2010/08/21

4年連続挑んだ巨大クロマグロ総集編2

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今回はパナマで痛めた中指が完治してないので俺はアドバイスと撮影係に専念すると決めていた。それでも荷物は合計70キロ近くあった。スタンドアップ用ロッド3本、ケンマツ50S2台、替えスプール2個、ティアグラ50WLRS1台、ハーネス、予備のライン、ハリス、クランキングリーダー、工具、フック、一眼レフカメラ2台、交換レンズ3本、ビデオカメラ2台、ストロボ、電池、パソコン、充電器などなどである。荷物が多いのでマイルのポイントでビジネスクラスに乗った。これにスターアライアンス・ゴールドメンバーの特典が付いて預ける荷物は50キロまでOKだ。カメラやパソコンは客席に持ち込むので預ける荷物は55キロくらいだった。ちょっとオーバーしたが、超過料金は取られなかった。

8月1日の早朝にオークランドに着くとYEEHAA(釣具屋)のトニーと玄さんが迎えに来てくれた。軽く食事をして日中は水族館を見学した。その後釣具屋により、午後2時頃ホテルにチェックインした。ディナーはみんなでトニーの奥さんお気に入りのチャイニーズレストランへ行った。
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2日の早朝便でクライストチャーチに到着。レンタカーを借りて11時頃に到着する前半組を駐車場で仮眠しながら待った。11時半ごろ栓抜き、屑弁、がんじゅうが到着ロビーに姿を現した。ところが荷物が出てこない。係員に聞くと午後1時着の便に積んであるということだった。メンバーに超問題児がいるのでトラブルは予想通りだ(^^;
希望を言わせていただくなら「トラブルは1回でお願いします」

荷物が届いて船が待機するウエストポートに向かった。栓抜きが運転するというので交代した。道順を口頭で教えて俺は助手席で眠った。目が覚めたら違う道を走っていた(爆)。

途中エンチャンターのオーナー兼キャプテンのランスに電話をした。こんな返事が「今年はライセンスの申請を忘れていて船長は臨時でポーという人です」と。船長交代は一言も聞いてなかった。あまりに直前過ぎませんか・・・

ポー船長の携帯に電話を入れると出港は明日の11時頃という返事だった。5時間くらいでウエストポートに着いた。いつものスーパーで食材とビール、ワインなどを購入した。その後、桟橋の近くでドラグのチェックをした。
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翌日、予定通り11時に出港。7時間くらい走ってようやくホキ船(大型底引き網漁船)に接近した。このホキ船が網を回収し終わる頃が一番のチャンスである。網からこぼれる魚を狙ってマグロ、アシカ、サメ、海鳥、イルカなどが集まってくる。

先頭バッターは栓抜きである。4年連続のチャレンジである(昨年は娘が病気になり直前キャンセル)。1年目はあっという間にマグロを寄せたが、クルー3人でリーダーを掴んで強引にランディングしようとしたら600ポンドのリーダーが切れてしまった。2年目もリーダーを掴むところまでは行くのだが、そのたびにクルーはマグロを寄せきれず再びリーダーを離してしまった。そして3時間40分でラインブレイク。2回ともリーダーを掴んでいながらギャフもしくはタグが打てる距離まで寄せ切れなかった不運な男である。

ホキ船に接近してホキを1匹付けて仕掛けを投入する。何度か接近を繰り返して4日の午後7時50分にマグロが食いついた。
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栓抜きのファイトが始まった。さすがに慣れているので下半身は安定していた。また37歳と年齢も若い。
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50分でPRノットまではスプールに回収した。ここから25メートル先にクランキングリーダーがある。そこまで来ればクルーがリーダーを掴む。あと少しだ。

そのとき「パチン」と大きな音がした。スプール内でラインが食い込んで弾けたような音だった。

その1分後にPEラインが切れてしまった。さっきの音が原因だろう。体力にはまだまだ余裕があった。実に惜しい幕切れだった。

その後はパッタリとヒットせず、天候が悪化したので6日早朝にいったんウエストポートに引き返した。

7日の午後再び出港。一晩中釣り続けるがマグロのヒットは無かった。8日の朝、俺はフライブリッジに上がってGPSなどを確認した。船はウエストポートの沖をかなり広範囲に探っているが、南下した航跡がなかった。水温は例年より3度くらい高く14度台だった。ならば水温が低い南へ移動したほうが良いかもしれない。そこでキャプテンにグレイマウス沖に行くよう指示した。

