サミーのお店に行くとたくさんのお客さんが現れた。全員がび~るだ~さんの快挙を知っていた祝ってくれた。

その日のディナーはニューヨーク市内のタイレストランに行ったが、たくさんのアングラーがお祝いに駆けつけてくれた。
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最後まで座らず立ってファイトした。誰の手助けも受けなかった。ロッドを船べりに預けることも一度もなかった。IGFAルールに基づいた堂々としたファイトである。スポーツフィッシング先進国でも絶賛にあたる偉業を日本のビアマンが成し遂げた。



翌日、一足先に帰国する屑弁を空港まで見送った。

そこでサミーが悲鳴を上げた。
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「あら○きさん、リールをそんなバッグに入れては駄目だよ!」

屑弁はリュックサックにリールを裸のまま入れて、そのままカウンターで預けていた。
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よく見るとベールはすでに曲がっていた。

俺「いんだよ。壊れたらまた買うから」

サミー「いいお客さんだね」
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明日から俺とび~るだ~さんとサミーはマサチューセッツ沖の巨大クロマグロを狙います。

また奇跡が起きるかもしれませんよ。