8日の夕方近くにグレイマウス沖に到着した。7時過ぎに仕掛け投入をするとまもなくマグロが食いついた。アングラーは屑弁である。今年で3年目のチャレンジだ。1年目は順番が回ってこなかった。2年目はチェアーに座ってファイトして240キロをキャッチした。そして3年目の今年はスタンドアップで釣ることが目標だった。年齢は55歳だが、チャレンジ精神はかなりのものを持っている。この遠征のために毎日100回スクワットをやっていたそうだ。
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ラインはあっという間に400メートル以上出た。マグロが止まったところで反撃を開始する。とても55歳とは思えない下半身を使った素晴らしいポンピングである。しかし相手はかなり大きそうだ。何度も寄せるが、何度も走られた。
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2時間経過辺りから屑弁の体は上半身が前に曲がってきた。手すりに手を付ける場面も増えてきた。かなり辛いのであろう。それでも一度も座ることなくファイトを続けた。
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2時間45分でクランキングリーダーをクルーが掴んだ。激しい格闘の末、ついにギャフが打ち込まれた。
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最後まで交代せず、立ってファイトを続けた。55歳にして素晴らしい快挙である。

陸上正式計量:322キロ
ファイティングタイム:2時間45分
アングラー:屑弁(本名:神田)

ロッド:カーペンタープロト
リール:ケンマツ50S
ライン:サンラインPEジガー8HG10号+ナイロンショックアブソーバー60号25メートル
クランキングリーダー:400LB
ハリス:マンユウ(フロロ)120号

マグロは重すぎて7人がかりでも船上に引き上げられず、後部に突き出ているランディングデッキに上げてロープで厳重に縛って固定した。
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しばらく興奮状態だった船上だが、11時頃から再び釣りを再開した。3番手はがんじゅうである。今回が初挑戦だが35歳と若く、学生時代はトライアスロンをやっていたので基礎体力はある。

11時40分ごろヒット。ファイトの仕方はYouTubeを何度も見たそうで、最初から安定していた。カナダのチョウザメのときは慣れないベイトリールにてこずっていたが、今回はスムーズにラインを巻き取っていた。
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ところが魚は屑弁のより大きいらしく全然船に寄せられない。普通は夜のヒットは日中に比べてファイティングタイムが平均して半分以下と短いのだが、このマグロは夜にも関わらず潜ったままで浮いてこない。
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2時間経過後ころに1回クルーがリーダーを掴んだが、寄せきれず再び離してしまった。あと2メートルまでリーダーを寄せてタグを打つチャンスだったが・・・
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3時間経過したあたりから口数が減ってきた。また俺の問いにも返事ができなくなっていた。
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4時間経過あたりで2回目のリーダーキャッチだったが、再び離してしまった。デッキハンドの二人は18歳のアルバイトである。アルバイトには無理な仕事かもしれない。

5時間経過。ポンピングも下半身がほとんど動かず、口数は完全に消えた。

6時間15分。3回目のリーダーキャッチ。やはり浮かしきれない。途中から船長も加わり、かなり力の入ったランディングバトルだった。マオリ族で元ニュージーランドの空手チャンピオンでもあるポー船長は体も大きく力もかなりありそうだ。
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2分くらいマグロとの綱引きが続いた。しかしマグロの必死の抵抗に会い120号のフロロが切れてしまった。フックはカンヌキ(口の横の部分)にかかっていたので歯で切られたわけではない。


とんでもなく大きなマグロだった。ランディングデッキに横たわる屑弁のマグロも大きいが、がんじゅうのマグロはそれよりもはるかに大きかった。

がんじゅうはファイト終了後に座り込んでしまい、立てなくなってしまった。クルー二人に担がれてキャビンに運ばれて、そこで気を失ってしまった。
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そしてストップフィッシングとなった。

さて屑弁のマグロだが、クルーが尾叉長と胴回りを測り、推定重量を算出した。それは280キロだった。ところが俺はあまりにも胴体が下半身まで丸々太っていたので船上で解体せずに港まで運ばせた。

そして港でクレーンで上げて、フォークリフトで秤に載せて正式に計った。
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計る直前に俺は「320キロくらいだな」とみんなに話した。

計ると

322キロ
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だった。

ニュージーランドに4年連続で挑んで最大だった。
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このマグロが322キロなら、がんじゅうのマグロはいったい何キロ?

おそらく400キロ以上あっただろう。

これは屑弁のマグロです。これよりはるかに大きかった。
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PS.322キロのマグロは解体して一部をクライストチャーチの日本食レストランに持ち込んだ。毎年ここで寿司でいただいているが、過去のどのマグロより美味しかった。
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その3へ続く